実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.16
包装材メーカーがAWS上でRAGを全社展開、1人あたり年25日分の削減効果
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内に資料はあるのに探し出せない
- 全社員分のAI利用料が高くつく
- 部署ごとに見せる資料を分けたい
どのようなAIの取り組み?
AWSの生成AIアプリをベースにRAGを全社へ広げ、部署ごとのアクセス権の制御と利用効果の測定まで組み込んだAI取り組み
業種
包装材・産業資材製造(製造業)
取り組み領域
情報システム/社内ナレッジ検索
使ったAI
生成AIアプリGenU(RAG・Amazon Bedrock)
主な成果
利用者1人当たり年間25日分の業務時間削減に相当
創業110年を超えるZACROS株式会社は、医薬医療向けの包装材、日用品や化粧品のつめかえパウチ、液晶保護フィルム、トンネル用の防水シートなど四つの事業を持つ製造業です。研究所では2024年6月からSaaS型の生成AIサービスでRAG(外部のデータベースや文書を検索し、その内容を参照して回答をつくる仕組み)の利用が始まり、情報システム部でも同年4月から、Amazon Bedrockなどを利用する生成AIアプリケーション「GenU」の検証が進んでいました。全社へ広げる段になると、利用者ごとの課金が積み上がる費用と、部署ごとのアクセス権をどう設定するかが壁になります。そこで採用されたのがサーバーワークスの「RAG運用支援」で、2025年3月から5月にかけてGenUをベースとするRAGが全社に展開され、あわせて利用効果を測る機能も実装されました。
出典:導入事例(ZACROS株式会社様) - AWS伴走支援ならサーバーワークス 発行元:株式会社サーバーワークス
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
研究所には40年以上にわたって積み上がった技術情報のデータベースがありましたが、形式がばらばらで、目当ての情報にたどり着くには一件ずつ開いて中身を確かめるしかない状態でした。全社に広げようとすると、そこに別の壁も重なります。先行していたSaaS型サービスは利用者一人ごとの課金で、全従業員分を積み上げると高額になると見込まれ、GenUで部署ごとのアクセス権を設定する場面では、情報システム部だけでは解決策が見つからない技術的な課題にも突き当たっていました。
編集部の見立てでは、この三つはばらばらの問題ではなく、「一部門で使う」から「全社で使う」へ移る瞬間にまとめて姿を現す、同じ性質の壁です。研究所という限られた範囲であれば、単価も権限も大きな論点にはなりません。利用者が全社に広がった途端、一人あたりの差額が総額の差に化け、誰にどこまで見せるかという線引きも避けて通れなくなります。困りごとの本質は検索性の低さそのものより、部門で成り立った仕組みを全社の規模と統制に載せ替えるところにあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
選定を現場の使用感に委ねられたのは、研究所がSaaS型サービスで先行し、情報システム部が別系統でGenUを検証するという二本立てが結果的に比較材料を生んだからです。GenUがまだRAGに対応していない段階でも、実際に触れた研究所のメンバーから回答精度についての評価が上がり、費用の構造の違いと並べて判断できる状態になっていました。カタログ上の比較ではなく、使った人の手応えと課金方式の差を同じテーブルに載せたことが、全社展開の可否そのものを左右する分岐を進められた理由と考えられます。
全社展開の障害をアクセス権の設定という一点に絞り込み、そこだけを外部に委ねた切り分けも効いています。Google WorkspaceとAmazon Cognitoの連携までは自社で済ませたうえで、残った技術的な難所をサーバーワークスの「RAG運用支援」に渡す形をとりました。ここで見逃せないのは、アクセス権が単なる技術設定ではなく、対象部署をどの単位で分類するかという業務側の設計だという点で、支援側はヒアリングを重ねたうえでフォルダの分け方を複数提案しています。ヒアリングを担う担当者と認証・アクセス権限の技術を担う担当者が役割を分けた進め方も、業務設計と実装という性質の異なる論点を同時に前へ進める助けになったのでしょう。
展開と同時に利用効果の測定機能を作り込んだことは、この取り組みで最も応用の余地が大きい部分です。やり取りしたトークン量とその内容のジャンルから業務時間の削減量を推計する仕組みを持ち、ログイン状況や利用者の評価とあわせてKPIとして測り続ける構えをとっています。使い勝手を上げるための画面の修正まで含めて、配って終わりにせず、使われ方を見ながら手を入れる前提で組み立てられた設計です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
利用効果を測る機能による4か月間の集計では、利用者1人当たり年間25日分の業務時間削減に相当し、全ユーザーを合わせると年間およそ35年分の削減効果という換算になっています。定性的にも、よく使う利用者から別の業務に集中できるようになったという声が出ています。利用者数は2025年5月の363名から7月には431名へ増え、GenUの評価でGoodが占める割合も同年3月の94%から7月は約98%へ上がりました。
うちでも使える?
応用しやすいのは、社内に資料が散らばっていて、しかも部署によって見せてよい範囲が違う会社です。すでにクラウド上に業務基盤があり、社員のアカウント管理が一本化されているなら、権限の考え方をそのまま持ち込める分だけ手数は減ります。一方、権限が人単位・案件単位で複雑に入り組んでいたり、そもそも文書がどのフォルダに属するかが決まっていなかったりする場合は、AIの前に文書の置き場を決める作業が先に来ます。費用の比較も万能ではなく、利用者が数十人にとどまる規模では、自社で構築・運用する手間のほうが重く出ることもあります。
まず試すなら、先に生成AIを使っている部門の利用者に、回答の精度が実務に足りているかを直接聞いてみてはどうでしょうか。この事例で選定の決め手になったのも、使った人が口にした精度の感触でした。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社サーバーワークス
AWSの伴走支援を手掛けるITベンダー。2009年にいち早くAWSに特化した事業を開始した東証上場企業で、AWS認定の最上位パートナー(AWS Premier Tier Services Partner)。AWS請求代行、AWS設計・構築支援、AWS運用・サポート、AWS活用支援、AWS Marketplace、Cloud Sherpa などのサービスを提供し、本事例では生成AI活用に向けた「RAG運用支援」を提供した。
ZACROS株式会社
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