実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.13
生成AI搭載のセキュリティ監視を約5か月で構築、三菱自動車のクラウド移行
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- セキュリティ監視の保守に人手を取られている
- 担当者が代わると運用ノウハウが消える
- 警告が出ても原因の特定に時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
生成AIを搭載したクラウド型の監視プラットフォームへ切り替え、グループ全体のセキュリティ監視基盤を組み直したAI取り組み
業種
自動車製造(製造業)
取り組み領域
情報システム/セキュリティ監視
使ったAI
Google Security Operations(生成AI搭載のセキュリティ監視基盤)
主な成果
設計から移行完了まで約5か月
三菱自動車工業は、グループ全体のセキュリティ監視を、オンプレミスのSIEM(各種機器やシステムのログを集めて脅威を検知する仕組み)から、生成AIを搭載したクラウド型のプラットフォームであるGoogle Security Operations(旧称Chronicle)へ切り替えました。2022年3月にリサーチを開始して要件を詳細に定義し、菱友システムズとリベルスカイを開発パートナーに選定。両社の検討と推薦を踏まえて製品を決め、実装は2023年11月中旬から2024年3月末にかけて行われました。各拠点のフォワーダーでオンプレミス機器のログを取り込み、三菱自動車本社のCSIRTや関係会社が分析できる形に集約しています。あわせて菱友システムズが新たにSOCを設け、アラートを検知した際の通報経路も整えました。
出典:三菱自動車工業株式会社 の導入事例 | Google Cloud 発行元:Google Cloud
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
背景にあったのは、二つの異なる圧力です。ひとつは地政学的な影響によるサイバー攻撃リスクの増加で、製造業が標的にされやすいという事情も重なっていました。もうひとつは運用の負担で、オンプレミスの仕組みは細かくルールを設定できる反面、保守点検の工数とコストがかさみ、人海戦術に頼る部分が残っていたとされています。優秀なセキュリティ管理者を採用・育成しても、異動によって知見の蓄積が途切れてしまう点も課題に挙げられました。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは攻撃の数でもログの量でもありません。自由にルールを書けるという柔軟さが、裏返せば「書いた人にしか読み解けない設定」を積み上げる構造になっていたのではないでしょうか。属人化はしばしば担当者個人の問題として語られますが、この事例からは、道具の側が高い練度を要求し続けていたことが起点にあるように読み取れます。
どうやって、うまくいったのか
自然言語で設定や脅威検出ができる仕組みを中核に据えた選定が、この取り組みの起点にあります。要件を詳細に定義したうえで開発パートナー2社を選び、両社の検討と推薦を経て製品を決めるという順序が踏まれました。スクリプトを書かずに操作できるという性質は使い勝手の話にとどまらず、運用に必要なスキルの前提そのものを組み替える判断です。SIEM、XDR、SOARの領域でAI搭載の実用化が先行していた製品だったことで、検討段階からすぐ試せる状態を作れた点も選定の軸になりました。
既存システムを止めないまま移行するために、取り込むログの仕分けと取り込み方法を練り込んだ設計も効いています。部門の数が多い組織では、ログの発生源ごとに形式も重要度も異なるため、すべてを一律に流し込もうとすれば移行作業そのものが膨れ上がります。標準搭載されたパーサー(ログの形式を読み解いて構造化する部品)が多いという製品特性を前提に、どのログをどう取り込むかを先に切り分けた進め方が、短期間での実装を成り立たせる条件になったと考えられます。
技術の実装と運用体制の設計を並走させた点も見逃せません。複数社が関わる実装では、細部の認識の食い違いや想定と異なる結果が手戻りを生みますが、密な打ち合わせを重ねて情報連携の速度を上げることで、その芽を早い段階で摘む進め方が採られています。さらに菱友システムズが新たにSOC(セキュリティ監視の専門チーム)を設け、アラート検知時にCSIRT(社内のセキュリティ事故対応チーム)やリベルスカイ、関係会社へ即座に通報する経路をあらかじめ用意しました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
システム設計から構築、移行の完了までは約5か月で終えています。運用面では、設定内容やアラートの原因に加え、三菱自動車および一部の関係会社のセキュリティ管理状況までを一目で把握できるようになりました。クラウド化により管理やアップデートがシステム側で自動的に行われるため運用負荷が下がり、各拠点から直接クラウドへデータを格納できることで大量のログデータの管理コストも削減されています。運用そのものは始まったばかりで、国内外の関係会社や協力会社への横展開はこれからの段階です。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、拠点や部門ごとにログの発生源が散らばり、その集約と保守が特定の担当者の手作業に寄っている組織でしょう。自然言語で検索や設定ができる仕組みは、監視の入り口を「設定を書ける人」から「何を確かめたいか言える人」へ広げるため、担当が代わっても運用が止まりにくくなります。
一方、規制や契約でログを外部に出せない場合や、これまで積み上げてきた細かい検知ルールが業務要件と強く結びついていて置き換えが効かない場合は、同じやり方をなぞっても得られるものは限られます。この事例でも作業の山場は製品選定ではなく、どのログをどう取り込むかの切り分けにありました。まず試すなら、直近で対応したアラートを1件たどり直し、原因の特定までに何をどの順に調べたかを再現してみてはどうでしょうか。その手順のうち、言葉で問い合わせれば済む部分がどれだけあるか。それが置き換えの見込みを測る目安になります。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
三菱自動車工業株式会社
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