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  5. 終わらない目視チェックをどう減らすか。AIに明らかな不良を弾かせる仕組みづくり|株式会社日本線路技術の導入事例

✓ やさしく事例解説
運輸・物流
鉄道の線路検測・線路設備の保全管理サービス

実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.13

終わらない目視チェックをどう減らすか。AIに明らかな不良を弾かせる仕組みづくり

開発(実装支援・AI搭載支援)

※イメージ画像です

終わらない目視チェックをどう減らすか。AIに明らかな不良を弾かせる仕組みづくり のプロジェクト概要図解

取り組み概要

やさしく事例解説

プロジェクト解析

実施・導入企業

こんな方へおすすめのAI解説です

  • 目視チェックに人手を取られている
  • 撮影データが多すぎて確認が追いつかない
  • 点検の判定が担当者ごとに揺れる
OVERVIEW

どのようなAIの取り組み?

物体検出と異常検知を組み合わせたAIで線路設備の撮影画像を一次判定し、1ヶ月あたり100時間の工数削減を見込むAI取り組み

業種

線路検測・保全管理(運輸・物流/鉄道)

取り組み領域

線路設備の点検画像の不良判定

使ったAI

物体検出+異常検知の画像AI(教師あり/教師なし学習を選択)

主な成果

1ヶ月あたり100時間の工数削減を見込む

終わらない目視チェックをどう減らすか。AIに明らかな不良を弾かせる仕組みづくり のプロジェクト概要図解

鉄道の線路保全管理サービスを手がける日本線路技術と、オーダーメイド型AI開発のLaboro.AIが、線路設備の機能不全や異常を自動判定する「線路設備不良判定AI」を共同で開発しました。営業車両の床下に取り付けた検査装置(カメラ)で線路設備を撮影する「線路設備モニタリング装置」の画像を対象に、保全の一連の流れである検査・不良判定・修繕計画・修繕のうち、二番目の不良判定を自動化する狙いです。運用は、画像から明らかに分かる不良をAIがスクリーニングし、そこから外れる判断の難しいケースだけを人が目視で最終判定する形をとっています。ボルト、マクラギ、締結装置、軌道パッドなど十数種類の部材に対応し、2023年11月から実運用が始まり、現在も継続されています。

出典:線路設備の異常を自動判定する「線路設備不良判定AI」を開発・実運用化 | 株式会社Laboro.AIのプレスリリース 発行元:株式会社Laboro.AI(PR TIMES)

EASY GUIDE

やさしく事例解説

何に困って、AIを入れたのか

線路設備の検査は目視での確認が多くを占め、膨大な人手と労力がかかる一方で、鉄道業界は社員の減少に直面していました。日本線路技術は「線路DX」というコンセンプトのもとで先端技術の活用を進め、その一つとして営業車両の床下カメラで線路設備を撮影する線路設備モニタリング装置を取り入れています。ただし、この装置は検査員が現地に出向く頻度は下げたものの、撮影された画像の確認・判定は依然として目視で行う必要が残りました。

ここで注目したいのは、困りごとが「消えた」のではなく「移った」という構造です。現地での歩行検査という作業が、机の上で大量の画像を1枚ずつ見る作業に置き換わった。データ処理延長は約6600kmに及ぶ規模であり、撮影が自動化されればされるほど、見なければならない画像は増えていきます。つまり本質的な課題は撮影の効率化ではなく、増えた画像のうち「人が見る必要のあるもの」をどう絞り込むかにあったのではないでしょうか。

どうやって、うまくいったのか

効いたと考えられるのは、AIに最終判断を任せず、人が見る対象を減らす道具として位置づけた設計です。この取り組みでは、画像から明らかに分かる不良をAIがスクリーニングし、そこから除外される判断の難しいケースだけを人が目視で確定させる流れをとっています。判定の責任を人に残したまま作業量だけを削るこの切り分けは、鉄道の安全という譲れない前提と、現場の省力化という要求を同時に成り立たせる現実的な落としどころだと言えます。全画像を人が見るか、全判定をAIに委ねるかの二択で考えなかったことが、実運用に載せられた大きな理由でしょう。

もう一つは、対象を一つのモデルで押し切らず、部材ごとに技術を選び分けた点です。ボルト、マクラギ、締結装置、軌道パッドといった部材はカテゴリーが複数あるだけでなく、環境や用途によって構造や素材が異なり、検出すべき異常のパターンや判定基準もそれぞれ違います。ボルト一つを取っても脱落、緩み、破損と不良のパターンが分かれ、類似した部材が並ぶという難しさもあります。この取り組みでは、過去に集まっているデータの量と質、そして判定基準の状況に応じて、教師あり学習と教師なし学習のどちらが適するか、どのAIモデルを使うかを調査したうえで選択しています。物体検出(画像の中から部材の位置を見つける技術)で対象を切り出し、異常検知で状態を見るという組み合わせも、部材ごとの事情に合わせて使い分けるための土台になっているはずです。

