実施 2025.01 ・ 更新 2026.08.14
生成AIでアプリを作るインターンシップ、理系学生に技術商社の魅力を伝える工夫
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 専門性が学生に伝わらず採用に苦戦
- 面接だけでは人柄や考え方が見えない
- 社員が自社の魅力をうまく伝えられない
どのようなAIの取り組み?
生成AIツールを使った体験型インターンシップを共同企画し、理系学生への認知づくりと採用のミスマッチ低減に取り組んだ事例
業種
エレクトロニクス商社(小売・流通)
取り組み領域
新卒採用/インターンシップ
使ったAI
生成AI開発支援ツール「Vercel v0」(生成AI)
主な成果
参加者の中から複数名の内定承諾
三菱電機グループのエレクトロニクス商社であるRYODENは、理系学生への認知を広げるため、長年の技術パートナーであるクラスメソッドと組み、生成AIを題材にしたインターンシップを共同で企画しました。2025年1月に実施した1日間のプログラムでは、AWSが提供するハンズオンを使った生成AIチャットボットの構築体験と、社員との座談会を組み合わせています。同年8月・9月には目的を分けた2種類を実施し、信州大学と連携した5日間のプログラムでは議論中心のグループワークを、1日のプログラムでは生成AI開発支援ツール「Vercel v0」を使ったアプリ開発ワークショップを行いました。いずれもクラスメソッドが全体の枠組みと技術選定を、RYODENが実務に基づく課題設定を担う共創体制で運営されています。
出典:https://classmethod.jp/cases/ryoden-internship/ 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
「商社は文系の世界」というイメージが強く、技術力を武器にするRYODENの姿は理系学生の選択肢に入りにくい状況がありました。営業職向けのインターンシップはあったものの、技術職を志す学生に響く専門的な内容までは用意できていません。加えて、技術部門の社員が説明会に登壇しても、顧客と話すときのトーンのまま学生に接してしまい、「入社後が心配」「冷たそうな会社だ」という印象を残すことがありました。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な問題は接点の数ではなく、伝える手段が「説明」に偏っていたことにあります。技術商社という業態は、扱う製品を並べただけでは、それを使って何を生み出しているのかが外から見えません。言葉を重ねるほど抽象度が上がってしまう対象を、言葉だけで伝えようとしていた点に無理があったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
参加者のスキル差を前提に、達成感が得られるかどうかを基準にツールを選んだ設計が、この取り組みの土台になっています。採用された「Vercel v0」は、コードを書かなくても自然言語で指示するだけでデザインされた動くアプリが出来上がる生成AI開発支援ツールで、プログラミング経験に幅のある理系学生にも、参加が想定されていた文系学生にも同じスタートラインを用意できます。技術を教え込むことを目的から外し、「作れた」という手応えを全員に届けることを優先した判断が、参加者を選ばない場を成立させたと考えられます。
AIにいきなり触れるのではなく、紙とペンで身の回りの困りごとを書き出すところから始める進め方も、この事例に固有の工夫でした。「ToDo管理がうまくいかない」「朝起きられない」といった自分の課題を出発点に、解決する機能を設計し、その設計図をもとにプロンプト(AIへの指示文)を作り、生成されたアプリを動かして直し、最後に全員の前で発表する。要件定義から設計、実装、テスト、リリースまでの流れを短時間に凝縮したこの構成は、題材が自分事であるほど「もっとこうしたい」という要求が湧く性質を利用しており、学生の側から社員へ質問が飛ぶ状態を自然に生んでいます。
枠組みづくりと技術選定、進行役を外部パートナーが担い、現場の課題設定と製品知識を事業会社側が持ち込むという分業も効いています。5日間のプログラムでは講師があえて教えすぎず議論を促す進行に徹し、学生が自らタイムキーパーや司会を決めて議論を組み立てていきました。初回の1日プログラムについては、用意されたテキストをなぞる穴埋め形式に近く創意工夫の余地が少なかったと運営側が振り返り、その反省を次の設計に反映しています。一度作った型を固定せず、参加者の反応を見て組み替える運用が、二度目以降の内容を押し上げた要因でしょう。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
8月・9月に実施した2つのプログラムは参加人数こそ少数でしたが、参加者の中から複数名の内定者が生まれ、入社承諾にもつながりました。2025年1月の初回イベントからも複数名が内定を承諾し、入社を決めています。人事側は面接では見えにくい素のコミュニケーション能力や思考プロセスを確認でき、学生は社風や仕事内容を理解したうえで選考に進むため、ミスマッチの減少という効果も生まれています。参加した若手社員にとっても、自社の技術力や仕事の面白さを再確認する機会になりました。今後は開催時期の前倒しや規模の拡大、ハイブリッド開催、ハッカソン形式の導入などが検討されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、扱っている技術や仕事の中身が外から見えにくく、説明だけでは相手の関心まで届かない企業です。半日から1日で形になる生成AIツールを使えば、参加者のスキルがそろっていなくても同じ体験を共有できるため、採用に限らず、取引先向けの体験会や他部門への業務理解の促進にも広げる余地があります。
一方で、この形が成立していたのは、現場の実務課題と製品知識を持ち寄れる社員が当日その場にいたからです。運営を外部に任せきりにすると、AIツールの体験会にはなっても自社の姿までは伝わりません。守秘性の高い案件しか題材にできない場合や、社員が当日つきっきりで関われない体制では、同じ手応えは見込みにくいところです。
最初の一歩は、自社の仕事の中から、社外の人に見せても差し支えなく、しかも「これが解けたら面白い」と思える課題を一つ選ぶこと。題材さえ決まれば、それを短時間で扱える形に落とす作業は、AIツールに詳しい相手と一緒に詰められます。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:バックオフィス・管理部門(人事・経理・法務)
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド
AWS環境の構築支援やソフトウェア開発、エンジニア向けトレーニングを手がけるIT企業。ChatGPTやAmazon Bedrockなど各種生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発までを支援し、オウンドメディア「DevelopersIO」で技術情報を発信している。
株式会社RYODEN
出典・参考情報
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