実施 2026.01 ・ 更新 2026.08.13
ツルハHDとNECが共催した分析コンテスト、実データで挑むDX人材育成
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内の経験則から抜け出せない
- データはあるが読み方が固定化
- 分析が一部の部署だけの話になっている
どのようなAIの取り組み?
ドラッグストアの実データを題材にしたデータ分析コンテストを共催し、社内外の人材のデータ活用力と発想を引き出した共創の取り組み
業種
ドラッグストア(小売・流通)
取り組み領域
データ活用人材育成/売上予測・企画立案
使ったAI
機械学習による売上予測、生成AI活用アイデア
主な成果
実データ題材で高精度の売上予測と現場提案が生まれ、入賞案の具体化プロジェクトが始動
NECが9年続けているデータ分析コンテスト「NEC Analytics Challenge Cup」の2025年開催で、ツルハホールディングスが共催者としてデータを提供しました。題材となったのは札幌市内のツルハドラッグ店舗のPOSデータ、店舗属性データ、商品カテゴリーマスター、チラシキャンペーン情報です。部門は、ある店舗の1カ月後の売上予測を競う予測精度コンテスト、分析を起点にビジネス変革プランの実現性と新規性を競うデータ活用コンテスト、そして生成AIにテーマを絞ったアイデア企画コンテストの3つ。参加者はNECグループ社員に加え、顧客企業や学生など社外にも開かれ、アイデア企画は約1カ月をかけて練り上げる形式が採られました。
出典:ツルハHDとNECが共創したデータ分析コンテスト デジタル人材の技術力と発想力の現在地 発行元:NEC
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
ツルハホールディングス側が共催を決めた背景には、長年ドラッグストア事業を手掛けてきたことによる「この商品はこう売れるはずだ」という経験則が先に立ち、データの新しい読み方に気付けないという自覚がありました。一方で同社は5年前にスマホアプリを立ち上げ、会員売上の約5割がアプリ経由、ダウンロード数は1200万を超えるという環境を築き、ID-POSとアプリデータを組み合わせて購買傾向や来店頻度を把握できる状態にあります。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとはデータの不足ではなく、むしろ「解釈の型が一本化してしまうこと」にあったのではないでしょうか。データが増えるほど、既存の勝ちパターンを裏づける読み方に引き寄せられやすくなります。外部の視点を招き入れる選択は、分析基盤への投資では埋まらないこの偏りを、人の側から崩そうとした判断だと読み取れます。
どうやって、うまくいったのか
実在の店舗データを題材に据えた設計が、参加者の関わり方そのものを変えています。架空データでもコンテストは成立しますが、自分の提案が実際のビジネスに還元されるかもしれないという実感が生まれることで、参加者のなかには実際に店舗へ足を運び、数字の裏にある事実を確かめようとする動きも見られました。数値の背後にある現場を確認しにいく行動は、分析スキルの訓練としてはむしろ本丸に当たる部分で、データセットを配って終わりにしない題材選びがそこを引き出したと考えられます。
競う軸を3つに分けた構成も効いています。予測精度、データを起点とした変革プランの実現性と新規性、そして生成AIに絞ったアイデアの斬新さ。求める答えの性質が異なるため、モデルづくりが得意な人と、業務や現場の文脈から発想する人が、それぞれ別の土俵で力を発揮できます。さらにアイデア企画は数時間で結論を出す短期戦ではなく約1カ月をかけ、参加者が主催者に質問できる機会を複数回設けました。データや業務の前提を問い直しながら仮説を練る進め方は、実際の企業のデータ活用プロジェクトの進行に近く、コンテストを演習ではなく実務の縮図に寄せる工夫と言えます。
生成AIをアイデア企画のテーマに限定した判断も、育成の観点から意味を持ちます。ハルシネーションなどの課題を理由に慎重論が出やすい領域を、あえて「間違ってもいいからまず使う」場として切り出したことで、社内メンバーが可能性と限界の両方を自分の手で確かめる機会になりました。加えて、NECグループ社員・顧客企業・学生という立場の異なる参加者が同じ題材に取り組む「越境」の構造が、視点の固定化を崩す装置として働いています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
予測精度コンテストでは、手法が確立され既存アプローチに引きずられがちな売上予測の領域で、多くの参加者が新しいモデル構築に挑み、高い精度を出しました。アイデア面では、分析結果を店舗オペレーションまで落とし込みアルバイトスタッフを含む現場全体で改善に取り組む提案、店内に生成AIを活用したロボットを置いてデータを蓄積する案、調剤薬局の待ち時間を活かす案、車での移動時間に生成AIで情報共有や学習を支援する学生からの案などが挙がっています。ツルハホールディングスでは入賞者と連携して提案を形にするプロジェクトが既に立ち上がり、社内にデータ起点で考える意識が広がることへの期待も語られています。
うちでも使える?
自社データを外部に開いて発想を募るやり方は、購買履歴や来店データのように現場の解釈が定まりすぎている領域を抱える企業ほど、効き目が出やすいと考えられます。特に、既存の分析が「経験則の裏づけ」に使われがちだと感じている場合、社外の人が同じデータをどう切るかを見るだけでも、読み方の選択肢が増えます。一方で、提供できるデータの粒度や範囲を整理し、外部に出せる形に加工する作業は避けて通れません。個人が特定されうる情報や、競合に知られたくない領域を含むデータでは、そもそも題材化のハードルが高くなります。また、出てきた提案を受け止めて具体化する社内の受け皿がなければ、良いアイデアも一過性のイベントで終わります。
規模の大きなコンテストをすぐに開くのが難しければ、範囲を絞った小さな形から試す手もあります。たとえば一部店舗・一部期間のデータで、社内の別部門や取引先に「同じ数字から何が読めるか」を一度出してもらう。自部門の解釈といくつずれたかを数えてみると、思い込みの厚みが見えてきます。
この事例は2026年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
プロジェクト実施・導入企業
NEC
データ分析コンテスト「NEC Analytics Challenge Cup」を9年にわたり開催し、社内外の人材が参加する実践的な学びの場としてデジタル人材育成に取り組む。アナリティクスコンサルティング統括部や「BluStellar Academy for AI」を有する。
株式会社ツルハホールディングス
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