実施 2024.09 ・ 更新 2026.08.13
中外製薬の生成AI全社展開、8か月で利用者数が約2.5倍になった推進体制づくり
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 生成AIを入れたのに使われない
- 自分の業務のどこで使えるか分からない
- 研修をやっても現場に広がらない
どのようなAIの取り組み?
全社員向けの短時間セミナーと推進リーダー向けのアイデアソンを組み合わせ、生成AIの利用者数を8か月で約2.5倍に広げたAI取り組み
業種
医薬品製造(製造業)
取り組み領域
全社の生成AI活用推進/人材育成
使ったAI
生成AI(文章生成AI)
主な成果
8か月で生成AIの利用者数が約2.5倍
中外製薬は、がん領域とバイオ医薬品に強みを持つ研究開発型の製薬企業です。「CHUGAI DIGITAL VISION2030」のもとで創薬領域の高度化とバリューチェーン全体の生産性向上を掲げ、その基盤の一つとして全社員が生成AIを使える状態を目指しました。全部門に推進リーダーと推進担当者を置き、現場のアイデアを実現につなげる生成AIタスクフォースを設置。2024年8月時点で集まったアイデア・ユースケースは900件以上に達し、優先度の高いものはPoC(概念実証、小規模な試験導入)や本番開発へ進んでいます。育成面では人財像を「企画・開発者」と「ユーザー」に分け、ユーザー向けの実践段階にスキルアップAIの講座を組み込みました。全社員向けの1時間セミナー、推進リーダー・担当者約150人へのプロンプト研修、各本部代表者によるアイデアソン、その後のプロンプト作成質問会という流れをつくり、2024年9月から12月には各部門主導の活用キャンペーンを実施しています。
出典:中外製薬株式会社 | 法人向けサービス | スキルアップAI | 組織・人材変革を加速するAI/DX伴走パートナー 発行元:スキルアップAI(Beyont Ltd.)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
社内には生成AIを使える環境がすでに整い、勉強会や情報発信も行われていました。それでも実務での活用は広がらず、全社員アンケートには「使ったけれども精度が出ない」「いまいちうまく使いこなせない」「メールの要約などはやってみたが、自分の業務のどこで使えるのかがわからない」という声が並びます。
編集部の見立てでは、ここでの詰まりは関心や環境の不足ではありません。入口の「使ってみる」はすでに越えられていて、止まっていたのは、汎用の道具を自分の担当業務の言葉に翻訳する部分です。ツールの説明は全社共通で配れますが、「この確認作業に、こう書けば使える」という具体は、その業務を知っている人にしか作れません。困りごとの本質は、その翻訳を担う人が社内のどこにも位置づけられていなかったことだったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
つまずきの正体を「自分が期待する回答を得られるプロンプトをつくるスキル」と「業務シーンでの活用レパートリーを増やすこと」の二つに定義し直したことが、この取り組みの出発点になっています。「活用が進まない」という曖昧な状態のままでは、打ち手はセミナーの追加や周知の強化に流れがちです。獲得すべきスキルと増やすべき引き出しに分解したことで、教える内容も、優先して育てる対象も自ずと決まりました。
研修の出口に「提出するプロンプト」という成果物を置いた設計も、基礎から実践への橋渡しとして効いたと考えられます。アイデアソンの参加者は、ワークショップから約1か月後に自分や自組織の業務に合わせたプロンプトを提出する前提で参加し、作成期間中にはフォローアップの質問・相談会が用意されました。学んだ内容を持ち帰って終わりにせず、テンプレートという形に固めるところまでを一つの工程にしたわけです。講座の提供を担ったスキルアップAIと、対象者の選定や全体の運営を担った中外製薬側の役割分担が、この流れを支えています。
広め方を全社一律の施策ではなく各部門の推進リーダー経由に切り替えた展開設計は、この事例で最も応用の効く工夫でしょう。身近な人が自部署の業務に即して伝えるほうが、活用場面は広がりやすい。推進役に求める活動もグループ会でのミニ講座から組織内チャットへの資料やプロンプトの共有まで幅を持たせ、負荷の軽い選択肢をあらかじめ示しています。作られたテンプレートは内製の生成AIアプリを通じて配られ、タスクフォースが推進役の活動をバックアップする体制も敷かれました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
全社員向けの1時間セミナーには録画受講を含めて1,000名以上が参加し、生成AIの概要とプロンプト作成の基礎を押さえるきっかけになりました。アイデアソン講座とプロンプト作成質問会からは、実務で使えるプロンプトが約40個生まれています。キャンペーン中間の10月中旬時点では、9月の開始時と比べてユニークユーザーが1,500人、月間ユーザーが1,000人多いというデータが得られました。中外製薬側もこの増加をキャンペーン単独の効果とは見ていませんが、利用者数は8か月で約2.5倍に伸びています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、生成AIの環境はすでに用意したのに使われていない、という段階の組織です。全社員には短く薄く、推進役には厚く、という濃淡の付け方自体は人数規模を問いませんし、部門ごとに扱う業務がまるで違う会社ほど、横断の一律施策より効きやすいはずです。一方で、この形がそのまま機能するには前提もあります。各部門から推進役を出してもらえること、作られたテンプレートを配って使える受け皿があること(この事例では内製の生成AIアプリ)、そして推進役の活動を支える事務局機能があること。どれか一つでも欠ければ、せっかくのテンプレートは作った本人の手元で止まります。
まず試すなら、自分がすでに使っているプロンプトを一つ選び、業務名や資料名を差し替えるだけで隣の人が使える形に整えて、チームのチャットに投げてみる。反応があればテンプレート化の受け皿を考える段階に進めますし、なければ、そもそも何に使いたいのかを聞くところからです。
この事例は2024年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
スキルアップAI
組織・人材変革を加速するAI/DX伴走パートナー。AI人材育成研修やAI・エージェント開発、業界特化型AIエージェントなどを法人向けに提供している。
中外製薬株式会社
出典・参考情報
中外製薬株式会社 | 法人向けサービス | スキルアップAI | 組織・人材変革を加速するAI/DX伴走パートナー
発行元:スキルアップAI(Beyont Ltd.)
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