実施 2026.02 ・ 更新 2026.08.16
月間6億トークンでも従量課金10万円以下に、水処理装置メーカーの全社生成AI基盤
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内文書をAIに読ませたいが漏えいが不安
- 部署ごとに見せてよい資料が違う
- 全社で使うとAIの利用料が膨らみそう
どのようなAIの取り組み?
Google Cloud の Gemini を使った自社専用の生成AI基盤を構築し、海外を含むグループ全社での利用と利用料の抑制を両立させたAI取り組み
業種
水処理装置の製造・販売(製造業)
取り組み領域
全社共通の生成AI基盤/社内文書の活用
使ったAI
Google Cloud の Gemini を用いた自社構築の生成AI基盤
主な成果
月間6億トークンの利用実績でも従量課金分を10万円以下に抑制
水処理装置メーカーのオルガノ株式会社は、生成AIの利用をSaaS型サービスから自社基盤へと切り替える形で、海外を含むグループ全社が使える環境を整えました。基盤の構築を担当したのはアイレットで、Google Cloud の Gemini を用いた同社のサービス「かんたん AI パック」をベースに、オルガノ側の要件へ合わせてカスタマイズしています。全社で稼働する認証システムの Okta と Firebase Authentication を連携させ、組織上の責任と権限に応じて誰がどの文書を参照できるかを制御する仕組みを実装。AIの入出力を保護する Model Armor などのセキュリティ機能も組み込まれました。開発期間は半年で、本社とグループ会社を含む約1,800名が利用できる環境まで整備されています。
出典:月間6億トークンの利用コストを10万円以下に抑制!Google Cloud の Gemini を活用したグループ全社向け生成 AI 基盤構築|オルガノ株式会社様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
生成AIの利用をSaaS型サービスで始めたところ、社内の技術文書のような重要な情報も扱いたいという声が現場から挙がってきました。ところが、誰がどの文書を参照できるのかを細かく制御できず、さらに全社へ広げれば毎月数百万円規模の費用が発生しかねない。既製のサービスでは越えにくい二つの線が、同時に立ちはだかった形です。
編集部の見立てでは、行き詰まりの本質はAIの賢さではなく、組織の構造を道具の側に伝えられない点にありました。半導体向けの超純水装置のように競争力へ直結する技術を抱える企業では、文書の閲覧範囲が職責に沿って細かく分かれています。その分け方をそのまま持ち込めない仕組みは、どれほど高性能でも重要文書の手前で止まらざるを得ません。費用の問題も、全社に配るという同じ前提から生まれた裏表の課題だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
全社ですでに稼働している Okta を、生成AI基盤側の Firebase Authentication と連携させた認証設計が、この取り組みの土台になっています。注目したいのは、権限のルールを基盤の中で新しく作り直すのではなく、組織上の責任と権限という既存の秩序をそのまま引き込んだ点です。基盤の側で権限表を独自に持てば、人事異動のたびに二重管理が発生し、いずれ実態とずれていきます。既存の認証基盤を正としてぶら下げる設計だからこそ、重要な技術文書をAIに参照させるという判断に踏み切れたのではないでしょうか。
ゼロからのフルスクラッチではなく、開発パートナーが持つ既存サービスをベースにカスタマイズする進め方も、実現性を大きく左右したと見ています。要件のうち共通部分は出来合いの土台に任せ、独自の権限制御やセキュリティといった譲れない部分に開発の力を集中させる形です。自社基盤という選択は本来、時間と費用の面で重くなりがちですが、その重さを設計段階で削っておく判断が働いています。
開発途中に公開された新しいモデルを取り込めた背景には、発注側があらかじめ最新モデルを積極的に使う方針を明示していたことがあります。新モデルの採用は通常、慎重な検討そのものに工数を要しますが、方針が先に定まっていれば議論の時間を実装へ回せます。認証まわりで想定外の調整が必要になった局面でも、開発側が他部署の Okta 担当者と直接やり取りする形をとることで、伝言を介した往復を減らしていました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
半年という期間で、本社とグループ会社を含む約1,800名が利用できる環境が整いました。社内での利用は想定を上回るペースで広がり、月間6億トークンという実績に対して、従量課金分は10万円以下に収まっています。Model Armor などのセキュリティ機能も実装されました。利用者側では、生成AIにHTML形式で資料を出力させてプレゼン資料へ活用するといった独自の工夫も生まれており、基盤を提供した側はそこに手応えを感じています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、Okta のような全社共通の認証基盤がすでに動いていて、文書の閲覧範囲が組織図や職責と対応づけられている組織です。この事例の権限制御は、認証基盤側が持つ所属と権限の情報を生成AIの側が受け取る形で成り立っているため、参照元がそろっていれば設計の見通しは立てやすくなります。逆に、認証がツールごとにばらばらであったり、どの資料を誰まで見せてよいかが担当者の記憶に依存していたりする段階では、AIより先に着手すべき対象が変わります。
費用の面も条件付きです。自社基盤は開発費が先に出るため、利用者が限られる規模では従量課金のまま使うほうが安く収まる場合もあります。まず確かめたいのは、いま契約している生成AIツールの月額請求と、利用者数の伸び方を並べてみること。人数に比例して費用が伸びていく形になっているなら、この事例と同じ分岐点に近づいているサインです。
この事例は2026年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する Google Cloud パートナー企業。Google Cloud の Gemini を活用した自社サービス「かんたん AI パック」をもとに、生成 AI 基盤の構築を手がける。
オルガノ株式会社
出典・参考情報
月間6億トークンの利用コストを10万円以下に抑制!Google Cloud の Gemini を活用したグループ全社向け生成 AI 基盤構築|オルガノ株式会社様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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