実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.13
森永乳業とNEC、新商品の需要予測をAIで検証、参考商品の選定が9割一致
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 新商品の販売数が読めず在庫が偏る
- 需要予測がベテランの勘頼み
- 予測の根拠を人に説明できない
どのようなAIの取り組み?
過去の販売実績とマーケティング施策データをAIで分析し、新製品の需要予測を検証したうえでソリューション提供に至ったAI取り組み
業種
乳製品・アイス製造(製造業)
取り組み領域
需給計画/新製品の需要予測
使ったAI
NEC Advanced-S&OP 新製品需要予測ソリューション(独自AI技術)
主な成果
参考商品の選定が人の判断と9割一致、需要予測は担当者の計画とほぼ同等精度
NECは、森永乳業に対して自社のAI技術を用いた「Advanced-S&OP 新製品需要予測ソリューション」を提供しました。これに先立ち、両社は2024年10月から12月までの約3か月間、森永乳業のアイスカテゴリーを対象に、すでに発売された新製品を題材とする実証実験を行っています。検証では、新製品の需要を見積もる際に参考にする既存商品(ベンチマーク製品)をAIが選ぶ工程と、その商品の売上実績と販促施策の関係をAIがモデル化して新製品の需要を見積もる工程の二つを扱いました。結果として、人が選んだ参考商品と9割の確率で同じ商品をAIが選び、需要予測の精度も需給業務担当者の計画とほぼ同等であることが確認され、有効性の評価を経て提供が決まっています。
出典:NEC、森永乳業にAIを活用した新製品需要予測ソリューションを提供 (2025年4月7日): プレスリリース | NEC 発行元:日本電気株式会社(NEC)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
新製品には販売実績がありません。それでもメーカーは、取引先との商談が終わる前から原材料の調達や生産ラインの確保、物流の手配を進める必要があり、根拠の乏しい段階で数量を決めざるを得ない構造があります。既存商品に比べて誤差率が高く、欠品や過剰在庫が起こりやすいのはそのためです。熟練社員が予測を担う場合もありますが、判断が属人的になり、根拠の透明性や再現性が低いという課題が残っていました。さらに、発売前に季節性まで織り込んで年単位の予測を立てるのは難度が高く、事業計画や予算の達成度を評価すること自体が難しい状態でした。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「当てられないこと」よりも「なぜその数字なのかを社内で共有できないこと」にあったのではないでしょうか。調達・生産・物流・営業が同じ数字を前提に動くには、精度と同じくらい説明可能性が要る。属人的な勘は、たとえ当たっていても組織の意思決定の土台にはなりにくいのです。
どうやって、うまくいったのか
予測という一つの塊を、「参考にする既存商品を選ぶ」「その商品との違いから需要を見積もる」という二つの工程に分解した設計が、この取り組みの土台になっていると考えられます。新製品予測が難しいのは実績がないからですが、実務では熟練者が過去の類似商品を思い浮かべて数字を組み立てています。その暗黙の手順をそのまま二段構えの処理として明示したことで、AIに解かせる問題が「ゼロから需要を当てる」ではなく「似た商品を探し、差分を補正する」という扱いやすい形に変わっています。
前段の商品選定では、販売価格や発売季節、販売チャネル、マーケティング施策といった観点を学習させ、販売チャネル・商品ブランド・取引先など40種類以上の要素とそれぞれの重要度を特定してモデル化しています。人の頭の中で重み付けされていた判断材料を要素と重要度に開いた点は、属人性の解消という目的に直結する工夫です。どの要素がどれだけ効いたかを示せれば、選定結果に対して現場が異議も同意も述べられる。
後段では、参考商品の売上実績と販促施策の因果関係をモデル化し、新製品の情報や計画値を当てはめて発売から3か月間の需要を求め、その結果を起点に1年間および月次の予測へ広げています。短期を足場に中長期へ展開する組み立てにしたことで、調達計画や生産の過不足調整、予算達成に向けた現状評価といった、時間軸の異なる用途に同じ予測を接続できる形になっています。加えて、AI技術に、データ分析の知見とSCM・S&OP領域の業務知見を組み合わせる進め方が取られており、モデル単体ではなく需給業務の流れに乗せることが前提に置かれていた点も見逃せません。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
約3か月の実証実験では、10点の異なる新製品を題材に、人が選んだ参考商品とAIの選定結果が9割の確率で一致しました。需要予測についても、商談結果を踏まえて需給業務担当者が立てた計画とほぼ同等の精度が確認されています。3か月予測をもとに算出した1年間および月次の予測も、原材料調達や中長期の生産調整、事業計画・予算達成に向けた現状分析での活用を想定して有用性が確認されました。データ整理と継続的な分析による精度向上が期待されるとして、ソリューションの提供に至っています。
うちでも使える?
応用の余地が大きいのは、新しく出す商品やサービスの需要を、実績のない段階で見積もらなければならない業種です。過去の商品ごとの販売実績と、価格・投入時期・チャネル・販促内容といった条件がひも付いた形で残っていれば、「似た過去商品を探して差分で補正する」という考え方自体は規模を問わず試せます。逆に、商品数が少なく過去に似た商品が存在しない場合や、実績データが担当者の手元のファイルに散在していて条件との対応が取れない場合は、参考商品の選定という前段が成立しません。今回の検証がすでに発売済みの新製品を題材にした答え合わせだった点も踏まえると、いきなり本番の計画に使うのではなく、過去の事例で再現できるかを確かめる段取りが現実的でしょう。
小さく始めるなら、直近に出した新商品を数点選び、当時どの既存商品を参考にして数量を決めたのか、その判断で何を見ていたのかを担当者に聞き取って記録するところから。人の判断材料を言語化できていない状態では、AIに任せる範囲も決められません。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:経営・企画
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
日本電気株式会社(NEC)
DXについてビジネスモデル・テクノロジー・組織/人材の3軸で、戦略構想コンサルティングから実装までEnd to Endのサービスを提供する企業。価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」を体系整理し、独自AI技術を活用した「NEC Advanced-S&OP ソリューション」などを提供している。
森永乳業株式会社
出典・参考情報
NEC、森永乳業にAIを活用した新製品需要予測ソリューションを提供 (2025年4月7日): プレスリリース | NEC
発行元:日本電気株式会社(NEC)
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