実施 2025.10 ・ 更新 2026.08.17
3万人の会員離脱を防ぐため約1カ月で開設した青山商事の臨時コールセンター
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 期間限定の電話窓口を急いで作りたい
- 電話設備の導入コストが見合わない
- 設定変更のたびに業者待ちになる
どのようなAIの取り組み?
クラウド型のコンタクトセンター基盤で、アプリ刷新に伴う約3万人の会員離脱を防ぐ臨時窓口を約1カ月で立ち上げたAI取り組み
業種
紳士服小売・EC(小売・流通・EC)
取り組み領域
臨時コールセンター/電話問い合わせ対応
使ったAI
Amazon Connect(クラウド型電話窓口・合成音声)
主な成果
発注から約1カ月で臨時窓口の運用を開始
「洋服の青山」「SUIT SQUARE」を展開する青山商事は、会員証機能とECを統合した公式アプリを2024年に大規模リニューアルしました。その開発途中で、既存ユーザーが一度ログアウトされ再ログインが必要になることが判明し、マーケティング部門の調査では約3万人の会員が再ログインできずに離脱する恐れが示されます。同社は店舗の接客端末に再ログイン支援機能を加えるとともに、電話での問い合わせを受ける臨時のコールセンターを設ける方針を固めました。従来型の電話設備を敷く方法、既存のお客様相談窓口の拡張、外部委託を比較したうえで採用されたのが、クラスメソッドが提案したAmazon Connectによるクラウド型の窓口です。導入はクラスメソッドが環境一式を構築して提供する「スタートパッケージ for Amazon Connect」で進み、発注から約1カ月で運用が始まりました。
出典:青山商事様事例| 3万人のアプリユーザー離脱を防ぐために青山商事が短期間で実現した臨時コールセンターの舞台裏 |クラスメソッド 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
発端は、アプリを作り直すと既存ユーザーが一度ログアウトされるという、開発の途中で判明した仕様上の制約でした。マーケティング部門の調査では、約3万人の既存会員が再ログインにたどり着けないまま離脱してしまう恐れが見えています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「問い合わせが増える」という量の問題ではありません。会員数を業界でもトップクラスと位置づけ、実店舗とECをつなぐ入口としてアプリを重視してきた以上、再ログインという一手間でつまずいた会員は、購買のきっかけごと失われかねない。失うのは電話対応の工数ではなく顧客との接点そのもので、しかも猶予はリニューアルの実施日までという、期限を動かせない種類の課題だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
臨時コールセンターの検討で効いたのは、「短期間しか使わない窓口」という前提を、そのまま選定の評価軸に置いた点です。電話線を引いて録音装置や電話機を揃える従来型の構築は、準備期間も運用期間も短いという今回の条件では高コストで無駄が多いと判断され、既存のお客様相談窓口を拡張する案は通常業務の品質低下を招く懸念から見送られました。コールセンターごと外部に委託する方法も、コストに加えてオペレーターの教育に時間がかかる点が条件と噛み合いませんでした。恒久的な設備としての最適解を探すのではなく、期間限定という制約に合う形へ絞り込んだ判断が、クラウドサービスの採用につながっています。
もうひとつは、設定を利用側の担当者が直接触れる状態にしたことです。着信からどのオペレーターに割り当てるか、保留中の呼をどう処理するかを画面上で組み立てるコンタクトフローという仕組みを使い、IT・システム部の担当者は操作レクチャーを受けたうえで電話の振り分けルートを自ら設定しました。実際に一部のオペレーターへ着信しない設定の誤りが起きていますが、気づいた本人がその場で修正し、即座に反映されています。音声ガイダンスも原稿を書いて入力すれば合成音声になるため、運用しながら直せる状態を先に用意したことが、日程の動かせない立ち上げでは効いたと考えられます。
支援側との役割分担も、この短期構築を成り立たせた要素です。環境一式を構築して提供する導入パッケージが初期の立ち上げを引き受け、日々の設定変更は利用側が担うという線引きによって、外部の手を借りる範囲と自分たちで回す範囲がはっきり分かれました。スコープの内と外を明確にする進め方は、待ち時間や手戻りが致命傷になりやすい短期プロジェクトと相性のよい設計だったのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
発注から約1カ月で運用が始まり、臨時コールセンターは当初の予定どおり閉局しました。設定の誤りが見つかった場面でも、担当者自身が修正してその場で反映できています。この取り組みの実績は社内の他部門にも波及し、既存のお客様相談室とECカスタマーサポートを統合したうえで、コールセンターのシステムを従来のものから更新する検討が進んでいます。なお、リアルタイムの文字起こしや感情分析といった機能は、現時点では運用やマーケティングには使われておらず、今後に向けた活用余地として残されている段階です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、システムの切り替えやキャンペーンのように、電話が一時的に集中する時期があらかじめ読めていて、しかも開始日を後ろにずらせない場面です。設備を持たずに番号を用意でき、着信の振り分けや音声ガイダンスを画面上で組み替えられる構成は、短い期間だけ立てて畳む窓口と噛み合います。判断の分かれ目は、設定変更を自分たちで引き受ける担当者を一人でも置けるかどうかで、ここを外部任せにすると、この事例で効いた「気づいたその場で直す」という利点は薄れます。
一方で、この形がそのまま当てはまらない領域もあります。今回の窓口が扱ったのは再ログインの手順という説明可能な用件でしたが、商品や契約の個別事情に踏み込む相談では、受け皿を短期間で用意できてもオペレーター側の知識が追いつかず、教育の時間がそのまま制約になります。恒久的な窓口として長く使う前提なら、比較すべき条件も初期構築の速さから運用コストへ移ります。まずは、自社の電話窓口で流れている音声ガイダンスの原稿を、誰が何日あれば書き換えられるのか。そこを確かめるところから。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:音声・音響
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド
クラウドのインテグレーションやマネージドサービス、クラウド活用推進、セキュリティ・ガバナンス、データ活用、生成AI活用支援、組織開発・人材育成などを手がける。ChatGPTやAmazon Bedrockといった生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発までを支援し、支援実績は5,600社以上。
青山商事株式会社
出典・参考情報
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