実施 2026.04 ・ 更新 2026.08.17
鹿児島県霧島市、通信環境に左右されないAI型ドリル教材を全小中学校へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 拠点ごとに通信環境がバラバラ
- ネットが不安定で途中で止まる
- 端末は配ったが活用が広がらない
どのようなAIの取り組み?
通信環境に左右されないAI型ドリル搭載教材を、市内全ての小中学校に広げたAI取り組み
業種
地方自治体(公共・行政)
取り組み領域
小中学校の授業・家庭学習
使ったAI
AI型ドリル搭載教材「ラインズeライブラリアドバンス」
主な成果
市内全ての小中学校で授業・朝自習・宿題に活用
鹿児島県霧島市は、市内すべての小中学校を対象に、AI型ドリルを搭載した学習教材「ラインズeライブラリアドバンス」を今年度の4月から使い始めています。市はGIGAスクール構想のもとでタブレット端末の活用を進めてきましたが、市域が広く地理的な条件もまちまちなため、学校によって通信環境に差が出ることが課題になっていました。導入された教材はオフラインでも動く機能を備えており、通信状況に左右されずに使える点が特徴です。対応する教科は主要教科にとどまらず、中学校では保健・体育、技術・家庭、音楽、美術といった実技教科もカバーします。現在は授業中や朝自習の時間に加え、平日や夏休みの宿題としても使われています。教材を開発したのはラインズ株式会社です。
出典:【鹿児島県霧島市】誰一人取り残さない学びの実現へ向けて~環境に左右されないAI型ドリル搭載教材を導入~ | 霧島市のプレスリリース 発行元:霧島市
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
霧島市が抱えていたのは、端末が足りないという段階の問題ではありません。GIGAスクール構想のもとでタブレット端末の活用そのものは進んでいた一方、市域の広さや地理的条件によって学校ごとの通信環境に差があり、環境に左右されない学習基盤をどう整えるかが課題として残っていました。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは回線の速さそのものではなく、学校によって「同じ教材が同じようには使えない」という不確実さにあったのではないでしょうか。教える側からすれば、授業の途中で読み込みが止まるかもしれない教材は、内容がどれだけ優れていても授業計画の中心には置きにくいものです。使えるかどうかが場所任せになっている限り、教材の質を上げても現場での定着は進みません。「誰一人取り残さない」という言葉が指していたのは、子どもの学力差だけでなく、この足元の条件差でもあったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
第一に効いているのは、通信環境そのものを改善するのではなく、教材の側をオフラインでも動く仕様にして、条件のばらつきを要件から切り離した選び方です。回線や設備の増強は工事や予算の制約を受け、市域が広いほど全校の足並みをそろえるのに時間がかかります。その時間を待たずに全校で同じスタートラインを引くには、条件が揃ってから教材を入れるのではなく、条件が揃わない前提で成立する教材を選ぶという順番の入れ替えが現実的でした。学校差という動かしにくい変数を、教材選定の段階で無効化した判断だと読み解けます。
第二に、対象を主要教科に絞らず、中学校の保健・体育、技術・家庭、音楽、美術という実技教科まで含めた設計も見逃せません。デジタル教材は演習量の多い教科から入るのが通例ですが、実技教科まで守備範囲に入っていると、教材に触れる教員の顔ぶれが自然に広がります。特定の教科の担当者だけが使う道具は、その人が異動すれば止まってしまう。使える教科の幅をあらかじめ広く取っておくやり方は、活用が一部の熱心な教員に依存する状態を避けるうえで意味があります。
第三は、使う場面を授業時間に限定せず、朝自習や平日・夏休みの宿題にまで広げた運用の組み立てです。新しい取り組みは、そのための時間を新たに確保しようとすると現場の負担として跳ね返りますが、すでにある朝自習や宿題という枠に載せる形なら、教員が増やす仕事は指示の一言で済みます。そして家庭学習の場面でこそ、オフラインで動く前提が効いてきます。自宅側の通信環境まで学校が整えることはできないからです。
具体的に、どんな成果が出たのか
推進したこと
この事例で出た成果
導入から数か月の時点で示されているのは、数値化された効果ではなく、使われ方の広がりです。市内すべての小中学校で、授業時間や朝自習に加え、平日の宿題や夏休みの課題としても活用が進んでいます。学校間の環境差に影響されずに同じ教材を使える状態が全校で整ったこと自体が、この段階での成果と受け止めるのが妥当でしょう。学習面への効果がどう表れるかは、今後の検証を待つ必要があります。
うちでも使える?
参考にしやすいのは、拠点や現場ごとに通信条件がそろわない組織です。支店、工場、屋外の作業現場など、同じ会社の中でもネットワークの品質に差がある場合、クラウド前提のツールは「使える人と使えない人」を生みやすくなります。端末側だけで完結して動く時間帯を確保できるツールを選べば、条件の悪い拠点に合わせて全体の導入を遅らせずに済みます。
一方で、この考え方が向かない場面もあります。最新の在庫数や価格のように、常にサーバー側の情報と一致していなければ意味をなさない業務や、大きな計算をクラウドに預ける生成AIの利用は、オフライン動作とは相性がよくありません。ドリル教材のように、あらかじめ用意した内容を端末の中で処理できる性質の用途かどうかが分かれ目になります。
手始めにできるのは、いま使っているツールを一つ選び、通信を切った状態で開いてみることです。どこまで動いてどこで止まるのかが見えれば、自社の業務が拠点差にどれだけ弱いかも同時に分かります。
この事例は2026年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
霧島市
出典・参考情報
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