実施 2025.10 ・ 更新 2026.08.13
ローソン店舗の作業を映像AI×LLMで自動計測、30%削減目指す実証実験
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 現場の作業時間を把握できていない
- ストップウォッチ計測の負担が重い
- 改善策の効果を数字で確かめられない
どのようなAIの取り組み?
店舗カメラの映像から従業員の作業を映像認識AIで分類し、LLMで定量レポート化する仕組みの有用性を検証する実証実験の事例
業種
コンビニエンスストア(小売・流通)
取り組み領域
店舗運営/作業実態の計測・可視化
使ったAI
映像認識AI+LLM(大規模言語モデル)
主な成果
作業の定量レポート自動作成の有用性を検証中(店舗作業30%削減への貢献を目指す)
NECは株式会社ローソンと共同で、店舗従業員の作業行動を分析・可視化する実証実験を、2025年10月27日から11月2日まで埼玉県の1店舗で実施します。店舗に設置したカメラで作業中の従業員を撮影し、NECが開発した映像認識AIが映像内の業務を作業項目に分類。分類された各作業工程と所要時間を、LLM(大規模言語モデル)が文章化して定量的なレポートに自動でまとめます。このレポートが示す時間を、従来どおり担当者が立ち会って手作業で計測した時間と突き合わせ、今後の店舗施策の検証に使えるかどうかを評価するという設計です。ローソンが掲げる店舗作業30%削減という目標に対し、作業の定量化という側面から貢献することを目指した検証段階の取り組みとなっています。
出典:NEC、ローソンと共に映像認識AI×LLMを活用して店舗従業員の作業行動を分析・可視化する実証実験を実施 (2025年10月30日): プレスリリース | NEC 発行元:日本電気株式会社(NEC)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
コンビニ店舗の作業項目は100以上にのぼり、それぞれの所要時間を正確につかむには、担当者が実際に店舗へ出向いて作業に立ち会い、手作業で時間を計るしかありませんでした。効率化の施策を検討するたびにこの計測が必要になるため、測る側にも測られる店舗側にも負担がかかります。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「作業が多すぎること」ではなく、改善の前提となる実態データを取るコスト自体が高すぎることにあります。計測が重い作業である限り、施策を打つ前後で比べる回数を増やせず、改善のサイクルが回りにくい。労働力不足を背景に生産性向上が求められる一方で、その出発点となる現状把握が最初の関門になっていた、という構図ではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
注目したいのは、映像認識AIとLLMに別々の役割を割り当てた処理の組み立て方です。映像から「何の作業をしているか」を作業項目に分類する部分は映像認識AIが担い、分類された工程とその所要時間を文章に起こして定量レポートの形に整える部分はLLMが担当します。映像を見て人が判断していた分類と、その結果を人が集計・記述していた作業を、それぞれ得意な技術に振り分けた構造といえます。NECは2023年12月に、映像認識AIとLLMにより動画から説明文章を自動生成する技術を開発したと公表しており、その系譜にある組み合わせ方です。
もう一つは、評価の物差しをあらかじめ決めている点です。AIが出したレポートの時間と、従来の手作業で計測した時間を比較し、施策検証に使える精度かどうかを判断する。この突き合わせを検証の中心に据えた設計は、「AIで可視化できた」で終わらせず、既存のやり方の代替になり得るかという実務的な問いに答えを出そうとするものです。1店舗・1週間という限定した範囲で実施しているのも、まず物差しの妥当性を確かめることに焦点を絞った進め方と読み取れます。
従業員を撮影するという性質上、映像の扱い方を明示している点も見過ごせません。分析対象の従業員も偶然写り込んだ来店客も個人を特定する利用は一切行わず、個人情報保護法や関連法令を遵守したうえで実証実験にのみ利用し、終了後は速やかに削除する。こうした条件を事前に定めておくことは、現場で働く人の理解を得ながら映像を扱う取り組みを進めるうえで、技術の精度と同じくらい実行可能性を左右する要素だと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
本件は2025年10月27日から11月2日までの実施段階にあり、成果はこれから評価される検証です。現時点で公表されているのは、AIが作成したレポートの時間と従来の手計測による時間を比較し、店舗施策の検証に活用できるかを評価するという検証内容までで、削減効果などの実績値は示されていません。NECは、店舗作業を定量化することで、ローソンが掲げる店舗作業30%削減への貢献を目指すとしています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、作業の種類が多く、それぞれの所要時間を人手で計測している現場です。小売店舗に限らず、飲食のバックヤードや倉庫内作業のように、決まった場所で定型的な動作が繰り返される業務であれば、映像から作業を分類して時間を積み上げるという発想は考え方として転用できます。逆に、担当者ごとに手順が大きく変わる業務や、屋外・広範囲を移動する作業、カメラに映らない判断・調整が仕事の中心を占める業務では、映像だけで作業項目に分類すること自体が難しくなります。従業員を撮影する以上、説明と同意、保存期間や削除方針の取り決めが前提になる点も、導入可否を分ける現実的な条件です。
なお本件は1店舗・約1週間の検証段階であり、精度や実用性の結論はこれからです。同様の取り組みを考えるなら、まずは自社で「時間を測りたい作業」を数個だけ選び、その作業が既存の防犯カメラの画角に収まっているかを確認するところから。映るかどうかが分かれば、検討を進めるべきかの判断材料になります。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
日本電気株式会社(NEC)
映像認識AIと大規模言語モデル(LLM)を組み合わせ、動画から説明文章を自動生成する技術を開発。デジタル技術を活用した店舗運営の効率化やリアル店舗の価値最大化への貢献を目指し、小売業の課題解決に取り組む。
株式会社ローソン
出典・参考情報
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