実施 2025.04 ・ 更新 2026.08.13
ガンプラ写真をAIで背景合成、公式ファンコミュニティの月間利用者が5倍
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- コミュニティの投稿が常連に偏っている
- 初心者が投稿をためらってしまう
- AIの生成物が世界観からずれるのが心配
どのようなAIの取り組み?
組み立てた模型の写真から生成AIで背景を作り、公式ファンコミュニティの月間利用者を5倍に伸ばしたAI取り組み
業種
IPファンコミュニティ運営(メディア・エンターテインメント)
取り組み領域
ファンコミュニティ向けサービス開発/画像生成機能
使ったAI
画像生成AIと画像判定AI(Vertex AI/Gemini/AutoML Vision)
主な成果
月間アクティブユーザーが5倍に増加
株式会社Gaudiy は、IP(知的財産)を持つ企業とファンコミュニティを共同で立ち上げる事業を展開しており、株式会社BANDAI SPIRITS と協同運営するガンプラ公式コミュニティ「ビルダーズノート」もそのひとつです。2025年4月、このコミュニティに「ガンプラデジラマメーカー」が正式リリースされました。利用者が組み立てたガンプラの写真をアップロードし、宇宙や砂漠といったシーンを選ぶと、AIが背景を生成して一枚の情景画像(デジラマ)に仕立てる機能です。開発基盤には Google Cloud、Google Kubernetes Engine (GKE)、Vertex AI が使われ、投稿された模型の種類を判定してIPの価値を損なう画像が表に出ないようにする仕組みには、AutoML Vision と Gemini が組み合わされています。
出典:株式会社Gaudiy の導入事例 | Google Cloud 発行元:Google Cloud
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
ビルダーズノートは2023年の立ち上げ以来、製作過程や完成品の写真を投稿し合う場として育ってきました。ただ、実際に投稿していたのは特別な塗装やデカール貼りまで手がける上級者が中心で、初心者は投稿を遠慮する傾向がありました。
編集部の見立てでは、ここでの詰まりは作る腕前の差そのものではなく、その差が写真という一枚の絵にそのまま出てしまう構造にあったのではないでしょうか。同じ模型でも、背景や光の演出があるかないかで見え方は大きく変わります。上級者の作品が並ぶ場に、机の上で撮っただけの写真を出すのは気後れする。コミュニティが抱えていたのは参加者の技能不足ではなく、見せ方の手段が一部の人に偏っている状態だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
IPを守るための判定を単一のモデルに委ねず、AutoML Vision と Gemini にそれぞれ異なる判定を任せた構成が、この取り組みの核心にあります。公式コミュニティである以上、投稿されたアイテムの種類を取り違えれば、IPの価値を損なう画像が表に出てしまいます。学習データが十分に揃わない立ち上げ期に、性質の違う二つの判定を突き合わせる形をとったことで、片方が外しても誤りがそのまま通過しない状態を作れたと考えられます。加えて、膨大な種類のガンプラと派生機体の特徴を定義する作業には社内のガンダムファンのメンバーが加わり、細かなバリエーションまで含めたデータ収集と検出システムの改良が続けられました。
出力の仕上げを8〜9割で切り上げなかった判断も、この設計を支えています。写真に写り込んだアクション ベース(模型を支える台)を消す、光源と影の向きを背景と合わせるといった調整は、技術の派手さとは無縁の地味な作業です。ただ、IPへの愛が強い人ほど生成AIの出力を厳しい目で見るという前提に立つなら、世界観からわずかにずれた画像が一枚出ることの損失は、平均的な精度の高さでは埋め合わせられません。ラスト ワンマイルに手をかける方針は、コミュニティの信頼を守るための投資だったと読めます。
基盤の選び方でも、任せる部分と手元に残す部分がはっきり切り分けられています。GKEの自己修復機能やGPUノードの自動スケールに運用と監視を委ねる一方、ノードの選択や、特定の処理に適したGPUの選び方といった性能とコストを左右する判断は自分たちで握る。実験段階で試した方法をそのまま製品に実装できる環境を選んだことも、試行錯誤の回数がそのまま品質に効いてくる画像生成の開発では大きかったはずです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
IPの検出精度は、オープンベータテスト開始からの1週間で50%から90%まで改善しています。2025年4月の正式リリース後はSNSに「これ無料でできるの?」といった好意的な反応が数多く寄せられ、月間アクティブユーザーは5倍に増加、新規登録も増え続けています。大阪・関西万博で株式会社バンダイナムコホールディングスが出展するパビリオンでも、実物大ガンダム像と来場者の記念撮影にデジラマ生成の技術が使われています。数字の伸びよりも、初心者が投稿に加わる導線ができた点に意味があると編集部は見ています。
うちでも使える?
応用が効きそうなのは、利用者が何かを作ったり所有したりしているのに、それを見せる手段の差で発信をためらう人が出ている場面です。撮影や編集の腕前が参加のハードルになっている領域なら、生成AIで見せ方の部分だけを底上げする発想は移植できます。
一方で、権利者のいる題材を扱う場合は簡単にはいきません。生成物が世界観を外れていないかを判定する仕組みが必須になり、その判定基準を作れるだけの知識を持つ人が社内にいるかどうかが分かれ目になります。この事例では社内のガンダムファンがその役割を担いましたが、細かなバリエーションの違いを定義する工程は外部に丸ごと任せにくく、そこで止まりやすい部分でもあります。
試すなら、まず既存の投稿を数十枚並べ、その題材に詳しい人に「公開してよい/よくない」を仕分けしてもらう小さな検証から。判定の基準が言葉になるかどうかが、次に進めるかの判断材料になります。
この事例は2025年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社Gaudiy
2018 年設立のスタートアップ企業。「ファンと共に、時代を進める。」をミッションに掲げ、ブロックチェーンや生成 AI など Web3 時代の先端技術を活用し、IP のファンが国境を越えてつながる経済圏「ファン国家」の実現を目指す。エンタメ企業向けファンコミュニティ プラットフォーム「Gaudiy Fanlink」の開発・提供や、新しい経済のインフラをつくる「Gaudiy Financial Labs」を展開。バンダイナムコグループや集英社をはじめとする IP 企業へコミュニティを提供している。
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