実施 2025.06 ・ 更新 2026.08.17
イオンリテール、接客マニュアルを生成AIでチャット化し約390店舗へ展開へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- マニュアルが多すぎて探せない
- 新人が一人前になるまで時間がかかる
- ベテランしか答えられない質問が多い
どのようなAIの取り組み?
数千から数万ページに及ぶ業務マニュアルを生成AIに学習させ、音声や文字で必要な情報を引き出せるようにする、約390店舗規模のAI取り組み
業種
総合スーパー(小売業)
取り組み領域
店舗接客/社内マニュアル参照
使ったAI
生成AIチャットボット「AIアシスタント」(音声・テキスト入力対応)
主な成果
約390店舗へ2025年6月実装予定、新人の習熟スピード向上を見込む
総合スーパーを運営するイオンリテールが、店舗従業員向けのチャットボット「AIアシスタント」を開発し、関東・北陸信越・東海・近畿・中四国の約390店舗へ実装することを決めています。店舗には数千から数万ページ規模の業務マニュアルや法律の文書があり、必要な記述を即座に見つけ出すことが難しい状態でした。新しい仕組みでは、音声または文字で入力された質問に対し、事前に学習させた文書群から該当する回答を自動で提示します。最初に扱う範囲はイオンラウンジの利用方法、免税対応、拾得物の取り扱い、公共料金の支払い、株主優待制度の説明など、店頭で顧客から繰り返し尋ねられる事項に絞られており、実装は2025年6月を予定しています。
出典:【イオンリテール】生成AIを活用した「AIアシスタント」を実装 | イオン株式会社のプレスリリース 発行元:イオン株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
店舗には業務マニュアルも法令の文書も揃っていました。それでも現場が困っていたのは、数千から数万ページという分量の前では、答えが「ある」ことと「取り出せる」ことが別問題になってしまうからです。専門的な職務では知識の習得に数年から十数年を要し、業務の属人化と人材育成の遅れが課題になっていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は情報の不足ではなく、参照コストの高さにあります。顧客を目の前にした数十秒のあいだに厚い文書をたどれる人は限られ、結果として「その場で答えられる人」に質問が集中する。答えられる人が育つまでに年単位の時間がかかる構造そのものが、属人化の正体だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
まず注目したいのは、対応範囲をイオンラウンジの利用方法や免税対応、拾得物、公共料金の支払い、株主優待制度といった頻出事項に絞り込んだ初期設計です。生成AIは扱う知識の幅が広がるほど、もっともらしいが誤った回答(ハルシネーション)を返す余地も広がります。問い合わせの多い定型的な領域から始めるという判断は、回答の確からしさを検証できる範囲に留めながら、使う側にとっての効き目が最も大きい部分を先に取りに行く順序だと読めます。
次に、事前の読み込みを前提としない「次世代型の従業員マニュアル」という設計思想が効いていると考えられます。従来のマニュアルは読んで覚えることが暗黙の前提で、覚えるまでの期間が習熟時間そのものでした。音声と文字の双方で質問を受け付ける入力方式は、この前提を外し、レジや売場に立ったまま話しかけて答えを得る使い方を想定したものと見てよいでしょう。読ませるのではなく引き出させる、という発想の転換です。
三つ目は、応答範囲を順次広げ、最終的には困りごとや判断に迷う事項に対して適切な参照先を提示する仕組みへ育てていくという道筋の描き方。AIに最終判断を代行させるのではなく、正しい原典へ案内する役割を与える構えは、法律文書のように誤読が許されない領域を含む現場と相性がよい置き方です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
実装は2025年6月を予定している段階で、成果はこれからの評価となります。想定されているのは、新人や若手が顧客対応中の疑問を自力で解決できるようになり、業務の習熟スピードが高まること、そして長年の経験を要してきた専門的な職務にも早期から参画できる環境が整うことです。働きがいと生産性の向上を通じて顧客満足度の改善につなげる、という位置づけがなされています。いずれも実績ではなく期待値であり、絞り込んだ初期範囲でどこまで現場が使い続けるかが、次の判断材料になります。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、答えが文書の形で存在しているのに参照に手間がかかっている業務です。接客ルールや制度説明、法令に基づく手続きのように、正解が決まっていて質問が繰り返し発生する領域なら、店舗数や拠点数が少なくても効果の出方は似た形になると考えられます。
一方で、文書に答えが書かれていない領域には効きません。個別事情をくみ取る苦情対応や、その場の裁量で決める判断は、AIに引かせても参照先が出てこないためです。マニュアル自体が更新されず現場の運用と食い違っている場合はさらに厄介で、AIは古い記述をそのまま正解として返してきます。更新の担当と頻度を先に決められるかどうかが、実質的な前提条件になるでしょう。
小さく試すなら、この事例が頻出事項から着手したのと同じ順序をたどるのが手堅い方法です。直近で新人から実際に出た質問を五つほど拾い、その答えが自社のどの文書の何ページに書かれているかを確かめてみる。すぐに指し示せない質問こそ、AIに引かせる価値のある一問目です。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
イオンリテール
「イオン」「イオンスタイル」などの店舗を運営する小売事業者。ITシステムを活用し従業員の働きがいや生産性を高める取り組みを進めている。
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
