実施 2026.01 ・ 更新 2026.08.15
中外製薬が現場社員にAIエージェント構築研修、年144時間削減見込みの改善案
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIツールを配ったのに使われない
- 開発依頼が特定部署に集中して遅い
- 現場が自分でAIを作れるようにしたい
どのようなAIの取り組み?
Microsoft Copilot Studio を使った約1ヵ月のハンズオン研修で、現場社員が自分の業務に合うAIエージェントを構築できる状態を目指したAI取り組み
業種
医薬品(製造業)
取り組み領域
全社のAI人材育成/現場主導のAIエージェント開発
使ったAI
Microsoft Copilot Studio・Power Platform(AIエージェント構築)
主な成果
年間144時間の業務削減効果を見込むアイデアが創出
中外製薬は、社員一人ひとりがAIを業務のパートナーとして使う状態を目標に掲げ、まずは社内チャットアプリやCopilotの利用者を広げる段階を進めてきました。その次の一手として位置づけられたのが、現場の社員が自分の業務に合うAIエージェントを自ら組み立てる「市民開発者」の育成です。研修はスキルアップAI(スキルアップNeXt)が提供し、期間は約1ヵ月。Microsoft Copilot Studio によるローコード開発講座と、Microsoft Power Platform を用いたAIエージェント構築講座を、手を動かしながら学ぶ構成で組み立てられました。受講者は各部門の生成AI活用推進リーダー担当者およそ150〜160名からの希望者と、社内コミュニティで募った枠で、いずれも挙手制です。締めくくりの最終発表会では、各自の業務課題に紐づく改善アイデアが持ち寄られました。
出典:中外製薬株式会社 | 法人向けサービス | スキルアップAI | 組織・人材変革を加速するAI/DX伴走パートナー 発行元:スキルアップAI(Beyont Ltd.)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
ツールを配って活用を呼びかけても、「どこでどのように使えばよいか分からない」という声が一定数残っていました。加えて、業務ごとに作り込んだAIエージェントの必要性が高まるほど、社内の専門部隊が一つずつ開発していてはスピードが追いつかない、という見通しも立っていました。
編集部の見立てでは、この2つは別々の問題ではなく、同じ構造の表と裏です。汎用的なAIツールを渡された利用者は、自分の業務のどこにどう当てはめるかという翻訳作業を自力で背負うことになります。その翻訳を専門部隊が肩代わりしようとすれば、今度は依頼が一箇所に集まって詰まる。困りごとの本質は、AIを使える人の数ではなく、業務を最もよく知っている人と、それを形にする力とのあいだに距離があったことではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
研修のゴールを「知識を得ること」ではなく「AIエージェントを構築できるようになること」に置いた設計が、まず効いていると考えられます。話を聞いて理解した状態と、自分で組み立てられる状態のあいだには段差があり、それを埋めるにはその場で手を動かして試す時間が要ります。Microsoft Copilot Studio によるローコード開発と Power Platform を用いた構築を、講義とハンズオンを往復させながら進める組み立てには、参加者のスキルレベルに幅がある状況でも各自が持ち帰れるものを確保する狙いがあったはずです。
受講者自身の業務課題を洗い出し、解決策を立案するワークをカリキュラムに組み込んだ点も、この研修を単なる操作講習と分けています。題材が自分の仕事であれば、作る対象を探す手間が消え、機能を覚えることと使い道を考えることが同時に進みます。実際に持ち寄られたのは薬機法や廃棄物に関する問い合わせ対応という、その部署の担当者でなければ着想しにくい業務でした。現場の課題理解をそのまま開発の入口に据えた構成が、アイデアの具体性を押し上げたと見ています。
参加者の集め方も、結果を左右した要素でしょう。各部門の生成AI活用推進リーダーという、もともと旗振り役を担う層から挙手制で募れば、学んだ人がそのまま部署への持ち帰り口になります。さらに、スキルの育成と、安全に使うための環境・管理の整備を両輪と定義し、管理者向け・利用者向けのガイドライン策定やCopilot Studioの問い合わせ窓口の設置を並行して進める進め方は、作れる人だけが増えて置き場所がない、という詰まり方を避ける設計です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
最終発表会には各部署から業務改善のアイデアが持ち寄られ、そのうち「薬機法の問い合わせ対応エージェント」は、実現すれば年間144時間の業務削減効果が見込まれています。「廃棄物に関する問い合わせ対応エージェント」でも月間25時間の削減インパクトが試算されました。いずれも試算の段階ですが、人的ミスの削減や問い合わせのハードルが下がるといった定性的な効果への言及もありました。発表の場では「うちの部署でもその仕組みが欲しい」「横展開できそうだ」というコメントが飛び交い、部署をまたいだアイデアの共有が生まれています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、担当者が同じ説明を繰り返していて、その答え方を言葉で書き出せる業務です。今回の題材が薬機法や廃棄物の問い合わせだったように、回答の型が決まっている領域ほど、現場の担当者がローコードのツールで形にしやすくなります。すでに全社でMicrosoft 365系のツールを使っている企業なら、新しい基盤を用意せずに試せる範囲も広いはずです。
一方で、スキルだけを先に育てると空回りしかねない点は見落とせません。この事例でも研修後に「環境はいつリリースされるのか」という声が上がり、管理者向け・利用者向けのガイドラインや問い合わせ窓口の整備が続いています。作ったものを誰が承認し、どのデータまで参照させてよいかが決まっていなければ、受講直後の熱量は行き場を失います。規制や機密の線引きが厳しい業務ほど、この整備は後回しにできません。
小さく始めるなら、自部署に月に何度も届く問い合わせを1件選び、その回答を実際に組み立ててみるところから。作れるかどうかよりも、誰の承認があれば社内に出せるのかが先に見えてくるはずです。
この事例は2026年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
スキルアップAI
組織・人材変革を加速するAI/DX伴走パートナー。AI人材育成、AI・エージェント開発、業界特化型AIエージェントの提供などを行い、様々な業界業種で1,000社以上の企業・自治体のAI/DX推進を支援している(スキルアップNeXt、© Beyont Ltd.)。
中外製薬株式会社
出典・参考情報
中外製薬株式会社 | 法人向けサービス | スキルアップAI | 組織・人材変革を加速するAI/DX伴走パートナー
発行元:スキルアップAI(Beyont Ltd.)
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
