実施 2023.12 ・ 更新 2026.08.14
コクヨの全社員向け生成AI環境、研修で集まった約3,000のアイデアを形に
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 研修でAIを学んでも試す場がない
- 社内情報をAIに入れるのが不安
- 社員のアイデアが形にならない
どのようなAIの取り組み?
セキュリティを確保した社内専用の生成AIチャット環境を整え、デジタル人材教育で生まれたアイデアを実装へつなげる取り組み
業種
文具・オフィス家具製造(製造業)
取り組み領域
社内向け生成AI環境/デジタル人材育成
使ったAI
社内専用の生成AIチャット環境(Amazon Bedrock・ChatGPT等)
主な成果
全社員が使える生成AI環境を2023年12月に社内リリース
文具やオフィス家具を手がけるコクヨは、2023年6月に社内向けのデジタル人材教育・実践プログラム「KOKUYO DIGITAL ACADEMY」を開校し、IT・AI・DD(Data Driven)の3分野の講座を全従業員に開いてきました。学んだことを業務のアイデアへつなげる段階で必要になったのが、社内情報を扱っても安全に使える生成AIの環境です。クラスメソッドがAWS上のインフラ構築と運用保守を担い、Amazon BedrockやChatGPT、Microsoft Azureといった複数の基盤モデルを一つの画面から切り替えて使えるチャット環境「KOKUYO AI Chat」を用意しました。契約は8月に始まり、11月までに環境を構築して12月に社内リリース。卒業生向けの実践プログラム「GPT-Lab」に対しては、技術コンサルティングという形での伴走支援が続いています。
出典:コクヨ様事例|「KOKUYO DIGITAL ACADEMY」生成AI環境の構築支援。コクヨのデジタル人材教育・実践プログラムとカルチャーを技術で下支え| クラスメソッド株式会社 | AWS・生成AI・クラウドの技術支援 発行元:クラスメソッド株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
アカデミーのAI分野の講座である「文系AI塾」では、業務改善や顧客にインパクトを与えるAI企画を立案・発表する機会が設けられ、事前に募った分と合わせて3,000ほどのアイデアが集まりました。ところが、それを試せる環境は社内になく、ChatGPTをそのまま使うにはセキュリティ面の不安があり、新しい領域だけに自社側のスキルも十分ではないという状態が重なっていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「AIを使える人がいない」ことではありません。むしろ逆で、アカデミーがなくても各自で始めてしまうほどの熱量が先に立ち上がっていたのに、それを安全に受け止める場所が用意されていなかった。学びの出口がないまま関心だけが高まる状況は、知識が実務に結びつかないまま終わるか、管理の外側でツールが使われ始めるかの、どちらかに傾きやすいのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
Amazon Bedrock、ChatGPT、Microsoft Azureという複数の基盤モデルを一つの画面から簡単に切り替えられる構成が、この環境の性格をよく表しています。生成AIはここ1年ほどで急速に広まった領域で、どのモデルが自社の業務に合うかは実際に使ってみないと判断できません。特定のサービスに寄せて作り込むのではなく、並べて試せる形にしておく設計は、実験を前提にした場づくりそのものと言えます。
社内情報をソースにAIが文章を生成しても安全なインフラをAWS側で先に整え、使う人は中身を気にせず触れるようにした切り分けも効いています。指示が大まかにならざるを得ない未知の領域では、要件を細部まで固めてから作るという通常の進め方は成り立ちません。方向性を共有したうえで構築を進め、生成AIの最新動向や実際に手を動かした経験を伝え合うやりとりを挟んだことで、発注する側の解像度自体が上がっていきました。技術の受け皿をパートナー企業が担い、社内側は用途を考えることに集中できる分担が成立しています。
作ったプロンプトをその場で環境にビルトインし、全社で使えるようにするという活用面の助言も、この取り組みの継続性を支える部分です。個人が見つけた使い方が個人のものにとどまれば、せっかくの環境も便利なチャット画面で終わってしまいます。座学中心のアカデミー、実践の場であるGPT-Lab、そして共通の生成AI環境という三つが順につながる構造になっていて、学んだ人がそのまま作る側へ移っていける導線が引かれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
「KOKUYO AI Chat」は2023年12月に社内リリースされ、従業員の声を聞きながらアップデートや機能追加を重ねていく段階に入りました。アカデミーの各講座には350〜500名が参加し、文系AI塾からは3,000ほどのアイデアが集まっています。GPT-Labでは高集中ワーク、オペレーション改善、社内外の関係性構築という3テーマに5チームが分かれて実装に向けた活動を進めており、3月末に成果物を提出、4月の最終報告会で受賞テーマを決め、そこから優れたものを実装していく予定です。
うちでも使える?
参考にしやすいのは、社内に学ぶ意欲や使ってみたい気持ちが先に生まれているのに、試せる場所がないという状況です。全社員が同じ画面から複数のモデルを試せる環境をひとつ用意し、そこに使い方を貯めていく形なら、部署をまたいで応用が広がりやすくなります。
一方で、この事例は勤務時間内に受けられる研修プログラムと、卒業生が集まる実践の場が先に整っていたからこそ環境が使われた、という順序を見落とせません。用途を考える時間も役割も社内にない状態で環境だけ配っても、同じようには回らない可能性があります。技術面を外部パートナーが引き受ける前提の進め方でもあるため、伴走してくれる相手を確保できるかどうかも検討材料になるでしょう。
まずは、社内の誰かが個人的に使っている生成AIの用途をひとつ選び、そのプロンプトを他の人も開ける場所に置いてみるところから。全社環境の話は、その反応を見てからでも遅くありません。
この事例は2023年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド株式会社
AWS・生成AI・クラウドの技術支援を行う企業。ChatGPTやAmazon Bedrockなどの各種生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発まで支援を提供し、技術系ブログ「DevelopersIO」で知見を公開している。
コクヨ株式会社
出典・参考情報
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