実施 2025.01 ・ 更新 2026.08.13
太陽光設備の営業に生成AI、建物調査の月120時間削減を検証したPoC
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 提案書づくりに時間を取られている
- 営業の質が担当者の経験で変わる
- 少人数で顧客接点を保ちたい
どのようなAIの取り組み?
営業プロセス全体を構造化したうえで、提案書作成・建物情報調査・架電の3領域に生成AIを適用し、営業生産性向上の可能性を検証したAI取り組み
業種
太陽光発電設備の販売・施工(エネルギー・インフラ)
取り組み領域
営業(提案書作成・リード発掘・インサイドセールス)
使ったAI
生成AI、架電用AIエージェント、航空写真の2D・3D解析ツール
主な成果
建物調査の月120時間程度の稼働削減の可能性を確認(PoC段階)
NTTデータは、東京電力グループで中小企業向けに太陽光発電設備の設置・販売を手がけるテプコカスタマーサービス(TCS)の協力を得て、2025年1月から4月にかけて生成AIによる営業生産性向上のPoC(小規模な試験導入による概念実証)を実施しました。関東以外への事業拡大を見据え、受注までの業務を個別にではなく営業活動全体の流れとして構造化し、人的リソースが不足する領域を洗い出したうえで、提案書作成の自動化、航空写真の解析による建物情報調査の自動化、AIエージェントによる架電の代行という3つのテーマで検証しています。NTTデータは2021年度からTCSのCRMを中心としたDX推進に伴走してきた経緯があり、今回のPoCもその延長線上に位置づけられます。
出典:生成AIを活用した営業業務変革PoC | DATA INSIGHT | NTTデータ - NTT DATA 発行元:NTTデータ(DATA INSIGHT編集部)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
太陽光設備サービスの営業では、限られた人数でターゲットを絞り込み、メールやDMのあとにインサイドセールスが架電し、見込みのある顧客へ営業担当が訪問する流れが取られていました。ところが中小企業では地元のつながりや口コミが重視されるという実態が見えてきたことで、関係性のない相手への架電営業には限界があると判断され、対面営業を強化する方針に転換されています。とはいえ人員を大きく増やせるわけではなく、縮小するインサイドセールスが担ってきたアプローチ数や継続接点の確保も、中長期の成長には欠かせないという板挟みが生じました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「人が足りない」ことそのものではなく、営業の勝ち筋が架電から対面へ移ったことで、リソース配分の設計をやり直さなければならなくなった点にあります。だからこそAIの検討も、単発の業務を自動化する話ではなく、どのプロセスに人を残し、どこを機械に委ねるかという配置の問題として立ち上がったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
個々の作業単位ではなく、受注までの営業活動全体を一本の流れとして構造化してから課題を抽出したことが、この検討の起点になっています。そのうえで、負荷が増える対面営業には「効率化と支援」、縮小するインサイドセールスには「人の代わりを務める代行」、ターゲット選定には「抽出精度の向上」と、プロセスごとに異なる役割をAIに割り当てました。同じ生成AIでも期待する働きを変えるこの切り分けがあることで、検証の目的と評価軸がぶれにくくなります。
提案書作成では、数値と文章の担当を明確に分けた設計が実用性を左右したと考えられます。電力使用の基礎数値や、そこから導かれる経済性・環境性の効果数値は正確性が求められるため、あらかじめプログラムされた計算式で算出し、生成AIには提案ストーリーの検討や調査、スクリプト・助言の作成を任せる。数字の信頼性を機械的に担保したうえで、判断や表現の部分にAIを充てる分担だからこそ、営業現場で使える形になったのではないでしょうか。しかも初回訪問はテンプレート通り、2回目は対話で得た情報を反映、3回目は見積もりを織り込んで営業社員が手を加えて最終化と、訪問回数ごとに情報の入り具合に合わせて生成の深さを変えている点も、実務の流れに沿った設計です。
ツールの置き場所をPowerPointのアドインにした判断も見逃せません。デジタルツールが導入後に使われなくなるのはよくあることで、とりわけ臨機応変さが求められる営業では、専用ツールを開いてまで使う必然性が感じられにくい。普段の作業画面の中に機能を差し込み、営業担当が現場で感じたことを自分の手で反映できる余地を残したことは、定着のハードルを下げる現実的な打ち手です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
PoCの結果、提案書はグラフや表の表現も含めテンプレート全10ページを高い精度で自動生成でき、現場の営業担当からは2回目訪問時の訴求力が高まる可能性があるとの評価が出ています。提案ストーリーやスクリプトも顧客情報の調査結果やメリットを踏まえて作成できることが確認され、新任者を含めた営業力の底上げにつながることが期待されています。建物情報調査では、これまで取得できなかった所有者・屋根の素材や形状・築年数・既存パネルの設置年数などが得られ、月120時間程度の調査稼働を削減できる可能性と、リプレイス提案先という新たなターゲット層の抽出可能性を確認。ただし優良顧客発掘の精度向上については、算出方法が複雑で具体的な効果測定までは至っていません。架電のAIエージェントは「想像していたよりも自然」との声が最も多く、資料請求のフォローアップや契約更新など信頼性の懸念が低い場面から実用化を探る方針が示されています。
うちでも使える?
参考になりやすいのは、提案内容の骨格が標準化されていて、かつ顧客ごとに数値と語り口を差し替えているタイプの営業です。テンプレートがすでにあり、計算ロジックが明文化されていれば、数値は計算式、文章は生成AIという分担はそのまま持ち込めます。逆に、提案の型が個人の頭の中にしかない、あるいは効果試算の根拠が案件ごとにバラバラという状態では、AIに渡す前提が整わず、この形はそのままでは機能しにくいでしょう。調査の自動化についても、判断材料が航空写真や登記のように外部から取得できるデータに落ちているかどうかが分かれ目になります。
また、この事例はPoCの段階であり、AIからの架電に対する顧客側の信頼性など、実用化前に残る論点も明示されています。効果が確認しきれなかった項目があることも含めて、検証結果をそのまま導入効果と読み替えないほうが安全です。まず試すなら、直近の提案書を数件並べて、どこが毎回同じでどこが顧客ごとに変わるのかに線を引いてみる。その線引きが、自動化の対象とAIに考えさせる部分の境目になります。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
NTTデータ
日本国内での生成AI事業を拡大し、AI活用の推進とガバナンスの両輪で顧客のビジネス変革を支援する企業。地図や位置情報活用を専門とする部門を持ち、営業領域のAIエージェントソリューション『LITRON Sales』や生成AI活用コンセプト「Smart AI Agent」を展開している。
テプコカスタマーサービス株式会社
出典・参考情報
生成AIを活用した営業業務変革PoC | DATA INSIGHT | NTTデータ - NTT DATA
発行元:NTTデータ(DATA INSIGHT編集部)
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