実施 2026.03 ・ 更新 2026.08.14
AI基盤を手がける企業が自社ヘルプにRAGチャットボット、一次問い合わせが大幅減
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 同じ質問に何度も答えている
- マニュアルがあるのに読まれない
- 問い合わせ対応で本業が進まない
どのようなAIの取り組み?
自社の生成AIプラットフォームを使い、ユーザーガイドとFAQを参照して答える社外向けチャットボットを構築し、顧客の自己解決を支えたAI取り組み
業種
生成AIプラットフォーム開発(IT・通信)
取り組み領域
カスタマーサクセス/問い合わせ対応
使ったAI
RAGチャットボット(Alli LLM App Marketで構築)
主な成果
基本操作など一次回答領域の問い合わせが大幅に減少
Allganizeは、企業向けのオールインワン生成AI・AIエージェントプラットフォーム「Alli LLM App Market」を開発し、300社以上に提供しています。この事例は、そのプロダクトをカスタマーサクセス部門が自ら使い、顧客向けのRAGチャットボット「チャボ」を構築した取り組みです。RAGは、あらかじめ指定した資料をAIが検索して回答を組み立てる仕組みで、ここではAlli LLM App MarketのユーザーガイドとFAQを読み込ませています。回答文の横には参照元ドキュメントの該当ページがプレビュー表示され、利用者はその場で根拠を確かめながら読み進められます。設置先は自社のユーザーガイドで、顧客とのキックオフ資料でも「困ったらまずチャボに聞く」という導線が案内されました。運用はCS2名が担当し、チャットログをもとに月次で振り返りを行っています。
出典:■導入事例■ Allganizeが自社のRAGで実現した、スケーラブルなカスタマーサクセスの形 発行元:Allganize
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
活用初期の顧客からは、権限まわりや基本操作、プロンプトの書き方、データ設定といった似通った疑問が繰り返し寄せられていました。答えとなる情報はユーザーガイドやFAQ、過去の案内の中に存在していたにもかかわらず、探しても見つからない、該当ページまで辿り着けないという状態が生まれ、確認のためのやり取りが積み重なっていきます。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は問い合わせの件数ではなく、情報の在り処と利用者が使う言葉が噛み合っていなかった点にあります。Alli LLM App Marketはアプリやエージェントの設計自由度が高く、実現できる幅が広いぶん、ユーザーガイドの分量も膨らむ。製品の柔軟性がそのまま「どこを見ればいいか分からない」という負荷に変換されていた構造であり、担当者の数を増やしても解けない性質の課題だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
回答文の横に参照元ドキュメントの該当ページを自動でプレビュー表示し、参照元リンクも同時に提示する。この設計が効いたのは、利用者が「AIの答えが正しいのか」を判断する手間を、根拠をその場で目視する動作に置き換えたためだと考えられます。単なる検索窓であれば探す作業が利用者側に残り、根拠を示さずに答えるだけのAIであれば結局は確認の問い合わせが発生する。答えと根拠を同じ画面に並べた構成が、疑問の解消をチャットの中で完結させたのでしょう。
答えられる領域と答えない領域を先に決め切ったことも、この取り組みの要点です。LLMは本来なら答えにくい質問にも何らかの回答を生成しようとするため、対応範囲外をリリース時の案内と利用画面上で明示し、情報が十分に存在しない場合は回答を作らないようプロンプト側で制御しています。入力が曖昧なときはその具体性をLLMが判断して意図を聞き返すフローも組み込まれ、リリース前の検証でも「対応範囲外のときに無理に答えていないか」が3つの評価軸のひとつに据えられました。答える範囲をあえて狭めることが回答への信頼を保ち、結果として頼られる頻度を押し上げる。逆説的ですが、実運用を成立させた判断だと見ています。
精度の改善をAI側の調整だけで完結させなかった運用も見逃せません。チャットログの質問を「個別事象の確認が必要」「対応範囲外」「マニュアルに情報はあるが適切に参照できていない」「マニュアルに情報自体が存在しない」の4つに整理し、参照ページへのフィードバック、FAQの新規作成、マニュアルの更新・追記へと振り分けています。質問・回答・解決状況を取得できる設計を最初から組み込んだうえで、解決度が「いいえ」となった比率から自己解決率を算出し、CS2名が数値の推移と質問の中身をセットで追う。モデルやプロンプトを変更した際は同じテスト質問セットで再評価する手順も用意され、手を入れるたびに回答が揺れないかを確かめられる形になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
基本操作や用語の説明といった一次回答領域、つまり即座に答えられる範囲の問い合わせは圧倒的に減少しました。一方で『チャボ』への月間質問数は2025年8月の920件から2026年2月には1,360件へと増え、「困ったらまずチャボ」という最初に聞く場所として定着しつつあります。メールでの相談も「チャボに聞いたら」という前置きから始まるケースが出てきており、論点が整理された状態で届くようになりました。顧客からは、即答が難しい質問を受けた際の現場支援に役立つ、作りたいアプリの実現可否をまず壁打ちできるといった声が寄せられています。CSは対応件数を減らすこと自体を目的とせず、活用提案やオンボーディングといった付加価値の高い伴走に時間を振り向けています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、答えがすでに文書として存在しているのに、利用者の言葉と文書の見出しが噛み合わず問い合わせへ流れている領域です。製品マニュアル、社内規程、取引先向けの手続き案内のように、質問の型が繰り返し現れる場面は、根拠となるページを示しながら答える形と相性がよいはずです。逆に、契約状況や個別の設定内容を確認しないと答えが決まらない問い合わせは、この仕組みだけでは完結しません。この事例でも、そうした個別事象は対応範囲外として切り分けたうえで、解決優先度の高いものだけをFAQとして別途用意する形が取られています。文書がまだ整っていない領域に先にAIを置くと、答えられない質問ばかりが集まり、かえって信頼を損ねる可能性も考えられます。
始めるなら、直近の問い合わせを3件だけ選び、その答えが自社のどのページのどこに書かれているかを自分で探してみてはどうでしょうか。辿り着くまでにかかった時間と、そもそも書かれていなかった項目。この2つが、AIに任せられる範囲と、先に文書を書き足すべき範囲の境目を教えてくれます。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
Allganize Japan
企業向けのオールインワン生成AI・AIエージェントプラットフォーム「Alli LLM App Market」を開発し、300社以上に提供している企業。「AIの力で、すべてのビジネスワークフローを自動化する」をミッションに掲げ、導入企業へのカスタマーサクセス業務も自社で担っている。
出典・参考情報
■導入事例■ Allganizeが自社のRAGで実現した、スケーラブルなカスタマーサクセスの形
発行元:Allganize
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