実施 2025.10 ・ 更新 2026.08.17
介護施設の勤務シフト作成をAIで自動化、半年の実証を経て愛知県内で本格導入へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 毎月のシフト作成に時間を取られている
- シフトを組めるのが特定の人だけ
- 希望休の集約と調整が大変
どのようなAIの取り組み?
介護施設の勤務シフト作成をAIで自動化し、半年間の実証を経て本格導入が決まったAI取り組み
業種
介護施設運営(介護・福祉)
取り組み領域
勤務シフト作成/労務管理
使ったAI
みちケア(介護施設向けAIプラットフォーム)
主な成果
実証で業務負担の軽減と生産性向上を確認し、本格導入が決定
介護施設向けAIプラットフォーム「みちケア」を手がけるシスタ株式会社が、愛知県大府市・東浦町およびウェルネスバレー推進協議会と連携し、社会福祉法人愛知県厚生事業団が運営する愛厚ホーム大府苑で、勤務シフト作成業務の実証事業を行いました。期間は2025年10月1日から2026年3月31日までの半年間。スタッフからの希望休の収集、翌月シフトの確定、その後に発生する変更対応までを一続きの業務としてとらえ、みちケアでAI化する形に組み替えています。実証で業務負担の軽減と生産性向上につながる結果が得られたことを受け、同施設への本格導入が決定しました。愛知県内では初の本格導入となります。みちケアは独自AIによるシフトの自動生成に加え、施設内の訪問ルート最適化までを一体で扱うサービスです。
出典:介護施設向けAIプラットフォーム「みちケア」、愛知県内で初の本格導入が決定 | シスタ株式会社のプレスリリース 発行元:シスタ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
介護業界では人手不足が続き、介護職員は2040年に約57万人が不足すると推計されています。経営環境も厳しく、2024年の介護事業者の倒産は179件と過去最多を記録しました。そのなかで毎月の勤務シフト作成は、経営管理上きわめて重要でありながら特定の職員に依存しやすく、作成にどれだけ時間がかかっているかを正確につかめている施設は少ないうえ、運用ルールも明文化されていないままでした。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「作業量が多いこと」そのものではありません。かかった時間が測られておらず、誰をどこに配置するかの判断基準も担当者の頭の中にしか残っていない。つまり、置き換えるべき対象が言葉になっていない状態です。ツールを入れれば片づく話に見えて、実際にはDX化が進みにくい領域であり続けたのは、この一点が理由ではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
シフト作成という業務そのものの構造化から着手し、施設ごとに異なる労務ルールを言語化する工程を先に置いた点が、この取り組みの中心にあります。自動化とは、判断を機械に渡す行為ですから、渡すべき判断が文章になっていなければ何も渡せません。何を絶対に守り、どこまでなら譲れるのかを外に取り出す作業を最初に済ませた順序が、そのまま実効性を左右したと考えられます。しかも、そこで言語化されたルールは施設固有のものであり、汎用の設定項目に押し込めなかった部分こそが価値を持ちます。
対象範囲を、希望休の収集から翌月シフトの確定、さらに確定後の変更対応までひとつながりで扱った切り取り方も見逃せません。シフト作成の負担は、初回に表を組む場面よりも、欠員や急な休みで組み直す場面に偏って現れます。自動生成の部分だけを切り出して速くしても、前後に手作業が残れば体感は変わりにくい。端から端までを一つの流れとして設計したことが、現場で使い続けられる形につながったのだと読み取れます。
進め方の面では、自治体と協議会が企業と施設のマッチング、実証開始前の調整、期間中の伴走を担い、シスタ株式会社が現場スタッフの要望を反映しながらツールを磨き上げるという役割分担が組まれました。半年という期間は、月次で回るシフト作成を何度も繰り返し試せる長さです。一度きりの試用で判断せず、通常業務のサイクルに乗せたまま改良を重ねる形をとった点が、本格導入という次の段階を現実的にしたと編集部はみています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
実証事業では、希望休の収集からシフトの確定・変更対応までをAI化した結果、業務負担の軽減と生産性向上につながる成果が得られています。具体的な削減時間などの数値は公表されていませんが、この結果を受けて愛厚ホーム大府苑での本格導入が決定し、愛知県内では初の事例となりました。なお、生産性向上推進体制加算をはじめとする各種加算の算定に向けた体制づくりやデータ整備への寄与は、現時点では期待として示されている段階です。
うちでも使える?
この手法が効きやすいのは、毎月ほぼ同じ手順を繰り返し、守るべき条件が組織ごとに固まっている業務です。人員基準や資格要件と個人の希望休を同時に満たす必要があるシフト業務は、病院や宿泊、小売、警備など介護以外にも広く存在し、考え方はそのまま応用できます。判断材料としては、その条件を文章にして外に出せるかどうかが分かれ目になります。
逆に、条件が担当者の経験則としてしか存在せず、言語化に時間を割けない場合や、毎月のように例外運用が変わる職場では、自動生成された表がそのまま使える状態にはなりにくいでしょう。相性や人間関係への配慮といった、表に書けない要素が配置判断の大半を占める場合も同様です。
まず試すなら、次にシフトを組むときに、手が止まった箇所とその理由をその場でメモに残しておくこと。数か月分たまれば、自社のルールのうち何が明文化できていないかが自然と浮かび上がります。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:バックオフィス・管理部門(人事・経理・法務)
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
シスタ株式会社
介護施設向けAIプラットフォーム「みちケア」の開発・提供を行う企業。資本金6600万円、未上場。
社会福祉法人愛知県厚生事業団(愛厚ホーム大府苑)
出典・参考情報
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