実施 2024.09 ・ 更新 2026.08.13
トヨタコネクティッドが2日で試作、生成AIで店舗内放送の音声を自動生成する構想
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 同じ内容の放送を毎回録り直している
- 新規事業のアイデアが形にならない
- 店舗ごとの情報発信に手が回らない
どのようなAIの取り組み?
生成AIと音声合成で店舗内放送のシナリオと音声をつくる仕組みを、2日間の共同開発で試作したAI取り組み
業種
コネクティッドサービス(IT・通信)
取り組み領域
新規事業開発/店舗内放送の音声制作
使ったAI
Azure OpenAI Service と Azure AI 音声(生成AI・音声合成)
主な成果
2日間で動く試作システムを構築
トヨタ自動車の顧客向けITを担うトヨタコネクティッドが、次の事業の柱を探す先行企画部を起点に、店舗内放送の音声を生成AIでつくる構想を進めています。マイクロソフトとパートナーの株式会社ゼンアーキテクツが運営するハッカソン形式のワークショップ「Azure Light-up」で2024年9月にこの構想を提示し、翌週に開かれた2回目の回では、2日間で実際に動く仕組みが組み上げられました。中身は、利用者が操作する画面、処理全体をつなぐ調整役、放送シナリオと音声を生成する部分、外部から情報を集めて貯める部分、音源の保管場所という、独立性を高めた5つのブロックの組み合わせです。その後、大手小売チェーンや広告代理店へのデモとインタビューが行われ、正式導入を前提とした実証実験が計画されています。
出典:トヨタコネクティッドは、新たな事業の種として Azure AI を用いた「店舗 AI 音声」を構想、マルチエージェント化を視野に入れたアーキテクチャをわずか 2 日で構築 | Microsoft Customer Stories 発行元:日本マイクロソフト株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
先行企画部は、クルマの領域を超えてモビリティ社会全体の事業をつくることをミッションに2019年に設置された組織です。社内には生成AIと音声を組み合わせるアイデアが以前からあり、これを小売店舗の放送に持ち込めないかと考えて店舗側にヒアリングしたところ、来店動機の創出や現場の負荷軽減という課題が浮かび上がりました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「放送を流す手間」にとどまりません。原稿を書き、人が声を吹き込むという工程が挟まる限り、放送内容は一度作れば固定され、店舗ごとの事情やその日の出来事に合わせて差し替えることは現実的でなくなります。ECで買い物が完結する時代に、それでも足を運んでもらう理由をつくりたい。そう考えたとき、店舗内放送はもっとも身近な情報発信の手段でありながら、制作コストの重さゆえに「変えられないもの」として置かれていた。この硬直こそが、数の問題より根深い制約だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
機能を5つのブロックに切り分け、それぞれの独立性を高めたうえで、オーケストレーション機能で束ねる。この構成が、短い期間で動くものを組み上げられた最大の要因だと考えられます。画面はAzure Static Web Apps、処理の流れを制御する部分はAzure Functions、シナリオと音声の生成はAzure OpenAI ServiceとAzure AI 音声、外部情報の収集は専用のAIとCosmos DBによるキャッシュ、音源はAzure Blob Storageというように、役割ごとに置き場所が分かれています。分けておけば、どれか一つの精度が足りなくてもそこだけ差し替えられ、後からエージェントを足す余地も残ります。
マルチエージェント、つまり複数のAIが役割を分担して連携するという考え方を、構想の段階で設計思想として取り込んだ判断も効いています。情報を集めるAI、集めた情報からシナリオを書くAI、それを声にするAIと工程ごとにAIを立てる整理は、店舗内放送という題材と素直に噛み合います。放送はもともと「何を伝えるか」と「どう伝えるか」が分かれた仕事だからです。現時点では各エージェントが高度な推論をしているわけではないと開発側自身が位置づけており、看板を先に掲げるのではなく、後から中身を強くできる器を先に用意する順序になっています。
構想する部門と実装する部門、そして外部の技術者を同じ場に集めた進め方も、この取り組みに固有の要素です。先行企画部が持ち込んだアイデアに対し、その場でAzureの専門家がアーキテクチャをホワイトボードに描き、社内の生成AI活用を推進するAI統括部とパートナーのゼンアーキテクツが実装を引き受ける。企画から実装への受け渡しが一続きになる場を先に用意したことが、アイデアを机上に留めない仕掛けとして働いたと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2日間の実装で動く仕組みが形になり、約1か月の調整を経て、2024年11月からは大手小売チェーンと広告代理店を対象にデモとインタビューが行われています。小売側からは、人が録音しなくてもこれだけ自然な音声が作れるのかという驚きや、これなら導入したいという声が寄せられ、広告代理店からも革新的だという反応が返っています。シナリオ作成や録音のコスト削減、店舗ごとのオンデマンド配信による来店動機の創出は、いずれもこれから確かめる期待値の段階です。次の実証実験では、来店客の反応やコスト削減効果、売上高向上効果を定量的に測る計画が置かれています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、伝える内容の型が決まっていて、原稿づくりと収録が繰り返し発生する情報発信でしょう。館内や施設のアナウンス、時間帯ごとの案内などは、文章を生成する部分と声にする部分を分けておけば、差し替えの単位が小さくなります。外部の情報を集めて貯める部分を別ブロックとして持たせる設計も、自社のデータが十分でない段階から試すうえで参考になります。
一方で、そのまま持ち込みにくい場面もあります。放送する内容に法令や表示ルールの厳密さが求められる場合、生成した文章をそのまま流す運用は成り立ちません。読み上げる情報が日々更新されないなら、オンデマンドで差し替えられるという利点そのものが生きにくいままです。さらに、この事例では店舗ごとの情報や地域の出来事といった供給源があることが前提で、その材料が揃わなければ、放送は結局固定のままになります。
まず試すなら、直近で流した放送原稿を1本選び、店舗名や時間帯を変えた別バージョンを生成AIに書かせ、合成音声で読み上げて自店で聞き比べてみる。声のトーンが場に合うかどうかは、その場で耳で判断できます。
この事例は2024年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
トヨタコネクティッド株式会社
出典・参考情報
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