実施 2026.06 ・ 更新 2026.08.17
介護の記録作成AIを希望者から広げ、ケアマネの担当件数増につながった社協の進め方
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 記録づくりに追われて手が回らない
- 会議のまとめが翌日以降にずれ込む
- 年配の職員がITツールを敬遠しがち
どのようなAIの取り組み?
会議や面談の音声から記録を作るAIツールを希望者から段階的に広げ、ケアマネジャーの担当件数の増加につなげたAI取り組み
業種
社会福祉協議会(介護・福祉)
取り組み領域
居宅介護支援/会議・記録作成
使ったAI
AI記録作成ツール「noman」(音声認識・要約)
主な成果
担当件数を上限まで増やせる効果が出始めている
長野県の社会福祉法人 長野市社会福祉協議会は、AI記録作成ツール「noman」の本格導入を2026年から行うことを決め、介護サービス課が中心となって事業所への展開を進めています。背景にあったのは、制度改定でケアマネジャー1人あたりの担当件数の上限が緩和されたにもかかわらず、記録作成の負荷が重く担当を増やせないという状態でした。展開はいきなり全事業所へ広げず、挙手制で興味のある職員を募る形で半数の事業所からトライアル利用を始め、開始時にはツール提供側のカスタマーサクセスチームがオンライン説明会を実施しています。現場では会議の音声をnomanに直接録音する方法に加え、ICレコーダーで録音した音声をアップロードする使い方も併用され、利用者に関する記録だけでなく合同の研修会でも使われています。
出典:noman (ノーマン) | 会議議事録や記録などの書類・事務業務をまるっとお任せ 発行元:noman
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
制度の上では担当できる件数の上限が緩和されているのに、実際には増やせない。長野市社会福祉協議会が抱えていたのはそのねじれで、ケアマネジャーの手を止めていたのは利用者への支援そのものではなく、その後ろに積み上がる記録作成でした。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は作業量の多さというより、担当件数と記録量が比例して増えていく構造そのものにあったのではないでしょうか。1件受け持てば記録も1件分増える以上、個々の頑張りで吸収しようとすれば必ずどこかで頭打ちになります。しかも現場には60代・70代のケアマネジャーもいて、AIツールに不慣れな層をどう巻き込むかという別の壁も同時に立ちはだかっていました。解くべき課題は、記録の作り方を変えることと、その変え方を誰もが受け入れられる形にすることの二つだったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
全事業所に一斉配布するのではなく、興味のある人が手を挙げる形で半数の事業所から試し始めた進め方が、この展開の起点になっています。強制で配ると、使いこなせない人の不満が推進側に跳ね返り、ツールそのものの評価まで巻き添えで下がりかねません。手を挙げた人が先に触れば、最初に生まれるのは不満ではなく実感で、実際に「本当に楽だからやった方が良いよ」という声が同僚の間を伝わっていきました。導入の説得材料を推進側の説明ではなく現場の口コミに委ねた設計が、AIに不慣れな層まで届いた要因でしょう。
質問の宛先を推進担当者ではなく提供側の窓口に置いた体制も効いています。トライアル開始時のオンライン説明会では画面を見ながら一緒にログインまで進み、その場で困ったときはサポート窓口へと案内されたことで、使う側には安心感が、推進側には自分に質問が集中しないという負担の軽さが生まれました。さらに、使うのを諦めかけたユーザーを定期的な電話で拾い直すサポートコールも用意されています。専任の社内担当を置けない組織にとって、この受け皿を外部に持てるかどうかは展開速度を大きく左右します。
入力の入口を一つに固定しなかったことも、現場に馴染んだ理由と考えられます。nomanに直接録音する方法と、ICレコーダーを鞄に入れて持ち歩き後から音声をアップロードする方法が併用でき、会議の場所や進め方を変えずに済みます。複数のテンプレートから職員が自分で選びながら「こんな会議にも対応しているんだ」と用途を発見していったように、使い道を提供側が決めきらない余白が、利用者に関する記録から合同研修会へと適用範囲を押し広げました。介護分野に絞って変換精度を高めたつくりと、文字起こしにとどまらず会議内容から課題抽出まで行う機能は、記録を「後で残す作業」から会議運営の材料へと位置づけ直しています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
録音さえしておけばその日のうちに会議の内容がまとまる状態になり、記録作成にかかる負担は大きく軽くなっています。当日中に業務を完結できるようになったことで現場の雰囲気も前向きになり、60代・70代を含む職員が抵抗感なく使いこなす状況が生まれました。経営面では、nomanを使って業務を回せるようになったことで、担当件数を上限まで増やすことができたという効果が徐々に出始めています。制度上の上限緩和を、現場が実際に使える余地へ変換できた点にこの取り組みの意味があります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、会議や打ち合わせの音声がそもそも発生していて、その内容を決まった様式にまとめ直す作業が繰り返し発生する組織です。逆に、記録の中身の大半が会議では言葉にならない観察や判断で占められている業務では、音声から起こせる部分が少なく、効果は限られます。録音に同意が必要な場面や、機微な内容で録音を持ち出しにくい場面が多い場合も、どこまでを対象にするかを先に切り分けておかないと運用が止まります。
特定分野に合わせて変換精度を高めたツールの強みは、扱う領域が変われば同じようには働きません。自分たちの現場で使う用語がどこまで正しく変換されるかは、機能一覧ではなく手元の音声で確かめるところからです。次の定例会議を一つだけ録音して、出てきた文面と普段作っている様式を並べ、どこまで埋まってどこが手作業で残るかを見てみる。判断材料はそこから集まります。
この事例は2026年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
noman
会議議事録や記録などの書類・事務業務を支援するAI記録作成ツール「noman」を提供。介護分野に特化した変換精度と複数のテンプレート、会議内容からの課題抽出機能を備え、専任のカスタマーサクセスチームによる問い合わせ窓口、オンラインの使い方説明会、定期的なサポートコールといった導入サポート体制を用意している。
社会福祉法人 長野市社会福祉協議会
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