実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.14
日揮グループ法務部、メールCC追加で案件を自動集約しAIが過去事例を推奨
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 過去の対応事例が探せない
- ベテランの知識が個人に留まる
- 案件の受付方法がバラバラ
どのようなAIの取り組み?
既存のメール相談フローを変えないまま契約案件の情報を集約し、AI契約レビューによる社内ナレッジの推奨まで広げたAI取り組み
業種
プラント建設・EPC(建設・資材)
取り組み領域
法務/契約レビュー・案件管理
使ったAI
MNTSQ CLM(AI契約レビュー機能)
主な成果
過去事例を横断検索でき、中途入社者の立ち上がりも支援
日揮ホールディングスは2019年に持株会社体制へ移り、海外EPCを担う日揮グローバルと国内EPCの日揮株式会社に事業を分けました。2023年にはコーポレート機能の一部を集約する日揮コーポレートソリューションズが設立され、各社に散らばっていた法務機能がここへ集まります。売上約8,500億円・従業員約8,000人規模のグループを支える法務部は、国内45名、海外を含めると60名ほどの体制です。集約のタイミングで導入されたのが、MNTSQ株式会社が提供する契約業務システム「MNTSQ CLM」でした。事業部門からのメール相談という既存の流れはそのままに、案件ごとに発行されるアドレスをCCへ加えるだけでやりとりが自動で取り込まれます。その後にAI契約レビュー機能も加わり、蓄積した自社ナレッジを推奨する形での活用が進められています。
出典:専門性と効率性の両立:日揮グループ法務部が選んだデジタル変革への道筋 | 導入事例 | MNTSQ株式会社 発行元:MNTSQ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
導入前の状態を、法務部の担当者は「バラバラ」という一語で振り返っています。案件の受付方法が統一されておらず、部門長宛にメールを送る流れでは、何の案件でどのような論点があるのかをすぐに判別できず、担当者の割り当てにも時間がかかっていました。案件にまつわるノウハウも個人の端末や部門の共有フォルダに分かれて置かれ、横断的に探すことは困難な状態でした。
編集部の見立てでは、ここでの本質は資料が足りなかったことではなく、情報の入口と置き場所が人ごとに違っていたことにあります。しかも主力のEPC事業は専門性が高く、長期にわたるプロジェクトを同じ担当者が通しで受け持ちます。知見が個人に貯まるのは意識の低さの結果ではなく、業務の形からくる必然だったのではないでしょうか。だとすれば、個々人の心がけでは解けません。受付から蓄積に至る経路そのものを引き直す必要がありました。
どうやって、うまくいったのか
システム選定で最も重視されたのは、事業部門のやり方を変えないという一点でした。案件ごとに発行されるメールアドレスをCCに加えるだけで相談のやりとりがそのまま取り込まれる仕組みは、相談する側に新しい操作も新しい画面も求めません。導入前は、案件情報やノウハウを共有フォルダに入れるかどうかの判断が個人に委ねられていましたが、この設計では蓄積が判断の対象ではなくなり、通常業務の副産物として自動的に残ります。
AI契約レビュー機能に手応えが生まれたのは、検索という行為がもともと不公平だという構造を突いたからだと考えられます。「こんなデータがあるはずだ」と当たりをつけられるのは社内の蓄積を知っているベテランに限られ、新しく加わった人は探す取っかかりすら持てません。関連するナレッジを自動的に推奨する形に切り替えたことで、活用の条件が「知っていること」から外れました。
用意された雛形ではなく自社の雛形を基準に比較できる方式も、実務で使われるかどうかを分けた要素でしょう。4〜5年前に試された別の契約レビューシステムは、雛形と照らして条項の有無をYes/Noで判定する形式で、提供される雛形が自社のニーズに合わず活用場面が限られていました。基準を自社側に置けば、出てきた結果の良し悪しを担当者自身が判断できます。EPC事業で使う雛形を整備しながら運用するという進め方も、その判断の土台を厚くしていく動きとして読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
共有フォルダを階層ごとに辿らなくても過去案件へたどり着けるようになり、他の担当者が扱った案件にもすぐにアクセスできるようになりました。2024年5月に中途入社した担当者は、どのような前例があり似た案件でどう対応したのかを自分で確かめられる点を挙げています。データベースの蓄積が厚いとは限らない新規事業の領域でも、契約類型を横断的に探して考慮すべきポイントを早く見つける使い方が生まれています。一方で、推奨されたナレッジの根拠や関連する論点まで示されればより使いやすい、という改善要望も現場から出ています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、依頼や相談がメールで届き、そのやりとり自体が後から価値を持つ業務です。法務に限らず、社内からの問い合わせを受ける情報システム部門や、仕様の確認が飛び交う購買・品質保証の窓口でも、既存の連絡経路に取り込みの入口をひとつ足すという発想は移植できます。逆に、相談が電話や立ち話、複数のチャットに分かれて届く職場では、自動で取り込む仕掛けの効き目は弱まります。経路を先にある程度そろえないと、集まるのは全体の一部にとどまります。
判断のもう一つの軸は、比較の基準を自社側に持てるかどうかです。自社の雛形や過去案件の蓄積が薄い領域では、推奨も比較も土台を欠きます。ただし今回、決まりごとの少ない新規事業でも契約類型の横断参照が機能した点は、蓄積がゼロでなければ使いようがあることを示しています。まず試すなら、直近に自分が処理した相談を1件選び、その経緯が今どこを見れば追えるのかを確かめてみてはいかがでしょうか。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
MNTSQ株式会社
契約管理・案件管理・AI契約レビュー機能を備えたCLMサービス「MNTSQ CLM」を提供する企業。ISO 27001(IS 798405)認証を取得。
日揮コーポレートソリューションズ株式会社
出典・参考情報
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