実施 2024.07 ・ 更新 2026.08.13
豊田自動織機、画像AIでフォークリフトの安全運転を評価、人身事故ゼロの現場も
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 現場の安全指導に人を割けない
- ヒヤリハットの見落としが怖い
- 評価が担当者ごとにばらつく
どのようなAIの取り組み?
画像解析AIでフォークリフトの安全運転レベルを評価するサービスを立ち上げ、導入した現場で人身事故がゼロになった例も生まれたAI取り組み
業種
産業用運搬車両製造(製造業)
取り組み領域
物流現場の安全管理・運転評価
使ったAI
画像解析AI(Fujitsu Kozuchi)
主な成果
導入企業で半年間の人身事故が0件になった例も
フォークリフトの世界販売台数トップである豊田自動織機のトヨタL&Fカンパニーは、2021年から物流現場のデータをクラウドで収集・蓄積・分析するサービス群「FORKLORE」を展開してきました。その拡充策として、画像解析技術を持つ富士通と組み、同社のAI「Fujitsu Kozuchi」に自社の物流ノウハウを掛け合わせ、フォークリフトの安全運転レベルを評価する国内初のサービスを2024年7月に開始しています。AIを「教習指導員」に見立て、運転のクセを見える化することで、これまで人の目に頼っていた記録映像の確認作業を効率化し、現場ごとに差が出ていた評価の物差しをそろえることを狙った設計です。
出典:株式会社豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー 様 発行元:富士通
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
フォークリフトが関わる事故は高止まりし、日本産業車両協会が厚生労働省の資料をもとにした調査では、2022年の特定自主検査実施台数は約85万台と10年で2割ほど増えています。一方で、運転の安全性をどう担保するかは企業ごとにまちまちで、人手不足のなか安全運転の指導に十分なリソースを割けない現場も少なくありませんでした。さらに厄介なのは、フォークリフトの事故やヒヤリハットが、自動車のように必ず強い衝撃を伴うとは限らない点です。危ない運転を見極めるには、人が記録映像を注意深く追う必要がありました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は「安全意識が足りない」ことではなく、危険を判定する基準が見る人の経験と時間に張り付いていたことにあります。基準が人に紐づいている限り、指導の質は担当者次第で揺れ、忙しくなれば真っ先に後回しになる。だからこそ、判定の負荷を機械側に移せるかどうかが分かれ目になったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
判断基準を持つ側とAI技術を持つ側で役割を分けた組み方が、この取り組みの土台になっています。トヨタL&Fは何が危ない運転なのかという物流現場のノウハウを持ち、富士通は画像解析技術を蓄積したAI「Fujitsu Kozuchi」を持つ。どちらか一方だけでは、精度の高い評価軸を映像解析に落とし込むのは難しかったはずで、安全運転の定義づけと解析エンジンを分担した構図が、国内初とされるサービスの成立につながったと考えられます。
「ユーザーの手間を省く」と「解析精度を高める」を同時に満たすことを設計の狙いに据えた点も見逃せません。安全確認のために現場を止めたり、働き手の生産性を落としたりしては、そもそも導入されない。精度だけを追わず、使う側の負担を要件の中心に置いた判断が、忙しい物流現場でも回る形に収れんさせたのだろうと読み解けます。現場管理者の一人が語る「人手をかけなくても、どんなタイプのフォークリフトでも、安全運転の基本に立ち戻れる」という要件は、車種を選ばない汎用性まで含めて設計に織り込まれていたことを示しています。
新規のシステムを一から立ち上げるのではなく、2021年から積み上げてきたデータ基盤「FORKLORE」の上に載せた点も、実装のハードルを下げた要素でしょう。現場のデータをクラウドで集めて分析する仕組みがすでにあるところへ、映像評価という新しい機能を追加する形になっており、AIを「教習指導員」と位置づけて運転のクセを見える化する見せ方も、取り締まりではなく指導として受け止められやすい枠組みになっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2024年7月のリリース以降、ユーザー数は2025年3月時点でおよそ15社前後まで広がっています。導入企業のなかには、半年に数件発生していた人身事故が、導入後の半年間ではゼロになった現場もあります。加えて、現場管理者の安全管理業務をAIが肩代わりすることで、人手不足への対応にもつながっています。ヒヤリハットの検知が個人の目視頼みだった領域で、事故件数という分かりやすい指標に変化が出た点は、評価の仕組み化がもたらした効果として意味が大きいと言えます。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、危険や品質のチェックが「記録映像や記録データとして残っているのに、人が見きれていない」タイプの業務です。作業車両の運行、店舗のバックヤード、工場内の運搬など、映像は撮れているが確認が後回しになっている現場では、同じ発想が成り立ちます。ポイントは、AIに判定させる前に「何をもって危険とするか」を言語化できるかどうか。この事例でも、その物差しは物流の知見を持つ側が用意しています。
逆に、危険の兆候が映像に写らない業務や、判定基準が担当者ごとに大きく食い違ったままの状態では、AIを載せても出力の解釈でもめるだけになりかねません。また、評価のために現場を止める運用になれば定着しないという点も、この事例の設計思想が示す通りです。まずは、自社の現場で「ヒヤリとした場面」を数件書き留め、それが映像や既存データから見分けられる特徴を持っているかを確かめるところから。判定できる兆候が見つかれば、そこが最初の検証対象になります。
この事例は2024年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
富士通
AIによる画像解析技術を磨いてきたIT企業。AI「Fujitsu Kozuchi」を提供し、トヨタL&Fの物流ノウハウと組み合わせてフォークリフトの安全運転評価サービスを実現した。
株式会社豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー
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