実施 2025.09 ・ 更新 2026.08.13
マーケティングSaaSに生成AIを搭載、DM最適化で売上が従来比115%に
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 制作を外注していて案出しに時間がかかる
- 配信先の選定が担当者の勘に頼っている
- マーケのノウハウが個人に溜まったまま
どのようなAIの取り組み?
生成AIを自社のマーケティングAI SaaSに組み込み、顧客データの分析からクリエイティブの大量生成までを自動化したAI取り組み
業種
マーケティングAI SaaS(IT・通信)
取り組み領域
マーケティング(顧客データ分析・クリエイティブ制作)
使ったAI
Google Vertex AI(生成AI・機械学習基盤)
主な成果
顧客企業のDM最適化で従来比115%の売上増
株式会社GROWTH VERSEは、顧客データ基盤と従来型のマーケティングオートメーションを軸にしたマーケティングAI SaaS「AIMSTAR」に、Google CloudのVertex AIを組み込みました。2023年夏に生成AIを導入する方針を固め、翌年に経営へ加わった代表取締役会長兼CTOが基盤を選定しています。機械学習の基盤が強いこと、Geminiを介して画像・音声・動画まで扱えること、BigQueryなど他のGoogle Cloudサービスと組み合わせて開発できること、インフラの管理・運用をマネージドサービスに任せられることが決め手になりました。散在する顧客データの収集とラベリング、クラスターの定義、配信するクリエイティブの大量生成までを自動化し、顧客企業向けの施策に適用しています。
出典:GROWTH VERSE の導入事例 | Google Cloud 発行元:Google Cloud
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
マーケティングの現場では長らく、データの収集・整理を人が担い、クリエイティブもマーケター個人の判断に委ねられてきました。A/Bテスト用のランディングページを3点作るだけでもデザイナーへの発注に2〜3週間と数十万円がかかるため、サンプル制作の段階からマーケターのセンスに頼らざるを得ない。どのような顧客にどんなメッセージを届けるかというペルソナ設定やターゲティングも個人の裁量に置かれ、データやノウハウが特定の人に蓄積していく状態が生まれていました。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは制作が遅い・高いことそのものではなく、「試せる回数」が構造的に絞られていた点にあります。検証できる案が数点しかない世界では、最初に良い案を思いつけるかどうかが成果を決めてしまい、その勘は本人の中にしか残りません。属人化は原因というより、少ない試行回数がもたらした帰結だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
AIの基礎技術そのものは開発せず、顧客の具体的な課題解決とラストワンマイルの支援に資源を集中する。この線引きが取り組み全体の性格を決めています。基盤側はVertex AIとマネージドサービスに委ね、インフラの管理・運用を自社の仕事から外す判断が置かれています。テキスト・音声・動画・画像を別々のツールに分けず一つの基盤で扱う構成を選んだことも、限られた開発リソースを施策そのものの作り込みへ向けるための整理だと読めます。
二つ目の要因は、人の勘に委ねられていた工程を、データで定義できる手順に置き換えた設計です。データを基盤にクラスターを定義し、ペルソナに応じたコンテンツを設定し、その検証方法までを一続きの手順として組み立てる。サンプルを一度に100パターン規模で作れるようになると、良い案を最初に思いつく力よりも、多く出して検証で絞り込む仕組みのほうが成果を左右します。個人に溜まっていたナレッジを組織へ還元するという発想は、この順番の入れ替えから自然に導かれたものと考えられます。
改善を止めない運用の作り方も見逃せません。テキスト、音声、動画、画像といったカテゴリーごとに「この技術が実現すればイノベーションにつながる」という課題リストを持ち、生成AIのモデルが更新されるたびに変更点を集中的に確認しています。約3か月に1度という新機能発表のペースを支えているのは、モデルの進化を待つのではなく、あらかじめ用意した課題の側から取りに行く構えでしょう。基盤の提供元から情報収集の支援を継続的に受けている点も、この確認作業を回すうえで効いています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
Vertex AIを搭載して対応した最初の案件では、スタッフが数個の要素だけで決めていたカタログの送付先選定を、200の特徴量を与えて選ぶ方法へ切り替え、売上が急激に伸びました。老舗企業ではAIによるDM最適化で従来比115%の売上増が達成され、メールマーケティングの最適化によってCVR(購入や申し込みに至る割合)が20%向上したケースも生まれています。大手金融機関の案件では、3か月後に休眠する可能性のある顧客を97%の精度で予測し、離脱防止策の提案につながりました。1冊1,000円のカタログを10万人に送れば費用は1億円という規模を踏まえると、送付先の絞り込み精度がそのまま費用対効果に直結する領域での成果といえます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、顧客データがある程度まとまっていて、配信の結果で良し悪しを判定できる業務です。DMやメールの送付先選定、ランディングページの案出しのように、複数案を出して反応の差を測れる領域なら、生成量が増えるほど判断材料も増えていきます。
逆に、顧客の属性や購買履歴が部署ごとに分かれたままの状態では、200の特徴量に相当する材料をそもそも用意できず、生成側だけを速くしても選び分ける基準が育ちません。商談件数が少なく一件あたりの単価が大きい売り方のように、比較検証の回数を確保しにくい商材でも、大量生成の利点は出にくいはずです。まず試すなら、いま外注しているクリエイティブのうちA/Bテスト用の候補案づくりだけを切り出し、生成AIで数十案を作って現行案と反応を比べてみる。判断材料が増える手応えがあるかどうかは、その一回で見えてきます。
この事例は2025年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社GROWTH VERSE
2021年6月創業。「BUILDING AI to maximize Business Growth」(ビジネス成長を最大化するAIの構築)というミッションのもと、マーケティングAI SaaS「AIMSTAR」をはじめ、人流分析AI SaaS「ミセシル」、売上管理AI SaaS「Zero」、コールAI SaaS「電話放送局」などの開発・提供を行う。B2Cを中心に、大手企業のLTV(顧客生涯価値)の最大化と業務効率向上に貢献している。
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