実施 2022.10 ・ 更新 2026.08.13
スーパーのオーケーが購買データ基盤をクラウド移行、ほぼリアルタイムの分析へ
プロジェクト期間:1年 〜 2年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内システムの障害に振り回されている
- 仕入れや発注が勘と経験に頼りきり
- データが多すぎて分析が追いつかない
どのようなAIの取り組み?
オンプレミスのデータウェアハウスをBigQuery中心のクラウド基盤へ移し、ほぼリアルタイムの購買分析と会員カードアプリの構築を進めた事例
業種
ディスカウント・スーパーマーケット(小売・流通)
取り組み領域
データ分析基盤/顧客向けアプリ開発
使ったAI
BigQuery・Firebase(Google Cloud)、AI商品検索(Retail Search)
主な成果
半リアルタイムの購買分析が可能に
1都3県でディスカウント・スーパーマーケットを展開するオーケーは、2020年にGoogle Cloudを導入し、それまでオンプレミスで動かしていたデータウェアハウス(DWH、分析用にデータを集約しておく基盤)をBigQuery中心のクラウド環境へ移しました。100を超える店舗から毎日届く購買データを蓄積・分析できる形に組み直し、店舗別・商品カテゴリー別の売上分析や、Looker Studioを使った見える化を進めています。並行して取り組んだのが会員カードのアプリ化で、開発パートナーにアイレットを迎え、Firebaseを用いて「オーケークラブ会員カードアプリ」を構築し、2022年10月にリリースしました。社内向けの商品検索にRetail Searchを使うなど、活用の範囲は分析基盤の外にも広がっています。
出典:オーケー株式会社 の導入事例 | Google Cloud 発行元:Google Cloud
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
入社時点のオーケーは、独自に構築したオンプレミスのDWHを使っていましたが、各店舗から上がってくる膨大な購買データを処理しきれず、障害が頻発する状態にありました。長期にわたってデータを蓄積するだけのストレージがなく、処理性能も心もとない。加えてサーバーやネットワークの保守運用の負荷が重く、コスト面の課題も抱えていました。一方で事業側を見ると、商品を安く仕入れるために必要な「大量に売る力」はバイヤーの勘と経験に支えられ、売上は10年で2倍以上の5,000億円規模まで伸びていました。
編集部の見立てでは、この事例の困りごとの核心は基盤の老朽化そのものではなく、事業規模が勘と経験で扱える限界を超えたにもかかわらず、その判断を裏づけるデータを扱う手段が追いついていなかったことにあります。障害の頻発は、そのずれが最初に目に見える形で噴き出した箇所だったのではないでしょうか。これまでうまくいってきたやり方が通用しなくなる手前で危機感を持てたことが、基盤の作り直しという大きな決断につながったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
容量の制約がなく、しかもフルマネージド(運用や保守を提供側に任せられる形態)で使えることを条件に置いた基盤選定が、この取り組みの土台になっています。蓄積量の頭打ち、処理性能、保守運用の負荷という三つの課題は、本来それぞれ別の対処が必要なものですが、運用の責任ごと外部に預ける選び方をしたことで、まとめて解ける形に整理されました。製品の機能比較ではなく、自分たちが持ち続けたくない負担は何かという観点から絞り込んだ判断が効いていると見ています。
データが届くと自動的にBigQueryへ読み込まれる、イベント起点の連携の作り込みも見逃せません。基幹システムのリプレースに合わせて連携部分を改修中とされていますが、Cloud Functionsで受け渡しの部分を薄く独立させておく構成なら、周辺システムが入れ替わっても手を入れる範囲が連携部分にとどまります。分析基盤は一度作って終わりではなく、上流の業務システムの都合で何度も揺さぶられるもの。その前提を織り込んだ設計だからこそ、外部環境の変化に大きな手間なく対応できているのでしょう。
アプリ開発では、開発からテスト配信までを一つの環境で完結させる方針が全体を貫いています。テスト配信を自動化できるFirebase App Distributionを使い、UI開発にはGoogleがオープンソースで提供するFlutterを採用して、扱う技術やリソースが際限なく増えないよう抑えている。顧客情報を扱う以上セキュリティは避けて通れませんが、ここもCloud NATやCloud Armor、Identity Platformといったフルマネージドの機能を推奨構成に沿って組み込むことで、独自に作り込むほど脆弱性が生まれやすくなるという構造を回避しています。オーケー側が何を実現したいかを決め、開発パートナーのアイレットが技術選定と実装を担うという役割分担も、この身軽さを支えた要素です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
大量のデータを高速に分析できる基盤へ移したことで、従来の環境ではとうてい不可能だった半リアルタイムの購買分析が可能になり、各店舗で作る弁当や惣菜の数をその時の売れ行きに合わせて調整できるようになります。費用面についても、同じことをオンプレミスで実現しようとすればトータルで何十倍もの費用がかかっていたのではないか、という評価が示されています。Looker Studioによる見える化は一部で実用化が始まった段階、機械学習を用いた売上予測や生成AIによる従業員支援は今後の構想として語られており、この二つは実績ではなく期待の位置づけです。
うちでも使える?
応用しやすいのは、日々一定量のデータが自動的に生まれ続ける業務です。店舗のレジ、受発注、設備の稼働記録のように、人が入力しなくてもデータが溜まる領域なら、蓄積しきれない・分析が重いという問題は基盤側の選び直しで解ける可能性があります。逆に、判断の材料が担当者の頭の中や紙の帳票に散っている業務では、基盤を新しくしても分析対象そのものが揃わないため、この事例のような効き方は期待しにくいところです。会員カードのアプリ化のように顧客との接点を作る取り組みも、そもそも伝えたい情報や届けたい価値が固まっていなければ、器だけができて中身が続かないという事態になりかねません。
もう一つ、この事例が示しているのは、外部環境の変化を前提に連携部分を切り出しておく考え方です。規模の大小を問わず応用できる発想なので、自社の分析用データがどのシステムから、どんなタイミングで流れ込んでいるかを一度図に描いてみるところから始めてはどうでしょうか。どこが変わると全部が止まるのかが見えれば、次に手を入れるべき場所も自ずと絞れてきます。
この事例は2022年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
アイレット株式会社
先進性の高いITソリューションを、企画、システム設計から設計、構築、運用、保守までワンストップで提供するシステム開発企業。Google Cloud などパブリッククラウドを用いたスピード感に優れたソリューション開発に定評がある。Google Cloud パートナー。
オーケー株式会社
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