実施 2025.07 ・ 更新 2026.08.13
顔認証で手ぶら入場と決済、ゴルフ大会で試したCCCMKとNECの顧客体験づくり
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 受付や決済の行列をなくしたい
- 新しい技術に客が抵抗しないか不安
- イベントの体験価値を高めたい
どのようなAIの取り組み?
ゴルフトーナメント会場で顔認証による手ぶらの入場・決済を提供し、技術の受容性と運用課題を見極めた取り組み
業種
ポイント・ライフスタイル企画事業(生活関連サービス/イベント運営)
取り組み領域
イベント会場の入場受付・店舗決済
使ったAI
顔認証(画像AIによる本人確認)
主な成果
手ぶらでの入場・決済が好意的に受け入れられ、通信環境と登録手順の課題を把握
女子プロゴルフツアー「Vポイント×SMBC レディスゴルフトーナメント」の会場で、観戦客が顔だけで入場ゲートを通過し、飲食やグッズの支払いも済ませられるサービスが提供されました。主催するCCCMKホールディングスおよびカルチュア・コンビニエンス・クラブが、顔認証技術を持つNECに声をかけて企画したもので、対象はこのサービスを利用できる特別なチケットを購入した観戦客に限定されています。体験した購入者にはVポイントを進呈する特典も設けられました。狙いは、観戦客に新しい体験を届けて大会を盛り上げることと、顔認証の成熟度・リスク・受け入れられ方を実地で確かめ、活用の知見を蓄えることの二つ。運用を通じて、会場の通信環境や事前の顔登録の進め方といった課題も浮かび上がっています。
出典:手ぶらでの入場と決済に多くの人が笑顔 ゴルフトーナメント会場で証明された顔認証の価値 発行元:NEC wisdom
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
顔認証は、なりすましが難しく、カードやパスワードを持ち歩かずに非接触で本人確認ができる技術として、政府機関や空港から、マンション、ホテル、イベント会場、店舗決済へと用途を広げてきました。一方で、海外では学習データの偏りによって特定のグループで認証精度に問題が出た事例があり、国内では「不安」を理由に実証実験が中止になったこともあります。CCCMKホールディングス側も、現在の技術がどこまで成熟しているのか、どんなリスクがあるのか、そして顧客が受け入れてくれるのかを見極めたいという問題意識を語っています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「認証精度が足りない」という技術上の課題ではなく、生活者が顔を預けることにどこまで納得するのかという、受容性の見通しが立たない点にあったのではないでしょうか。精度が世界水準に達していても、使う場面と伝え方を誤れば拒否反応が先に立つ。だからこそ、机上の検討ではなく、実際の顧客が集まる場で反応を確かめる必要があったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
参加者を「サービスを利用できる特別なチケットを購入した人」に絞った設計が、この試みを成立させた土台だと考えられます。全来場者に一律で適用するのではなく、内容を理解したうえで自ら選んだ人だけが体験する構造にしたことで、顔情報を扱うことへの心理的な摩擦を最小限に抑えられます。体験者へのVポイント進呈という特典も、単なる販促というより、初めての技術を試す一歩を後押しする仕掛けとして働いたのではないでしょうか。
適用範囲を入場ゲートと飲食・物販の店舗ゾーンに限定した点も見逃せません。ゴルフ観戦は移動が多く、チケットや財布、スマートフォンを出し入れする手間が体感的な負担になりやすい場面です。顔認証が本来持つセキュリティの側面ではなく、「手ぶらで通れる」「支払いが早い」という利便性が前面に出る場所を選んだことが、技術への警戒よりも驚きや納得が先に来る体験につながったと読み解けます。
うまくいった点だけを持ち帰らなかった運用姿勢も、この取り組みの特徴です。市街地から離れたゴルフ場では通信環境が十分でない場合があり、通信を前提とする顔認証では対策が要ること、事前の顔登録に気づかないまま来場する人がいて、登録のプロセスや画面の作りに見直しの余地があること。こうした発見を、多くの人に喜ばれたことと同等の成果と位置づける考え方は、社会実装を段階的に進めるうえで実務的です。技術提供にとどまらず、大阪大学と共同で顔認証のELSI(倫理的・法的・社会的課題)の研究を進める取り組みが背景にあることも、適正な使い方を探る姿勢を支える要素と言えます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
チケットの売れ行きと当日の様子から、サービスは好意的に受け入れられたと評価されています。利用した観戦客はチケットや財布、スマートフォンを取り出さずに入場や決済ができる点を便利だと口をそろえ、「すごい」「本当にできた」と笑顔になる人が多く見られました。事前登録をしていなかった高齢の夫婦が、その場で顔登録をしてまで利用を望んだ場面もあります。同時に、通信環境と登録プロセスという具体的な改善点も把握されました。NEC主催の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」では、前年に物販店舗と一部の来場者に限って顔認証決済を実施しており、今回はキッチンカーも対象に加え、来場者全員が利用できる形に広げる企画が進められています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、来場者や利用者が事前に申し込む形をとれて、入場と決済という接点が同じ場所に集まっているイベントや施設です。展示会、会員制のラウンジ、フェスや大会など、待ち時間の短縮がそのまま体験の質に直結する場面では、顔認証の利点が伝わりやすいでしょう。反対に、通りすがりの不特定多数が主な客層で、事前の登録や説明の機会を持ちにくい業態では、同じ手応えは得にくいと考えられます。屋外や郊外の会場では通信環境が前提条件になる点も、この事例が示した現実的な制約です。
始めるなら、いきなり全来場者を対象にせず、対象を限定した回を一度設けて、登録から利用までのどこで人がつまずくかを実際に観察するところから。顔情報という扱いに配慮が必要なデータを使う以上、参加は本人の選択に委ねる形にできるか、その一点を先に確かめておきたいところです。
この事例は2025年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
NEC
米国国立標準技術研究所(NIST)の顔認証ベンチマークテストで複数回No.1を獲得した顔認証技術を持つ企業。生体認証を軸に、リテール・金融(デジタルファイナンス)分野などへソリューションを提供し、大阪大学と共同で顔認証技術のELSIに関する研究も進めている。
CCCMKホールディングス株式会社
出典・参考情報
手ぶらでの入場と決済に多くの人が笑顔 ゴルフトーナメント会場で証明された顔認証の価値
発行元:NEC wisdom
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