実施 2025.01 ・ 更新 2026.08.16
1万人へのCopilot展開で月5.6時間削減、東芝の社内定着づくり
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 会議と資料づくりに時間が消える
- AIを配ったのに誰も使わない
- 自由記述アンケートの集計が重い
どのようなAIの取り組み?
Microsoft 365 Copilotを従業員1万人規模へ広げ、先行導入で1人当たり月5.6時間の業務時間削減を確認したAI取り組み
業種
総合電機・社会インフラ機器(製造業)
取り組み領域
全社共通の会議・資料作成/総務・設計・広報・調達の業務プロセス
使ったAI
Microsoft 365 Copilot(生成AIアシスタント)
主な成果
先行導入で1人当たり平均5.6時間/月の業務時間削減を確認
東芝は2024年5月に公表した中期経営計画のもとで、従業員一人ひとりの生産性と創造性を高める手段としてMicrosoft 365 Copilotの全社展開を進めています。まずは約400人規模で試験的に使い、業務時間がどれだけ減ったかという数字の面と、使った本人が効果を実感できるかという体感の面の両方を検証。その結果を踏まえ、当初想定の5,000人から1万人へと導入規模を引き上げました。展開にあたっては社内の生成AI活用推進プロジェクトが利用ガイドラインの整備や部門への伴走を担い、業務ごとの使い方をまとめたユースケースカタログや部門別ワークショップで利用を後押ししています。総務や設計、広報、調達といった部門では、単発の作業短縮にとどめず、業務プロセス全体を対象に活用範囲が広げられました。
出典:「東芝再興計画」実現に向け、“稼ぐ力”を強化するために Microsoft 365 Copilot を従業員 1 万人に導入。業務プロセス全体の効率化へ活用シーンを拡大 | Microsoft Customer Stories 発行元:日本マイクロソフト(Microsoft Customer Stories)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
経営層が主要拠点や工場を回り、延べ1万人の従業員と直接話をしたところ、中堅・若手からはオンライン会議や会議用資料の作成に時間を取られているという声が多く挙がりました。一方で経営側が掲げていたのは2027年3月期に売上高3兆7500億円、営業利益率10%という目標であり、人・事業・技術開発へリソースを振り向けるには損益分岐点を下げる必要がありました。
編集部の見立てでは、この事例の困りごとの本質は「作業が多い」ことそのものではなく、時間の使い道が意思決定や議論といった価値の出る側へ配分されていなかった点にあります。効率化は目的ではなく、意思決定の迅速化と各階層での議論の活性化こそが狙いだと社内で明言されている点は見逃せません。時間削減を最終目標に置かなかったことが、その後の展開の方向を決めたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
先行導入の検証を、定量と定性の二軸で設計したことが出発点になっています。業務時間がどれだけ減ったかという経営に説明できる数字と、使った本人が役に立ったと感じられるかという継続利用の条件を、別々の検証ポイントとして置いた設計です。前者だけでは現場が使い続けず、後者だけでは全社展開の判断材料にならない。その両面を最初から織り込んだ判断だったと読み取れます。
利用を広げる仕掛けを「使わせる」ではなく「使いたい」の側に振り切った点も効いています。業務ごとの使い方と、その結果どんな回答が返ってくるかをメニュー形式で並べたユースケースカタログは、初めて触れる人がぶつかる「何に使えばいいのか分からない」という壁を、選んで試すだけの動作に置き換える設計です。部門別ワークショップでも、AIの使い道を教えるのではなく各部門の困りごとを聞く姿勢が貫かれ、Copilot、Power BI、Excel、RAG(社内データを検索してAIの回答に使う仕組み)のどれで解くべきかが仕分けられました。生成AIで解かない選択肢を残したことが、かえって現場の納得感につながったと考えられます。
単発の時間短縮を業務プロセス単位の改革へ引き上げる視点も、この取り組みに固有の工夫でした。議事録作成や翻訳のような使い方は効果が分かりやすい反面、前後の作業が変わらなければ全体の流れは速くならない。そうした認識のもと、活用シーンを複数組み合わせてプロセス全体で効果を出す進め方が取られ、ファイルサーバー以外に散在していた資料をSharePointへ集約する地道な整備も、AIが参照できる場所にデータを置くための前提条件として位置づけられています。ライセンス費用を全社予算ではなく受益者負担としたやり方も、導入そのものが目的化するのを防ぐ仕掛けとして働いた面がありそうです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
約400人の先行導入では95%が実務で利用し、1人当たり平均5.6時間/月の業務時間削減が確認されました。参加者の7割超が継続利用を求めたことも、1万人規模への展開判断を後押ししています。業務プロセス側では、従業員調査に寄せられた7万件のコメント分析が総務部門で従来3か月を要していたところ1日で完了し、資料をSharePointへ集約したことで問い合わせ対応の速度も上がりました。導入はほぼ1万ユーザーに達しています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、会議・資料作成・メールといった文書中心の仕事が業務時間の多くを占め、その資料をクラウド上の共有場所に置ける組織です。逆に、見積書や図面が個人PCや古いファイルサーバーに残ったままの状態では、AIに聞いても手元の情報にたどり着けず、カタログを配っても「便利そうだが自分の仕事では使えない」で止まります。部門の困りごとを聞き取って、生成AI・BIツール・表計算のどれで解くかを仕分ける担い手が社内にいない場合も、この形はそのままでは機能しにくいでしょう。受益者負担という費用の持ち方も、部門に予算の裁量がある組織を前提にしている点は割り引いて考える必要があります。
手を付けるなら、直近に開いた会議を一つ選び、案内・事前資料・当日の議論・議事録・その後の共有という流れのどこにAIを挟めるかを、単発の作業ではなく前後のつながりごと眺めてみる。そこで「AIを挟んでも前工程の準備が増えるだけ」と分かるなら、それも十分な収穫ではないでしょうか。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
マイクロソフト
Microsoft 365 Copilot、Microsoft 365、Microsoft Viva Insights、Microsoft Power BI、Microsoft SharePoint などの製品・サービスを提供し、顧客の AI 活用を伴走型で支援する企業。
株式会社東芝
出典・参考情報
発行元:日本マイクロソフト(Microsoft Customer Stories)
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