実施 2025.10 ・ 更新 2026.08.13
日立とニチレイ・アイス、AIで生産・輸送・在庫の計画立案時間を約70%短縮
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 毎月の生産・在庫計画づくりに何日もかかる
- 計画の組み立てがベテラン頼み
- 需要の波に計画の見直しが追いつかない
どのようなAIの取り組み?
数理最適化技術を使うAIで生産・輸送・在庫の3つの計画を連係させ、計画立案時間の約70%削減を確認したAI取り組み
業種
包装氷の製造・販売(製造業)
取り組み領域
生産・輸送・在庫の計画立案
使ったAI
数理最適化技術を活用した計画立案AI(計画系業務最適化サービス)
主な成果
計画立案にかかる時間を約70%削減
ニチレイフーズグループで包装氷を扱うニチレイ・アイスに、生産・輸送・在庫の3つの計画をAIがまとめて立案するシステムが入り、運用が始まりました。構築したのは日立製作所で、制約条件を満たしつつ目標値を最大化・最小化する最適解を数学的に求める数理最適化技術を用い、Lumadaソリューション「計画系業務最適化サービス」として提供しています。生産能力など40を超える制約条件と、互いに相反する約10個のKPIを同時に考慮し、いつ・どこで・何を・どのくらい生産し、運び、置くかを決める仕組みです。プラットフォームには日立の従量課金型クラウド「ComiComiCloud」を利用。季節変動で需要が大きく左右される包装氷の計画立案にかかる時間は、約70%削減されることが確認されています。
出典:1015a.pdf 発行元:株式会社日立製作所
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
包装氷は季節変動によって需要が大きく左右される商品で、その生産・輸送・在庫の計画は、生産能力をはじめとする40を超える制約条件と、互いに相反する約10個のKPIを同時ににらみながら組み立てる必要がありました。組み合わせは膨大で、しかもコストなどのKPIは詳細な内訳や分析が難しい状態にありました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は作業時間の長さそのものではなく、本来つながっている生産・輸送・在庫という3つの判断が、担当者の頭の中でしか結び付いていなかった点にあります。どのKPIを優先し、どこで折り合いをつけるのかは経験に依存し、なぜその計画になったのかを後から確かめる手がかりも残りにくい。需給が動くたびに組み直しが要る業務でこの構造が続けば、変化への追随速度は特定の担当者の作業速度に縛られてしまいます。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、生産・輸送・在庫を別々に立てず、ひとつながりの最適化問題として解いた設計です。実際の在庫量を踏まえながら、販売見込みと在庫基準を満たすように「いつ、どこで、何を、どのくらい」作り、運び、置くかを同時に決めていきます。生産計画だけを良くすると輸送や在庫にしわ寄せが出るという部分最適の綱引きを、構造の側で避けられる。40を超える制約条件と約10個の相反するKPIをまとめて扱えるようにしたことが、この一体解決を成り立たせています。
基本機能を部品として持ちながら、計画立案に必要な業務ルールを顧客の業務モデルに合わせて細部まで作り込むセミオーダー型の進め方も、実運用に耐える鍵になっています。計画業務の難しさは、教科書どおりの制約ではなく、その会社にしかない例外や運用上の取り決めに宿るものです。汎用的なパッケージでは表現しきれない要件を取り込む余地を残した設計だからこそ、現場が使える精度に届いたのではないでしょうか。
日々回し続けるための仕掛けとして、入力データを見直すだけで計画を修正できる形にした点も見逃せません。手直しのたびに専門家の手を借りる構造では、変化の速い需給には追いつかない。さらに欠品発生アラートや生産量不足アラートといった異常検知を組み合わせ、計画を作る機能と、計画のほころびに気づく機能とを役割分担させています。アプリケーションからITインフラ基盤まで日立が一貫して受け持つ体制も、こうした継続運用を成立させる土台として働いています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
季節変動の大きい包装氷の生産・在庫・輸送の計画立案にかかる時間は、約70%削減されることが確認されています。この数値は、従来の作業時間と、AIへの入力データ準備およびAI結果の確認・微調整にかかる作業時間を比べたもので、AIが計算している間の待ち時間は含みません。あわせて、詳細な内訳や分析が困難だったコストなどのKPIの可視化も実現しました。計画立案業務の簡素化や脱属人化、人が見落としがちな制約や相互依存関係を踏まえた計画立案が可能になり、計画の質の改善にもつながる見込みです。今後は適用業務範囲の拡大や、より長期間の計画立案、トラブル発生時の計画修正といった機能の拡充が検討されています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、守るべき条件をルールとして書き出せる計画業務です。生産能力や拠点ごとの在庫基準のように条件を明文化でき、計画のよしあしをコストや積載効率といった指標で測れるなら、最適化に載せる余地があります。逆に、同じ条件が担当者ごとに違う解釈で運用されていたり、優先順位が場面ごとに変わって言葉にできない状態では、モデルを組む手前で立ち止まることになりやすい。入力データの精度がそのまま計画の質を決めるため、在庫や販売見込みの数字が日々そろっていない環境では、準備に相応の期間を見込む必要があります。
小さな一歩としては、直近1か月に作った計画のうち、後から手直しした箇所をいくつか拾い、そのとき何を優先して直したのかを一行ずつ言葉にしてみてはいかがでしょう。その優先順位のつけ方こそが、最適化に渡すKPIの原型になります。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社日立製作所
IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を展開する企業。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出する。2024年度(2025年3月期)売上収益は9兆7,833億円、2025年3月末時点で連結子会社は618社。
株式会社ニチレイ・アイス
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