実施 2024.03 ・ 更新 2026.08.17
新築移転を機に見守りセンサーを100床導入、介護施設で変わった訪室判断
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 募集しても職員が集まらない
- 夜間の見回りに追われている
- 転倒の原因が後から分からない
どのようなAIの取り組み?
体動センサーと映像センサーによる見守りで、訪室の要否判断と入居者の生活リズム把握を組み替えたAI取り組み
業種
介護老人保健施設(介護・福祉)
取り組み領域
入居者の見守り/夜間ケア
使ったAI
体動センサー・映像センサーによる見守りシステム(ライフレンズ)
主な成果
不要な訪室の削減と、映像による転倒の要因分析が可能に
大阪府八尾市の介護老人保健施設 八尾徳洲苑は、新築移転にあわせて2024年3月、パナソニックの見守りシステム「ライフレンズ」を100床に導入しました。ベッドまわりの体動をとらえるセンサーと居室の映像センサーを組み合わせ、エアコンやナースコール(インカム)とも連携させています。夜勤者はiPhoneを持ち歩き、アラートが鳴ると内容と映像を確認したうえで訪室するかどうかをその場で判断します。睡眠や排せつのリズムをまとめた生活リズムレポートは、声かけやトイレ誘導のタイミング調整、看護師との情報連携に使われています。あわせて、ライフレンズを利用するかどうかは入居者本人に意思確認する運用を敷き、操作上の疑問は24時間対応のチャット窓口に集約する形をとりました。
出典:介護老人保健施設 八尾徳洲苑様(導入事例取材) - 特集 - LIFELENS - 商品情報[法人] - Panasonic 発行元:Panasonic
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
移転前から人材不足と業務効率化は施設の課題で、世の中で「業務効率化」が盛んに語られるにつれ、現場にも何かしなければという空気が高まっていました。とはいえ日々の業務量が減るわけではなく、新しい取り組みに手をつける余裕は生まれません。募集をかけても職員がすぐ集まる状況でもなく、解決の糸口が見えないまま時間が過ぎていました。
編集部の見立てでは、この施設の困りごとの本質は「解決策を知らないこと」ではなく、通常運転を続けながら新しい仕組みを立ち上げるための余白が、どこにもなかったことにあります。新築移転は、動線もレイアウトも業務ルールもいったん組み直さざるを得ない、数少ない区切りです。平時なら二重負担にしかならない機器導入を、施設づくりそのものの一部として進められる。移転のタイミングを選んだ判断には、その構造的な条件が効いていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
アラートが鳴ったら駆けつけるのではなく、映像で様子を確かめてから動くという二段構えが、現場の負担の質を変えたと考えられます。夜勤者はiPhoneを携行し、別の入居者のケアの最中でもアラートの内容と映像を短時間で確認し、その場で対応の優先度を決めています。ここで効いているのは検知の精度そのものよりも、検知と行動のあいだに「確認」という一段を挟んだ設計ではないでしょうか。訪室が要るか要らないかを先に切り分けられれば、限られた夜勤者の足を、本当に急ぐ人のほうへ向けられます。
利用するかどうかを入居者本人に必ず確かめる仕組みを設けた点も、見守り機器の導入では見落とされがちな要素です。映像を含めて本人のデータを取得する以上、選ぶ権利は本人にあるという議論が委員会で持ち上がり、認知機能やADL(日常生活を送るための動作能力)の低下がある方にも、状況に合わせて意思確認をする運用になりました。同意の取り方を運用の手順に組み込んだことが、機器を使う側の迷いを減らし、入居者と言葉を交わす機会そのものを増やす方向に働いたと見ています。
分からないことは24時間対応のチャット窓口に聞けばよい、という入口を最初に示した運用も、定着を後押ししました。機器に触れることへの不安が強い職員ほど、忙しそうな同僚をつかまえるより外部の窓口のほうが質問しやすい面があります。しかも質問と回答が履歴として残るため、誰がどこでつまずいているのかが管理する側からも見え、運用の見直しに使える材料になりました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
アラートのたびに駆けつけていた動きが整理され、不要な訪室を減らせているという実感が現場から語られています。映像の録画が残ることで、転倒などのアクシデント・インシデントを具体的に振り返れるようになり、入居者の動作が想定より早かったといった気づきが対策づくりにつながりました。ご家族への説明も具体的になり、リスクを共有しやすくなっています。運用状況やデータを各職種が確認して議論する場が生まれ、多職種間の対話が増えたことは想定外の副産物と受け止められています。次の段階として、介護生産性という見えにくいものを定量評価し、それに基づく改善を実践していく方針が示されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、駆けつける前に状況を確かめられれば動き方を変えられる業務です。夜間の巡回や見回り、呼び出しへの対応のように、「行ってみたら何も起きていなかった」が一定量含まれる仕事では、確認の一段を挟む設計が効きやすいと考えられます。既製のシステムを契約して使う形なので、自前の開発体制がなくても検討の土俵には乗ります。
一方で、この事例は新築移転という区切りと100床規模の一斉導入という条件の上に成り立っています。稼働中の施設に後から入れる場合、居室ごとの設置と職員の運用切り替えを通常業務と並行して進めることになり、同じ進み方は望めません。本人への意思確認や委員会での合意形成に手間をかけられるか、レポートを読んで日々のケアに落とし込む担い手がいるかも、成否を分けます。センサーは状況を映すだけで、判断まではしてくれません。
まずは夜勤帯を1週間だけ記録し、駆けつけたものの対応の必要がなかった訪室が何件あったかを数えてみる。そこに厚みがあるかどうかが、検討を進める価値を測る最初の目盛りになります。
この事例は2024年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:動画AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
介護老人保健施設 八尾徳洲苑(医療法人徳洲会)
出典・参考情報
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