実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.13
基幹システムのクラウド移行と生成AI活用、JALグループIT企業の運用負荷軽減
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- サーバーの保守終了が迫っている
- 社内の資料がどこにあるか分からない
- 同じ質問が特定の部署に集中する
どのようなAIの取り組み?
基幹システムの土台をクラウドへ移すのと並行して社内向けAIチャットボットを立ち上げ、運用負荷の軽減とナレッジ蓄積に取り組んだAI取り組み
業種
システム開発・運用(IT・通信)
取り組み領域
社内基幹システム基盤/情報システム部門
使ったAI
Vertex AIによる社内チャットボット(生成AI)
主な成果
従来と同じ使い勝手を保ちつつ運用の作業負荷を軽減
JALグループのIT中核企業である株式会社JALインフォテックは、購買・請求・認証といった社内の基幹システムを支えてきたオンプレミスの仮想マシン基盤を、ハードウェア保守の終了が近づいたことを機にGoogle Cloudへ移しました。2023年10月に方向性やタイムラインの検討を始め、11月に採用を決定。2024年6月からGoogle Cloud VMware Engineの実装と、Compute EngineやCloud SQLへのデータベース移行を進め、10月下旬に本番運用へ入っています。あわせてVertex AIを使った社内向けチャットボットを構築し、アプリ開発部門とプラットフォーム運営部門の双方を対象に、ガイドラインや設計指針を探す手間の削減を図りました。一連のプロジェクトは、ビジネス要件の確認から移行作業まで、Google Cloudのパートナーである富士ソフト株式会社が支援しています。
出典:株式会社JALインフォテック の導入事例 | Google Cloud 発行元:Google Cloud
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
正面にあったのは期限です。オンプレミスのハードウェア保守の終了が近づき、機器を入れ替えるかパブリッククラウドへ移るかの判断が迫られていました。加えて、オンプレミスとクラウドが混在するハイブリッドな構成は維持管理の範囲が広く、運用の負荷が重くのしかかっていました。社内に目を向ければ、アプリ開発に必要なガイドラインや設計指針をすぐに探し出せず、運営部門への問い合わせが積み上がり、問題解決までに時間がかかる状態が続いていました。
ただ、編集部が気になったのは、担当者が「これまでの経験やノウハウをフルに活用すれば、従来と同じ運用体制のままでも社内プラットフォームはすぐ構築できた」と振り返っている点です。つまり技術的には現状維持が十分に成立しました。それでも土台を動かしたのは、困りごとの正体が機器の寿命ではなく、蓄積してきた知識が既存環境と特定の担当者に結びついたまま動かせないことにあったからではないでしょうか。問い合わせが運営部門に集中する構図も、根は同じところにあると見ています。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、使い勝手を変えずに土台だけ載せ替える工程と、その先で作り替える工程を分けた段取りです。Google Cloud VMware Engineによってオンプレミスの仮想マシン環境と同じ操作感を保ったまま基盤を移し、Compute EngineやCloud SQLへの移行を順に進めています。手順を分けたことで、現場が慣れた運用作法を壊さずに移行を終えられ、Cloud RunやGoogle Kubernetes Engineを使ったサーバーレスのコンテナ構成へ進むという次の課題は、別の段として切り出せました。
生成AIの側では、用途を「情報を探す」に絞り込み、データの取得と検索の処理をVertex AIに任せた設計が立ち上がりの速さを生んでいます。作り込む範囲を最小限に抑えたため、AI開発の専任チームではなくインフラを担うエンジニア自身が構築を進められました。さらに注目したいのは、検索の裏側に蓄積の仕組みを併走させた点で、BigQueryで足りていないデータを点検し、承認された記事をCloud Storageに格納することで、データとナレッジが半自動的に溜まっていく流れが作られています。マルチモーダル対応を利用してシステム構成図まで取り込み、アプリ開発時のリスクポイントや改善点の確認に使えるようにした工夫も、探す用途を一段広げるものでした。
判断の空白を埋める体制の作り方も見逃せません。採用決定と同時にGoogle関係者との共同ワークショップという形式を取り、現行課題の洗い出しと設計による解決方法を同じ場で突き合わせています。Google Cloudの利用が初めてという状況に対しては、Infrastructure Modernization支援パートナーである富士ソフトが、ビジネス要件と技術要件の確認、概要設計、移行作業まで伴走する分担が敷かれました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
新基盤の運用開始からまもない段階ですが、オンプレミスの仮想マシン環境と同じような使い勝手を保ちながら、より効率的にシステムを運用できるようになっています。マネージドサービスの利用によって、これまで負担の大きかった物理環境の保守・運用の作業が軽くなり、クラウドの能力を十分に発揮できない、構成変更ができないといった課題も解消されました。検討開始から本番運用まで約1年という進み方も、この規模の基盤刷新としては速い部類でしょう。チャットボットについては現時点でプロトタイプ的なもので、組織横断で生成AIを活用できるプラットフォームへの発展やCloud Runでの本格展開が計画されています。取り組み自体は社内で高く評価され、中期経営計画に追加されるとともに、他部門からも利用したいという声が寄せられています。
うちでも使える?
近い形で応用しやすいのは、期限付きで基盤更新の判断を迫られていて、しかも現場の運用作法を大きく変えたくない組織です。既存の仮想マシン環境と同じ感覚のまま移せる受け皿を先に用意し、構成の作り替えは後段に回す進め方は、業種を問わず検討に値します。社内文書が散らばっていて特定部署への質問が集中している状況も、検索の入口を1つ作るだけで手応えが出やすい領域です。
一方、そのまま真似ても回りにくい条件もあります。この事例で効いているのは、承認された情報だけを蓄積先に格納するという線引きで、何を正とするかを決める人や手順が社内にない場合、検索の仕組みだけ作っても参照先が育ちません。クラウドが初挑戦で、要件確認から移行まで並走してくれる相手を確保できない場合も、同じ速度は望みにくいでしょう。まず試すなら、直近1か月に運営部門や情報システム担当へ届いた質問を眺め、すでに文書として存在する内容を尋ねたものが何件あったかを数えてみてはどうでしょうか。その比率が、検索の入口を作る価値をそのまま示してくれます。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社JALインフォテック
JALグループのIT中核企業。「全社員の物心両面の幸福を追求する」というJALグループの企業理念に基づき、ITコンサル、ソリューション・サービス、システム開発、システム運用・保守、フィールドITサービスなど、システム開発に関連するさまざまな業務を展開。業種はテクノロジー、地域は日本。
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