更新 2026.08.17
AIが候補者選定とスカウト文作成、返信数7倍に伸びたIT企業の中途採用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 現場の管理職が採用に時間を割けない
- 送ったスカウトに返信が来ない
- 人材紹介の手数料負担が重い
どのようなAIの取り組み?
候補者の選定とスカウト文面の作成をAIに任せ、返信数が従来の約7倍に伸びた中途採用の取り組み
業種
商社系SIer(IT・通信)
取り組み領域
人事/中途採用のダイレクトスカウト
使ったAI
AIスカウトくん(候補者選定・スカウト文面生成)
主な成果
スカウト返信数が従来の約7倍
双日グループのIT事業を担うSIer、双日テックイノベーションが、中途採用のダイレクトスカウト業務にTechSuiteの「AIスカウトくん」を取り入れた事例です。同社はスカウトの送付を現場の部課長が担う方針を取ってきましたが、本業の合間で確保できるのは週に30分から1時間程度で、1通送れるかどうかという状態が続いていました。導入後は、候補者を絞り込む条件をプロンプトとして現場の課長が関与しながら組み立て、AIが候補者の経歴を読み込んでスカウト文面を作成し、送付までを任せる運用へ切り替えています。まずアプリケーション本部から着手し、返信数や採用コストの面で変化が生じました。
出典:双日テックイノベーション株式会社様の導入事例|AIスカウトくん 発行元:TechSuite
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
スカウトの送り手を現場の部課長に置く方針そのものは、求人の中身を最もよく知る人が声をかけるという点で筋が通っています。ただ実際には採用は部課長の本業ではなく、週に取れる時間は30分から1時間程度、送れるスカウトは1通あるかどうか。従来40人程度だった採用計画が成長戦略の転換で拡大し、これまで接触できなかった高スキル層にも手を伸ばす必要が出てきた局面では、この体制はもう追いつかなくなっていました。過去に外部の委託業者へ任せた経験もありましたが、求めていない候補者にメールが送られてしまい、続きませんでした。
編集部の見立てでは、困りごとの核心は作業時間の不足ではなく、「誰を採りたいか」を判断できる人と、その判断を数多く実行する人が、部課長という一人に重なっていた構造にあります。委託がうまく回らなかったのも、実行だけを切り出して判断の部分が渡らなかったためではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
導入の決め手として挙げられているのは、候補者選定の条件をプロンプトとして書き起こす工程に、現場の課長自身が関われるという設計です。実行はAIと外部に預けつつ、誰を選ぶのかという基準だけは求人を抱える本人の手元に残す。この線の引き方が、以前の委託で起きた「求めていない候補者に送られてしまう」事態を構造的に防いでいると考えられます。開発の課長が納得して受け入れられたのも、作業を取り上げられるのではなく、判断まで手放さずに済む形だったからでしょう。
基準づくりを一度きりのヒアリングで終わらせず、課長と支援側が対話しながら精度を上げていく運用も効いています。当初は意図が伝わりきらない候補者も上がっていましたが、打ち合わせを重ねて求人理解が進むにつれ、選定から送付まで任せられる求人が増えていきました。候補者はスコアで評価されるため、「4点や3点の人にはどんな人がいるのか」「その層にも送りたい」といった相談をチャットでほぼリアルタイムに投げ、プロンプトの提案を受け取れる。AIの出力を見て条件を書き直すサイクルを、人事の負担として積み上げずに回し続ける仕組みになっています。
スカウト文面を候補者の経歴から書き起こす設計も見逃せません。候補者の受信箱には毎日大量のスカウトが届くため、社名を名乗るだけの定型文は読まれないまま埋もれます。経歴の具体的な箇所に触れ、その経験が自社の製品群のどこで生きるのかを示した文面を、課長名義で届ける。誰が書いたのかと何が書いてあるのかを候補者側の視点から同時に設計したところが、単なる文章生成の自動化と分かれる点です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
人事がダイレクトリクルーティングツールへアクセスする回数はゼロになり、面談や面接といった採用の中心業務へ時間を移せています。返信数は従来の約7倍。ポジションによっては返信が1通あればいい方だった状態から、導入1〜2ヶ月目にはどの求人にも返信が届くようになり、3ヶ月契約の2ヶ月目で内定者に至りました。エージェント経由では理論年収の30〜35%程度の手数料が発生しますが、サービス利用料を含めてもトータルではコストが下がっています。もっとも当事者がそれ以上に大きいと評価しているのは、紹介では届きにくかった層へ自力で接触できるようになったことです。満足度は人事部の担当者が4点、部長が4.5点としています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、対象を選ぶ基準を言葉にでき、なおかつ相手ごとに伝える中身を変える必要がある仕事です。中途採用のスカウトはその典型ですが、条件に合う相手を探して個別に声をかける新規開拓営業や提携先の発掘も、構造としては近い位置にあります。逆に、基準を握る人がまったく関与しない体制で外部やAIに丸ごと預けると、この事例でも導入前に起きていた「狙いと違う相手に送られる」状態へ戻りやすいところです。候補者の経歴のように、相手を理解する材料がある程度まとまって手に入るという前提が崩れる場合も、文面を個別化する部分が成立しません。
最初の一歩としては、直近に自社から送ったスカウトや初回アプローチのメールを数通並べ、相手の経歴や事業内容に具体的に触れている箇所が何行あるかを数えてみてはいかがでしょうか。ほとんど見当たらないなら、AIを入れる前に、基準と伝え方を言葉にする作業から着手する余地があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:バックオフィス・管理部門(人事・経理・法務)
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
TechSuite
AIが候補者選定とスカウト文面作成を担うダイレクトスカウト支援サービス「AIスカウトくん」を提供。導入企業の現場担当者と候補者選定プロンプトを作り込み、チャットでの相談対応を含めて運用を支援している。
双日テックイノベーション株式会社
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