現場のデータ処理を担う側とAI開発を担う側の役割分担も見逃せません。装置管理とデータ処理を日本線路技術が受け持ち、Laboro.AIがオーダーメイド型のAI開発を担うという組み合わせは、判定基準という業務知識と、モデル選定という技術判断のどちらも欠かさない体制につながります。加えて両社は、精度向上を続ける前提でMLOps(機械学習モデルを運用し改善し続けるための基盤)を見据えた体制づくりを目標に掲げており、作って終わりにしない構えが最初から織り込まれています。

具体的に、どんな成果が出たのか

改善・向上したこと

業務の自動化
人手不足の解消
生産性向上
コスト削減
品質・安全性向上
属人化解消

推進したこと

組織変革・DX推進
新サービス・製品開発

この事例で出た成果

全画像を目視で判定していた従来の運用と比べ、1ヶ月あたり100時間の工数削減が見込まれています(この数値にはJR東日本が開発したAIの効果も含まれます)。判定対象は十数種類の部材に及び、一部の部材では8割以上のスクリーニング効果が得られています。2023年11月から実運用が始まり、現在も運用が続いていることは、精度が現場の判断フローに耐える水準にあることを示す材料と見てよいでしょう。両社は今後も精度向上の取り組みを継続する予定です。

うちでも使える?

この考え方が応用しやすいのは、点検や検品の画像が既にたまっていて、かつ「明らかに問題なし」「明らかに不良」と言い切れるものが一定量含まれる業務です。AIに全件の合否を決めさせるのではなく、判断に迷わない分だけを先に振り分けて人の目を空けるという発想であれば、精度が100%でなくても運用に組み込めます。逆に、判定が現場の状況や経験に強く依存し、明確な基準に落としにくい対象では、スクリーニングの網が広がりすぎて確認対象が減らない可能性があります。

もう一つの前提は、対象物の種類ごとに事情が違うことを許容する姿勢です。この事例のように部材ごとに判定基準や不良パターンが異なる場合、一つのモデルで全部を賄おうとすると設計が破綻しかねません。手元のデータ量に応じて手法を変えるという判断を、初期段階から想定しておく必要があります。まずは自社の点検画像を1種類の対象物に絞り、「迷わず良品と言える画像」がどれくらいの割合を占めるか数えてみるところから。その比率が、削れる工数の上限をおおよそ教えてくれます。

この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。

ANALYSIS

プロジェクト解析

プロジェクト内容

AI導入・支援形態

AIシステム受託開発
プロジェクト伴走支援(共創・内製化)

導入部門・データ活用

導入部門:全社共通・汎用業務

AIによる定型業務の自動化
線路保全業務
外観検査・不良品検知
設備異常検知・予知保全
インフラ点検・老朽化検知

活用したデータ:数値・Excel・ログ

品質検査・測定データ
製品・部品画像
車両床下カメラによる線路設備の撮影画像

採用したAI技術・ツール

採用したAI技術:画像AI

異常検知
外観検査
物体検出
機械学習(数値データからの予測・推論)
教師あり学習/教師なし学習の使い分け

連携ツール

連携したシステム・外部サービス

線路設備モニタリング装置(車両床下搭載カメラ)
COMPANIES

プロジェクト実施・導入企業

実施・支援企業 (VENDOR)

株式会社Laboro.AI

東京都中央区銀座八丁目11-1
設立:2016年4月1日
東京都中央区銀座八丁目11-1
設立:2016年4月1日

機械学習を活用したオーダーメイド型AI『カスタムAI』の開発、カスタムAI導入のためのコンサルティングを行う企業。東証グロース上場。

この取り組みに関心があれば 株式会社Laboro.AIの公式情報をご覧ください

導入先企業 (CLIENT)
株式会社日本線路技術
業種:鉄道の線路検測・線路設備の保全管理サービス

出典・参考情報

※本事例は以下の公開情報を元にWarpBiz編集部がリサーチ・作成しました。

線路設備の異常を自動判定する「線路設備不良判定AI」を開発・実運用化 | 株式会社Laboro.AIのプレスリリース

発行元:株式会社Laboro.AI(PR TIMES)

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