実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.16
マニュアル検索RAGを3カ月で構築、生成AI未経験のチームによる実証実験
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- マニュアル探しに時間を取られている
- 一次窓口で答えられない質問が集中する
- AI開発を外注せず社内に技術を残したい
どのようなAIの取り組み?
生成AI開発が未経験のチームが、伴走支援を受けながらマニュアル検索を支援するRAGを3カ月で構築した実証の取り組み
業種
電機製品の開発・設計(製造業)
取り組み領域
ヘルプデスク支援/マニュアル検索
使ったAI
Amazon Bedrockを用いたRAG(生成AI)
主な成果
生成AI未経験のチームが3カ月でPoC環境を構築(精度は評価継続中)
三菱電機グループで製品やシステムの開発・設計を担う三菱電機エンジニアリングの京都事業所では、スマートフォンから家電や住宅設備を操作する統合アプリ「MyMU」の品質管理と問い合わせ対応を担う部署が、一次窓口から上がってくる難しい質問への回答づくりで、マニュアル検索の負荷を抱えていました。そこで採られたのが、AWSの生成AIサービスであるAmazon Bedrockを使い、マニュアルを参照しながら回答を組み立てるRAG(外部データを検索してAIの回答に活用する仕組み)を内製で検証する道です。AWSも生成AIも未経験のメンバーが、AWS専業ベンダーであるサーバーワークスの伴走支援を受け、AWSが公開するユースケース集「GenU」を土台に、2024年10月からの3カ月でPoC(小規模な試験導入)環境を構築しました。同時期に、HEMSの技術相談データベースを対象とした別チームの検証も並走しています。
出典:導入事例(三菱電機エンジニアリング株式会社様) - AWS伴走支援ならサーバーワークス 発行元:株式会社サーバーワークス
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
この部署には、一般の利用者に対応する一次窓口では回答が難しい問い合わせが、エスカレーションとして集まってきます。答えの根拠は膨大なマニュアルの中にあり、それを人手でたどる時間が業務負荷を押し上げていた、というのが出発点でした。
編集部の見立てでは、困りごとの正体は問い合わせの件数そのものではなく、答えは社内にあるのに、それを取り出す経路が担当者の記憶と目視に依存していた点にあります。しかもこの部署が抱えていた課題は、検索の効率化だけにとどまりません。クラウドと生成AIのナレッジを社内に持ちたい、社内での活用を広げたいという人材面の課題が、同じ場所で重なっていました。検索を速くするだけなら作業を外に出す道もありますが、それでは技術が手元に残らない。仕組みと技術者を同時に手に入れなければならなかったところに、この取り組みの性格がよく表れています。
どうやって、うまくいったのか
出発点をゼロからの設計ではなく、AWSが公開している生成AIのユースケース集「GenU」に置いた判断が、短期間で形になった最大の要因だと考えられます。GenUで公開されているRAGチャットの構成をひな型にすれば、未経験のメンバーでもまず動く状態まで到達でき、残りの時間を検証に振り向けられます。実際、RAGの実現方式はAmazon KendraとAmazon Bedrock Knowledge Basesを比較したうえで後者を採り、データベースにはベクトル検索が使えるAmazon Aurora、回答の根拠となるPDFマニュアルの置き場にはAmazon S3という組み合わせに落とし込まれました。作ることより選ぶことに労力を配分できる状態を先につくった点が効いています。
評価の物差しを、コスト・速度・精度の3つに分けて先に定めたことも見逃せません。生成AIの検証は「それらしい回答が返ってきた」で満足しがちですが、実用に耐える応答時間の目安を10秒と置き、回答精度に80〜85%という水準を掲げれば、良し悪しの判断が個人の印象から離れます。誤った回答を生むハルシネーションをどこまで抑えられるかを評価対象に据えている点にも、業務で使う前提が最初から共有されていたことがうかがえます。
支援する側とされる側の役割分担を、あえて回り道になる形に設計したことが、ナレッジの定着を支えたと見ています。手を動かすのは自社メンバー、どうしても行き詰まったときだけ助言を求める——この進め方は、答えを教わるより確実に時間がかかります。それでも、入社1年目のメンバーが先輩に質問し、エラーコードを生成AIに入力して原因を探りながら自力で組み上げた経験は、作業を外に出していれば手元に残らなかったものです。支援の範囲をGenUの標準構成の内側に固定せず、より使いやすくメンテナンス性の高い形へ踏み込む要望にも応じる余地を残していたことが、この分担を機能させたのでしょう。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
AWSも生成AIも未経験だったメンバーが、3カ月でRAGのPoC環境を構築するところまで到達しました。応答時間は実用の目安とした10秒をクリアし、回答精度は80〜85%を目標に評価を継続中です。伴走支援が終わった2025年1月以降も実業務で使いながらフィードバックを集めており、社内のAWSユーザー会では成果の発表も行われました。生成AIやRAGのナレッジが部署に蓄積され、開発の内製化につながった点は、検索が速くなること以上に長く効く成果ではないでしょうか。
うちでも使える?
応用しやすいのは、答えが文書の中に確実に存在していて、その文書が電子データとして揃っている業務です。この事例で並走したHEMS側のように、検索対象を絞り込めて過去の回答履歴も蓄積されている領域なら、大がかりな仕組みを足さずプロンプトの調整で精度を押し上げる余地が生まれます。逆に、回答が担当者の勘や現場ごとの事情で決まっていて文書に残っていない場合や、マニュアルの改訂が追いつかず古い記述が混ざっている場合は、AIが誤った根拠を引いてしまうため、同じ形では持ち込めません。
見落としやすいのは期間の前提です。3カ月という速さは、通常業務の一部を検証に充てられる体制と、クラウドを使ってよいという社内の合意があって成り立っています。この2つが揃っていないなら、まず整えるべきはそちらです。最初の一手としては、手元にある1製品分のマニュアルだけを対象に、公開されているユースケース集の構成をそのまま動かしてみる。範囲を1製品に限れば、自社の文書で精度が足りるのかどうかは、思いのほか早く見当がつきます。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社サーバーワークス
AWS専業ベンダーとして高度な知見を持つ企業。2009年にAWSに特化した事業を開始した東証上場企業で、AWS認定の最上位パートナー(AWS Premier Tier Services Partner)。AWS請求代行、AWS設計・構築支援、AWS運用・サポート、AWS活用支援などのサービスを提供している。
三菱電機エンジニアリング株式会社
出典・参考情報
導入事例(三菱電機エンジニアリング株式会社様) - AWS伴走支援ならサーバーワークス
発行元:株式会社サーバーワークス
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