実施 2024.12 ・ 更新 2026.08.14
工場の動線と暑さをセンサーで見える化、勘頼みの改善から脱した素材メーカー
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 改善策の効果を確かめられない
- 現場の動きがデータで残っていない
- 夏場の暑さ対策が感覚頼り
どのようなAIの取り組み?
IoTセンサーとAIによる動作解析で、工場の作業動線と暑さストレスを可視化し、次世代プラント検討の土台づくりに取り組んだ事例
業種
天然物由来素材の抽出・製造(製造業)
取り組み領域
工場の製造現場/作業環境改善・生産性分析
使ったAI
Meister Apps 現場作業見える化パッケージ(IoTセンサー+AI動作解析)
主な成果
現場作業を可視化し、根拠のあるデータで改善案を示せる状態に
植物を中心とした天然物から有用成分を抽出し、医薬品や化粧品、食品向けの素材を手がける丸善製薬は、健康食品素材の中核拠点である三次工場で新規プラントの建設を検討する中、東芝デジタルソリューションズの「Meister Apps 現場作業見える化パッケージ」を採用しました。3カ月ほどの試用を経て2024年12月から正式利用を開始し、データを取りたいエリアに約30個のビーコンを設置、最大5名の作業者がリストバンド型センサとスマートフォンを身に着けて位置・動作・移動のデータを集めています。AIを活用した動作解析や各フロアへの動線を時間軸で確認できるようにしたほか、脈拍と作業場の温度・湿度から暑さ指数を算出。人員配置の検討や作業環境の改善、次世代プラントの設計に使える根拠データが手元に集まる状態になりました。
出典:工場の作業環境改善から次世代プラント検討までDX推進に貢献 現場作業の可視化を実現する「Meister Apps™ 現場作業見える化パッケージ」 | 事例紹介:デジタル事業 | 東芝 発行元:東芝デジタルソリューションズ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
三次工場では、原料を装置に投入してから製品が仕上がるまでの多岐にわたる工程を一人で担当することが多く、一階から三階までの行き来や、複数人の作業が重なったときの待ち時間が負担になっていました。高熱処理を行う装置の周辺には夏場に50℃を超えるエリアもあり、労務管理の面でも手を打つ必要がありました。
編集部の見立てでは、行き詰まりの本質は打ち手が思いつかないことではなく、打った手が効いたかどうかを確かめる物差しがなかった点にあります。感覚を頼りに空調設備を入れたものの十分な効果が得られなかったという経験は、その象徴でしょう。どこがどれだけ暑く、誰がいつそこで作業しているのかが数値で残っていなければ、設備を入れた後で答え合わせができません。新規プラントの設計要件を詰める場面でも同じ壁があり、現状のどこが非効率なのかを示すデータがないまま将来の姿を描く必要がありました。
どうやって、うまくいったのか
ハードウエアと分析ソフトを一つにまとめ、サブスクリプションで使えるようにした提供の形が、最初の一歩を軽くしました。ビーコンやリストバンドといった機器と分析用ソフトが最初から組み合わされているため、設備投資を伴う意思決定も、細かな事前調整も必要ありません。活用イメージが固まりきらないうちに3カ月ほど試し、そのうえで正式利用へ移れる進め方は、目的を先に決めきれない現場改善というテーマと相性がよかったと考えられます。
測る範囲を欲張らず、必要なときに必要な場所だけを測る運用設計も効いています。データを取得したいエリアに約30個のビーコンを置き、最大5名がリストバンド型センサとスマートフォンを装着する構成で、ビーコンは対象の変更に合わせて移動も取り外しもできます。工場全体を一度に計装するのではなく見たい場所へ測定を寄せる方式なら、設置場所や電波の出力強度を調整しながら精度を上げる試行錯誤も、現実的な手間の範囲に収まります。
作業分析と作業者の見守りを同じ仕組みの上で扱った設計も見逃せません。位置・動作・移動のデータは人員配置を検討する根拠になり、脈拍や作業場の温度・湿度から導く暑さ指数は労働環境の話に直結します。生産性の議論と安全の議論が同じデータから立ち上がるため、測られる側の作業者にとっても協力する意味が見えやすい構図です。可視化テンプレートがあらかじめ用意されていること、そして東芝側から定期的なフォローアップとノウハウ提供が入ることも、日々の業務に押されて後回しになりがちな改善活動を続ける仕掛けとして働いています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
豊富なテンプレートを活用して現場作業を迅速に可視化できたことで、どうすれば負担を軽減できるかについて、根拠のある具体的な案を示せるようになりました。人員配置の検討材料が得られ、暑さストレスのデータ収集も進んでいます。次世代プラントの設計精度の向上や、価値の高い作業を定義して原価管理へ反映することは今後の期待・構想の段階ですが、可視化ツールという選択肢を持てたこと自体が、施策づくりの幅を広げています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、人が動くことで価値が生まれる現場です。複数のフロアや広い区画に工程が散らばり、誰がどこでどれだけ時間を使っているかが感覚でしか語られていない職場、あるいは暑さのように体への負担が季節で大きく変わる作業がある職場では、位置と動作、環境の数値をそろえるだけでも議論の質が変わります。すでに据え付けた設備を大きく動かせない制約があっても、負担を減らす人の配置や手順の見直しには使えます。
一方で、装着物を身に着けて働くことに現場の納得が得られない場合や、持ち場が固定されていて移動がほとんど発生しない作業では、得られる情報は薄くなります。データを取る目的や動機を現場が持てないまま機器だけ配っても使われずに終わる、という点は、この事例の現場自身が繰り返し強調しているところです。始めるなら、効いたのか分からないまま終わった過去の改善策や設備投資を一つ思い出し、効果を語るにはどんな数値が残っていればよかったのかを決めるところから。
この事例は2024年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:機械・設備・位置
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
東芝デジタルソリューションズ
製造業向けソリューション「Meister」シリーズを提供。IoTやAIの技術を活用して現場の作業データを収集・見える化する「Meister Apps™ 現場作業見える化パッケージ」を、必要なソフト・ハードのオールインワンパッケージとしてサブスクリプションサービスで提供している。
丸善製薬株式会社
出典・参考情報
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