実施 2024.12 ・ 更新 2026.08.17
収穫速度2倍を見込むレール走行ロボット10台、大型菜園で始まる多目的な自動化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 収穫期だけ人手が足りない
- 作業の速さが人によってばらつく
- 高い場所での作業が不安
どのようなAIの取り組み?
レール上を自動で走る多目的ロボットを大型菜園に10台導入し、収穫から葉かきまでを同じ機体で担わせることを狙った取り組み
業種
施設園芸(農業)
取り組み領域
野菜の収穫・栽培管理作業
使ったAI
マルチ台車ロボット(レール走行型の農業ロボット)
主な成果
収穫速度が従来比で最大2倍程度になると見込む(理論値)
AIを使った自動野菜収穫ロボットなどを手がけるinaho株式会社が、株式会社エア・ウォーター農園の安曇野菜園へ、マルチ台車ロボットを10台納入しました。国内最大級の大型圃場での利用に合わせて最適化された機体で、施設内に敷かれたレール上を自動走行しながら、作業する人の動きを支えます。特徴は一台で役割を切り替えられる点にあり、実を採る収穫モードと、葉かきなどにあたる管理作業モードを使い分けることで、年間を通じたさまざまな農作業に対応します。苗を植え付ける定植時期の付帯的な作業や、栽培を終えたあとの撤去作業についても、体への負担を軽くする用途が想定されています。提供の形はRaaS(機械を買い取らず、サービスとして利用する契約形態)がとられました。
出典:inaho株式会社 | エア・ウォーター農園 安曇野菜園へマルチ台車ロボットをRaaSモデルで10台提供 | inaho株式会社のプレスリリース 発行元:inaho株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
今回の製品で想定されている効果として並ぶのは、作業の軽労化、人によって差が出る作業スピードの平準化、そして高所作業の安全性です。提供側が掲げる目的も、人手不足の解消と持続可能な農業の実現に置かれています。
ここから読み取れる困りごとの本質は、単に働き手の人数が足りないという量の問題ではなく、誰が入るかによって一日に進む作業量が大きく変わり、必要な人員も作業の完了時期も読みにくいという、計画の立てづらさにあったのではないでしょうか。高所での作業の安全性がわざわざ効果に挙げられている点も示唆的で、体力や熟練度、作業できる高さといった人ごとの条件の幅が、そのまま生産計画の不確かさに直結していたと考えられます。国内最大級という規模になれば、その幅は施設全体で積み上がっていきます。
どうやって、うまくいったのか
一台の機体に収穫モードと管理作業モードを持たせ、切り替えて使えるようにした設計が、この取り組みの中心にあります。収穫専用の機械は収穫期以外に動かない資産になりやすく、その投資判断の重さがそのまま導入の壁になります。葉かきのような管理作業まで同じ機体で担えるようにすれば、稼働する期間は年間へと広がり、機械を持つ理由が一つの作業だけに縛られなくなります。定植時期の付帯作業や撤去作業といった、季節の変わり目に集中する重い工程まで守備範囲に含めている点にも、同じ考え方が通っています。
圃場を自由に動き回る自律移動ではなく、レール上の自動走行に絞った割り切りも効いているはずです。走る道があらかじめ決まっていれば、自分がどこにいるかを把握する仕組みも、人とぶつからない安全の確保も、必要な難易度が一段下がります。国内最大級の大型圃場に最適化したという説明は、どんな現場にも合わせる汎用性を追わず、条件のそろった大規模施設に対象を寄せた設計思想の表れと読めます。
人の作業を丸ごと置き換えるのではなく、作業者の動きを支える位置づけに留めた線引きも見逃せません。判断や手を使う細かな作業は人に残し、機体は移動と運搬、そして高い位置での作業を支える役回りを引き受ける。この分け方であれば、品種や栽培の癖に機械側が対応しきれない部分があっても、導入そのものは止まりません。加えて、買い取らずサービスとして使うRaaSの形をとったことで、10台という単位でも現場に入れやすくなっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
示されている効果は、いずれも導入時点での期待値であり、理論値として整理されています。収穫の速度は従来と比べて最大2倍程度まで高められる可能性があり、葉かき作業では運用の仕方しだいで最大50%程度の人員削減が見込まれています。あわせて、個人差のあった作業スピードを一定の水準以上に平準化できること、高所作業の安全性が高まることも挙げられました。ただし実際の効果は栽培環境や運用方法によって異なるとされており、この数値がそのまま現場の実績を示すものではありません。
うちでも使える?
応用できるかどうかの分かれ目は、作業の場所と動線がどこまで決まっているかにあります。温室やハウスのように走行路を固定でき、同じ通路を何度も往復する作業が積み上がっている現場なら、移動と運搬を機械側へ寄せる考え方はそのまま参考になります。逆に、露地の畑や区画ごとに動線が変わる現場、機体が通れない幅の通路が残る現場では、同じ形をそのまま持ち込むのは難しいでしょう。規模も条件のひとつで、大型施設に最適化された設計である以上、面積の小さな現場に複数台をまとめて入れる前提は噛み合いません。
とはいえ、一台の設備に複数の作業を兼ねさせて年間の稼働を埋めるという考え方自体は、規模を問わず持ち帰れます。まずは繁忙期の一日をとって、作業者が何をどこまで運ぶために何往復しているかを実際に数えてみてください。距離と回数が積み上がっている工程が見つかれば、そこが機械に任せる余地の入口です。
この事例は2024年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
inaho株式会社
AIを活用した自動野菜収穫ロボットなど、生産者向けのサービスを提供する企業。資本金1億円、未上場。代表取締役は菱木豊・大山宗哉。
株式会社エア・ウォーター農園 安曇野菜園
出典・参考情報
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