実施 2025.06 ・ 更新 2026.08.13
キリンHDでCopilotの毎日利用が67.8%へ、部門代表への2か月研修
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIツールを配ったのに使われない
- プロンプトの書き方が分からない
- 自分の仕事のどこに使えるか思いつかない
どのようなAIの取り組み?
各部門から選ばれた推進役への研修と現場での伴走支援を組み合わせ、Microsoft 365 Copilotの日常的な活用を広げたAI取り組み
業種
酒類・飲料製造(製造業)
取り組み領域
全社の生成AI活用推進・人材育成
使ったAI
Microsoft 365 Copilot(生成AI)
主な成果
Copilotを毎日利用する受講者が35.3%から67.8%へ増加
酒類・飲料を中心に医薬、ヘルスサイエンスまで手がけるキリンホールディングスは、全社的な生産性向上を狙い、2025年6月にMicrosoft 365 Copilot(以下、Copilot)のライセンスを1000人単位で付与しました。ところが、ツールが行き渡っても、自分の業務にどう当てはめればよいのか、プロンプトをどう書けば効果が出るのかが分からないという声が社員から相次ぎます。そこで各部門からITリテラシーの高いメンバーを選び、活用を広める推進役「アンバサダー」として、約2か月の研修と現場での伴走支援を受ける形がとられました。基礎を学ぶeラーニング、自分の業務への適用アイデアをつくるアイデアソン講座、実践中に生じた疑問を解く質問会、活用例を持ち寄る発表会という流れで構成され、この研修と伴走支援はスキルアップNeXtが提案し担当しています。
出典:キリンホールディングス株式会社 | 法人向けサービス | スキルアップAI | 組織・人材変革を加速するAI/DX伴走パートナー 発行元:スキルアップAI
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
試験導入の段階でも、手が打たれていなかったわけではありません。説明会を開き、Teamsのコミュニティに使い方のコツやプロンプト例を投稿するといった施策は行われていました。しかしそれらは情報の共有にとどまり、社員アンケートには「社内外の活用事例を知ってイメージを膨らませたい」「部署向けの個別説明会や質問会を開いてほしい」という要望が集まっています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は、ツールの機能を知らないことではありません。自分の担当業務のどの部分を切り出せばAIに渡せるのか、という「業務からAIへの翻訳」が、完全に個人の裁量に委ねられていた点にあります。汎用的なTipsをいくら配っても、この翻訳は各人の頭の中で起きるため、共有だけでは越えられない壁があったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
研修の対象を全社員に広げず、各部門の代表という限られた人数に絞り込んだ設計が、まず効いたと考えられます。しかも彼らに与えられた役割は「自分が使えるようになること」で終わらず、学びと気づきを自部署へ持ち帰り、部門内で活用を推進することまで含まれていました。研修の出口を個人のスキル習得ではなく部門への配分に置いたことで、少人数への投資が横に伝わる経路が最初から用意されたことになります。
業務フローを可視化したうえで、生成AIを適用する箇所を特定する。アイデアソン講座(参加者がアイデアを出し合って形にする形式の講座)で扱われたこのフレームワークは、順番の設計として示唆的です。生成AIを「何でも解決できる魔法の道具」と捉える認識が社内に少なくなかった中で、ツールの機能からではなく自分の業務の分解から入らせる手順が、期待値を現実的な水準に引き戻す働きをしています。先に挙げた翻訳の壁に、手順という形で答えを与えたやり方だと言えます。
もう一つ見逃せないのが、学んだあとを空白にしなかった2か月の組み立てです。eラーニングで基礎を押さえ、アイデアソンで自分の業務に落とし込み、実践で生じた疑問は質問会で講師に解消してもらい、発表会では他の参加者のプロンプトと結果を見る。その内容をナレッジブックとしてまとめる工程まで含めたことで、個人が試行錯誤の末に得たコツが、その場限りの経験で終わらず参照可能な形に変わっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
Copilotを毎日活用する受講者の割合は、研修前の35.3%から67.8%へとほぼ倍増しました。発表会で共有された34名分を合計すると月間約123時間の業務時間が削減され、役員対談の台本作成に活用した受講者では月あたり7時間の削減が生まれています。月次報告資料や議事録作成、ルールチェックなど部署をまたいで応用できるケースが出てきており、これらを全社に展開した場合は月間800時間の削減効果が見込まれています。今後は社内独自の生成AIツール「バディAI」との棲み分けの整理や、コミュニティの活性化、積極的な利用者が可視化・評価される仕組みづくりが検討されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、汎用の生成AIツールをすでに配布済みで、部門ごとに業務内容が大きく異なる組織です。この事例のやり方は、部門固有の使いどころを本社が代わりに考えるのではなく、部門の中にいる人に翻訳役を担わせる分業になっているためです。一方で、活用アイデアを持ち帰っても部門側に試す時間の余裕がない場合や、推進役に選ばれた人の負荷が本業に上乗せされるだけの状態では、同じ形をなぞっても伝播は止まりやすいでしょう。使いどころが特定の職種に偏っている組織でも、代表者を横断的に集める意味は薄くなります。
小さく始めるなら、部門の誰か一人に、直近1か月で自分が作った資料や返信のうち下書きをAIに任せられそうだったものを1件挙げてもらい、その時に使ったプロンプトごと他の人に見せる場を一度設けてみる。効いたのは研修の豪華さではなく、実際に試した人同士が結果を見せ合う場だった、という点が参考になります。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
スキルアップAI
組織・人材変革を支援するAI/DX伴走パートナー。様々な業界業種で1,000社以上の企業・自治体のAI/DX推進を支援し、AI人材育成やAI・エージェント開発などを提供している。
キリンホールディングス株式会社
出典・参考情報
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