実施 2026.03 ・ 更新 2026.08.15
菓子卸大手の山星屋、営業300名の提案ノウハウをAIで共有する実証実験
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 資料の場所が分からず探し回っている
- データ集計と資料作りに時間を取られる
- 提案の質がベテラン頼みになっている
どのようなAIの取り組み?
営業支援AIエージェントにより、提案ノウハウの共有と資料作成・データ分析の自動化を検証しているAI取り組み
業種
菓子専門商社(卸売・流通)
取り組み領域
営業/提案活動支援
使ったAI
営業支援AIエージェント(Airlake BI Agent)
主な成果
2027年春に営業300名への全社展開を予定(実証実験中)
丸紅グループの菓子専門商社である山星屋と、データ活用を支援するDATAFLUCTが、営業担当者の提案活動を支える自律型の営業AIエージェントの実証実験を始めています。土台となるのはDATAFLUCTのデータ分析自動化AIエージェント「Airlake BI Agent」で、自然な日本語の指示から売上データを解析してグラフまで描く対話型検索、社内に蓄積された資料から必要な情報を抜き出して根拠のスライドまで示す資料抜粋、得意先の企業分析資料や販売実績を解析して示唆を自動生成するAI企業分析という3機能が実装されました。2026年3月に機能を絞った初期導入版(MVP)の運用が一部エリアで始まっており、2027年春には営業担当300名全員への展開が計画されています。
出典:DATAFLUCT、菓子卸大手の山星屋へ営業支援AIエージェントを実装。営業担当者の暗黙知をデータ化し提案力を向上。 | DATAFLUCT[データフラクト] 発行元:株式会社DATAFLUCT
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
菓子卸売の市場が縮小し、コストも上がり続けるなかで、山星屋は2027年度に売上高4,200億円という高い成長目標を掲げています。その一方で営業担当者の時間は、膨大な商品データベースの検索、提案資料のドラフト作成、市場や競合の情報収集、複雑な販売データの分析といった周辺業務に費やされていました。経験の浅い社員が「どこに情報があるか分からない」「先輩に聞かないと進められない」という状態に置かれていたことも、課題として挙げられています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの芯は作業量の多さそのものではなく、提案の質を決める材料が担当者ごとの頭と手元に散らばっていた点にあります。データも過去の資料も社内には存在するのに、取り出す手間が大きいために、結局は誰に聞けるかで提案の中身が左右されてしまう。労働力不足という言葉で語られる問題の内側には、知識の在り処が組織として定まっていないという構造があったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
まず目を引くのは、営業支援と一括りにせず、対話型検索・資料抜粋・AI企業分析という3つの機能に対象を絞り込んで初期導入版から動かし始めた進め方です。いずれも営業担当者が日々繰り返している周辺業務に対応しているため、効いているかどうかを現場が自分の作業時間で判断できます。一部エリアの運用を先に立ち上げ、全社展開までにおよそ1年の助走を置いた設計は、検証と作り込みの余地を意図的に残したものと考えられます。
回答の根拠となるスライドのリンクや実画面をその場で表示する、という資料抜粋機能の作りも見逃せません。生成AIの回答はもっともらしく読めてしまうため、得意先に持ち込む提案の材料としては、裏取りができるかどうかが実用の分かれ目になります。データベースの構造をAIに正しく理解させるスキーマグランディングや、社内データを検索して回答に反映するRAGと呼ばれる技術で誤りを抑える工夫と、根拠を人が確かめられるようにする画面側の工夫が、二段構えで重ねられています。
AIと人の担当範囲を「営業1+1」という言葉で先に定義した点も、この取り組みの特徴といえます。集計や資料作成、情報収集はAIに寄せ、空いた時間を得意先との対話や売り場づくりに充てるという線引きが最初から示されているため、現場は何を任せるべきかを都度悩まずに済みます。目的が作業削減そのものではなく、担当者ごとに差のあった提案力を組織の集合知として標準化することに置かれている点も、機能の選び方に一貫性を与えています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
本取り組みは2026年3月に始まった実証実験の段階にあり、削減時間などの定量的な成果はまだ示されていません。検証を進める営業DX戦略部からは、これまで時間がかかっていたデータ集計や資料作成がチャット感覚で瞬時に終わることに現場とともに驚いている、空いた時間を得意先との対話や魅力的な売り場づくりに使えるという手応えが語られています。2027年春には営業担当300名全員がAIとともに活動する体制の確立が予定されており、経験の差によらない提案力の標準化が次の焦点になります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、売上や販売実績がすでにシステムに入っていて、提案資料や企業分析資料も社内のどこかに溜まっている組織です。この事例でAIに寄せられたのは、探す・集計する・下書きするという、答えの形があらかじめ決まっている作業でした。逆に、資料が個人のパソコンや紙に散らばったままだったり、同じ商品や取引先の表記が部署ごとに違っていたりする状態では、AIに聞く前の整理に相応の労力がかかります。得意先との関係性や売り場の空気を踏まえた判断そのものは、この構成では肩代わりされていない点も押さえておきたいところです。
小さく試すなら、直近1か月で営業から出た「あの資料はどこにありますか」に類するやり取りを数えてみる。その件数が多いほど、資料の在り処と根拠を返すAIの効き目は見込みやすくなります。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社DATAFLUCT
「データを商いに」をビジョンに掲げ、埋もれていたデータから新たな価値を生み出し社会課題を解決するデータビジネスパートナー。非構造化データを含むマルチモーダルデータ活用に強みを持ち、データの収集・蓄積・加工・分析を一気通貫で実現する。事業内容はデータプラットフォーム構築・運用支援事業、DX推進支援・運用支援事業、サステナブルデータビジネス事業。データ分析・AIエージェント構築を支援するプラットフォーム「Airlake」を提供。2019年JAXAベンチャー認定企業。資本金14億9,712万円(資本準備金含む)。代表取締役CEO 久米村隼人。
株式会社山星屋
出典・参考情報
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