実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.17
現役教員が講師の生成AI研修、山口の私立中高で校務と授業準備に広がる活用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 新しいツールが現場に定着しない
- 案内文や資料づくりに時間を取られる
- 個人情報の扱いが不安でAIを使えない
どのようなAIの取り組み?
現役の教員が講師を務める研修を通じて生成AIを校内に広げ、校務文書の作成や授業準備に役立てたAI取り組み
業種
中学・高等学校(教育サービス)
取り組み領域
校務・教務/教員向け研修
使ったAI
ChatGPT・Gemini・NotebookLM(生成AI)
主な成果
校長を含むほとんどの教員が生成AIを利用
山口県山口市の学校法人野田学園は、文部科学省の高等学校DX加速化推進事業、いわゆるDXハイスクールに採択されたことを機に、教員向けの生成AI活用へ踏み出しました。校内推進を担う教員と、端末整備を担当する事務職員の二人が中心となり、複数社の説明を比較したうえで、ミカサ商事の「生成AI導入・活用サポート」を採用。現役の教員が講師を務め、生成AIとは何かという基礎から、校務や教務での使い方までを扱う研修が段階的に行われました。研修を経た現在は、保護者向けの案内文づくりや文章の添削、指導案や小テストの作成、受験にかかわる文書業務など、教員の日常のさまざまな場面でChatGPTやGeminiが使われています。
出典:【学校法人野田学園】教育現場での生成AI活用事例 – DXハイスクールの補助金を利用した生成AI導入 - ミカサ商事 | 教育機関向けGoogle Workspace for Education、Chromebook導入支援 発行元:ミカサ商事株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
生成AIの導入を決めた時点で校内にあったのは、反発ではなく沈黙でした。研修の実施が決まっても賛成も反対もなく、反応そのものがほとんどない。デジタルスキルに不安を抱える教員にとってはニュースで名前を聞く程度の存在で、推進役の教員自身も、事前に触れたChatGPTには「質問すれば答えてくれるツール」という以上の印象を持てずにいました。生徒の情報を日々扱う学校という性質上、個人情報やセキュリティへの不安も残っていました。
編集部の見立てでは、この沈黙こそが最も厄介な状態だったのではないでしょうか。反対意見なら議論の糸口になりますが、無反応は、生成AIが自分の担当業務とどう結びつくのか像を結べていないことの表れです。困りごとの本質は教員のスキル不足でも心理的な抵抗でもなく、「これは自分の仕事に関係がある」と思える接点が、まだ誰にも用意されていなかったことにあります。
どうやって、うまくいったのか
研修の講師に現役の教員を据えるという選定基準が、この取り組みの起点になっています。野田学園は複数社の説明をオンラインで受けたうえで、教壇に立っている教員が講師を務める点と、教員向けの内容の充実を決め手としました。大学の研究者や企業の専門家が語る先進的な話は学びにはなっても、聞き手が自分ごととして受け取りにくい。講師の権威よりも聞き手との距離を優先したこの判断が、無関心という壁に正面から効いたと考えられます。
研修の中身を「生成AIとは何か」という基礎から始め、校務と教務という全教員に共通する業務へ寄せた設計も見逃せません。プログラミングの生成は情報科以外の教員には縁遠く、「こんなこともできるのか」で終わってしまう題材です。逆に、簡単なプロンプトを入力した瞬間に答えが次々と返る場面を最初に置いたことで、参加者は自分の手元で効果を確かめられます。セキュリティについても、利用を禁じるのではなく、生徒の名前などの個人情報は入力しない、NotebookLMのような閉じられた環境ならここまでは扱える、と線を具体的に引いた点が、不安を残さないやり方でした。
校内での広げ方は、最初のハードルを意図的に低く置き、「とりあえず使ってみよう」から始める組み立てです。この学校にはGoogle Classroomを浸透させた経験があり、そのとき効いたのはマニュアルを読ませることではなく、疑問が出たときに気軽に聞ける人を近くに配置したことでした。ツールを配るだけでは動かず、人に聞ける状態と、日常会話のなかで話題に上がる状態をつくることが定着を左右する——その理解が、生成AIの推進にもそのまま引き継がれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
研修は、これまで校内で行われたもののなかで教員が最も熱心に参加したものとなり、入力した瞬間にさまざまな答えが返ってくる様子に驚きの声が上がりました。現在は校長を含めほとんどの教員が生成AIを利用しており、保護者向け案内文の抜け漏れの点検や表現の言い換え、指導案づくりや小テストの作成、高校三年生の推薦書・志望理由書の添削といった場面で使われています。導入前にあった個人情報やセキュリティへの不安は解消され、担当者の調整業務は増えたものの、教員全体の負担は想定したほど増えていないという受け止めです。
うちでも使える?
応用しやすいのは、文章を書く・直すという作業が組織全体に薄く広がっている職場です。案内文、企画書、添削のように、成果物の形が担当者によって大きく変わらない仕事であれば、この事例と同じく最初の一歩で手応えを得やすいでしょう。一方で、扱う情報に個人情報が多く含まれる現場では、入力してよい範囲を具体的な言葉で示せる人がいるかどうかが分かれ目になります。この事例でも、禁止事項と許容範囲の両方が示されたことが不安の解消につながっており、ルールの文書を配るだけでは同じようにはいきません。
また、講師を「現場の人」にできるかどうかは、業種や社内人材の事情に左右されます。外部に依頼できない場合でも、先に使い始めた同僚に自分の業務での使い方を語ってもらう形で、近い効果は狙えます。手をつけるなら、次に出す社外向けの文書を一本だけ選び、下書きを生成AIに読ませて「抜けている項目はないか」と尋ねてみる。自分の仕事との接点があるかどうかは、それだけで見当がつきます。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
ミカサ商事株式会社
Google for Education 正規販売パートナー。教育機関向けの Google Workspace for Education や Chromebook の導入支援に加え、「生成AI導入・活用サポート」として現役教員が講師を務める生成AI研修を提供している。
学校法人野田学園(野田学園中学・高等学校)
出典・参考情報
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