実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.17
函館空港のフードコート、セルフレジと生成AIで売上報告30分を5分に
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 人手が集まらず店を回せない
- 毎朝の売上確認に時間を取られる
- 手入力の売上報告でミスが起きる
どのようなAIの取り組み?
前払いセルフレジと生成AIによるレシート読み取りで、フードコートの店舗運営と売上報告を省人化したAI取り組み
業種
空港運営・フードコート(飲食サービス)
取り組み領域
フードコートの会計・売上報告
使ったAI
生成AIを活用したレシート読み取り(OCR)
主な成果
売上の確認作業が30分から5分程度に短縮
北海道エアポートが運営する函館空港で、開港以来初となるフードコート「HAKODATE GOURMET PORT(函館グルメポート)」の立ち上げに合わせ、2025年8月、東芝テックの前払いセルフレジQT-300と自動釣銭機VT-350を組み合わせた券売機が各店舗に設置されました。売上管理では、流通本部・店舗システムSX-8000のオプションサービスであるテナント向けスマートフォンWebアプリ「Tenatria(テナトリア)」を採用し、テナントが精算レシートを撮影して送信すると生成AIが必要な情報を抽出する形へ、報告の流れを切り替えています。狙いは、人材確保が難しいテナント側の省人化と、既存の物販店を含めた売上管理の一元化でした。
出典:前払いセルフレジによる券売機と、生成AIを活用したOCRでフードコートにおけるスタッフの省人化を実現~前払いセルフレジとテナントサービス導入事例~:北海道エアポート株式会社 函館空港事業所 | 東芝テック株式会社 発行元:東芝テック株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
フードコートの計画にあたって施設側が最初に向き合ったのは、テナントからの強い要望でした。人手の確保が難しい以上、少人数で回せるレジでなければ出店の条件が整わない、という訴えです。売上報告の側にも負担がありました。テナントからデベロッパーへの報告はPOSシステムから出した精算レシートをもとに専用端末へ打ち込む手作業が中心で、ヒューマンエラーによる誤報告が双方に負荷をかけていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「人が足りない」という一点に収まりません。注文から売上報告までの流れを施設側があらかじめ設計しておかなければ、そもそもテナントが埋まらない。本来は各店舗の裁量に見えるレジの選定が、区画を束ねる運営者にとって出店条件そのものになっていた点に、この案件の難しさがあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
複数社へのヒアリングと展示会での実機確認を経て、最も省力化が進むはずの完全キャッシュレスのモバイルオーダーをあえて選ばなかった判断が、この取り組みの起点になっています。理由として挙げられているのは、あらゆる年齢層が行き交う空港という場所の性質と、利用が特定の時間帯に集中するという混雑の形でした。省力化の度合いだけを見ればモバイルオーダーに分がありますが、操作につまずく利用者が出れば列が滞り、結局はスタッフが張り付くことになります。省人化の効果を平常時の削減幅ではなく、混雑時に流れが破綻しないかで測った点に、この選定の要諦があります。
売上報告の側では、入力という工程そのものを設計から外したことが効いています。従来はレシートを見ながら数字を打ち直す流れで、誤りが混入する余地はここに集中していました。Tenatriaが担う形では、テナント側の動作はレシートをスマートフォンで撮影して送るところまでで、必要な情報の読み取りは生成AIに任されます。人が関わる箇所を「撮る」だけに絞り込んだ設計は、正確さを個人の注意力に頼らない構造へ寄せる考え方だといえます。
上位システムとの接続を前提に製品を組んだことも、効果の届く範囲を広げました。券売機も売上報告アプリも既存の店舗システムの系列に載る構成で、新設のフードコートと既存店舗の数字を同じ枠組みで扱えます。加えて、不具合や相談の窓口が一社に集約されること、函館市内にサービス拠点があることも選定理由に挙がっています。運用の手間は導入時より稼働後に積み上がるため、連絡先を増やさない構成を初期条件に含めた判断は、地方拠点での運用を見据えたものです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
通常のフードコートでは配膳と会計を2名体制で担うところ、ここでは1名のスタッフが全ての業務を行っており、当初掲げた省人化はクリアできたと施設側は捉えています。売上報告では、毎朝30分ほどかかっていた確認作業が5分程度に短縮されました。テナントからは、業務に集中できる時間や別のことに使える時間が増えたという声も出ています。一方、物販の既存店は手入力・手書きによる報告が続いており、その効率化が次の課題として残されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、取引先や入居テナントから決まった様式で数字が上がってくる業務です。レシートや日報のように書式が安定した紙が起点で、受け取る側がそれを転記しているのなら、撮影して送る形に置き換える余地があります。逆に、報告のたびに様式が変わる、あるいは手書きの補足や例外処理が数字に絡む業務では、読み取り後の確認工程が残るため、削減の幅は小さくなりがちです。
利用者自身が操作する端末を入れる場合は、判断の軸が変わります。今回のように年齢層の幅が広く、しかも利用が特定の時間に集中する場所では、機能の豊富さよりも、迷わず最後まで押し切れるかどうかが結果を左右します。まずは自社の窓口や店頭で、最も混み合う30分のあいだに何人が操作の途中で手を止めるかを、実際に立って数えてみる。省人化が成り立つかどうかの答えは、その光景の中にあります。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
東芝テック株式会社
POS・店舗システムをはじめ、幅広い業種・業態の用途に応じた商品・ソリューションを展開する企業。前払いセルフレジQT-300、自動釣銭機VT-350、流通本部・店舗システムSX-8000とそのオプションサービスであるテナント向けスマートフォンWebアプリTenatriaなどを提供している。
北海道エアポート株式会社
出典・参考情報
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