実施 2022.02 ・ 更新 2026.08.16
画像AIでバーコードのない商品を識別、そごう・西武の店頭在庫をオンライン販売へ
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- バーコードのない商品の在庫が数えられない
- 紙台帳やFAXでの発注に時間を取られている
- 店頭にある在庫をネットでも売りたい
どのようなAIの取り組み?
AI画像認識で商品を識別し、バーコードやRFIDに頼らずに店頭在庫を単品で管理できるようにして、オンライン併売につなげたAI取り組み
業種
百貨店(小売・流通)
取り組み領域
店頭の在庫管理/売場業務
使ったAI
AI画像認識(画像AI・NeoX社製品)
主な成果
店頭在庫のオンライン併売が可能になり、日販が改善
百貨店を運営するそごう・西武は、店頭の在庫をオンラインでも販売するOMO(実店舗とネットの在庫・販売をつなぐ考え方)を目指していました。ただし約6割の商品はFAXで発注され、約1/3の商品にはバーコードが付いておらず、在庫は紙の台帳で管理されていたため、POS連携を前提とした一般的な手法では単品ごとの在庫を把握できません。支援にあたったRidgelinezは、まず単品管理を阻む要因を構造的に整理したうえで、2022年2月から7月の実証実験でAI画像認識の実用性を検証し、2023年4月から9月の本開発フェーズで発注管理・検品・品出し・廃棄を担うスマートフォンアプリを作り上げました。画像認識AIにはNeoX社の製品が使われています。在庫データは電子売消台帳とダッシュボードで可視化され、2023年10月にそごう大宮店の全国銘柄売場でオンライン販売が始まりました。
出典:【そごう・西武様】 百貨店業界初 AI画像認識による単品在庫管理DX ― OMO実現に向けた売場改革 - Ridgelinez (リッジラインズ)株式会社 発行元:Ridgelinez株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
抱えていた制約は、業務とITの両面にまたがっていました。約6割の商品がFAXで発注されるため入荷予定のデータが自動では集まらず、約1/3の商品にはそもそもバーコードが付いていない。さらに在庫管理の中心は紙台帳で、館内のどこに何がいくつあるのかを速く正確に答えられる状態ではありませんでした。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「作業が煩雑」という次元ではなく、商品を一意に指し示す共通の識別子が館内に存在しないことにあります。バーコードもEDI(企業間でデータをやり取りする仕組み)も、取引先側の対応があって初めて機能する前提条件です。その前提を自社の努力だけでは揃えられない以上、POS連携を軸にした在庫管理の王道は、どれだけ丁寧に運用してもゴールに届きません。オンライン併売という目標の手前で足を止めていたのは、意欲や人手ではなく、この前提条件の欠落だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
バーコードやRFIDを前提にしない、という割り切りが出発点になっています。コードが付いていることを暗黙の条件とする手法は、その条件を満たせない売場では成立しません。商品そのものの見た目を手がかりに識別するAI画像認識を選んだ判断は、仕入先の事情に左右される「コードの有無」から在庫管理を切り離す発想であり、前提条件が揃うのを待たずに前へ進める道を開いたと言えます。
AIの役割を全自動の判定ではなく、人の検索を助ける補助機能に定めた設計も効いています。実証実験では棚に並んだ商品を自動検知する方式を含む複数のアプローチが比較され、最終的に業務実用に耐える単品商品検索へ絞り込まれました。売場で商品を扱うのは結局のところ人であり、AIが候補を素早く絞って最後の確定を担当者が行う分担であれば、認識が万能でなくても運用は回ります。技術的な可能性を広げるより、現場が毎日使える一点に用途を狭めた判断が、検証段階から本開発への橋渡しになったのではないでしょうか。
在庫データを集める仕組みを別立てにせず、発注管理・検品・品出し・廃棄という日々の作業アプリの中へ同居させた構成も見逃せません。担当者は普段の業務をスマートフォンで進めるだけで、その結果が電子売消台帳に反映されていきます。作業とデータ更新が同じ画面の中でつながる構造にしておけば、記録のためだけの追加作業が生まれにくくなります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
国内の百貨店業界で初となる、バーコード・RFIDに依存しない単品在庫管理が実現しました。これにより店頭在庫のオンライン併売が可能となり、販売機会の逸失防止と日販の改善につながっています。売場業務のペーパーレス化によって業務効率も向上しました。棚の上にあるだけだった在庫が、どの販売チャネルにも回せる資産へと性格を変えた点に、この成果の意味があります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、扱う商品や資材にコードが振られていない、あるいは仕入先ごとに管理方法がばらばらで、自社の都合だけでは統一できない現場です。見た目で区別がつくものを扱っていて、検索の最終判断を人が担える業務であれば、規模が大きくなくても同じ考え方は成り立ちます。一方で、外見がほぼ同一で型番でしか判別できない部材や、担当者が画面を確認する間もない速度で流れる作業では、画像による検索は噛み合いにくいでしょう。検証と本開発を分けて進めた段取りも、ある程度まとまった期間を確保できることが前提になります。
試すなら、いま把握しきれていない商品を数点だけスマートフォンで撮り、その写真から人が迷わず特定できるかを確かめるところから。人が写真で見分けられないものは、AIにとっても難しい対象です。
この事例は2022年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
そごう・西武
出典・参考情報
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