更新 2026.08.16
ハウス食品グループ本社、部門横断のDX研修で12件の企画書が生まれた仕組み
プロジェクト期間:2年 〜 3年
企業規模:500人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 研修は受けたのに現場が変わらない
- 企画書が提案止まりで実行されない
- DXを引っ張る人材が社内にいない
どのようなAIの取り組み?
部門横断のワークショップと数か月の伴走支援でDX人材を育て、生成AIをテーマにした研修へ発展させたAI取り組み
業種
食品メーカー(製造業)
取り組み領域
DX人材育成/社内研修
使ったAI
生成AI(第4期の研修テーマ)
主な成果
2期で12件のDX企画書を作成し、複数が事業検討・推進へ進展
食品メーカーのハウス食品グループ本社は、中期経営計画でDX推進を掲げ、2022年に社内のDX人材育成プログラム「DRIVE」を立ち上げました。第1期は受講者の企画が実務への展開に結びつきにくいという課題を残し、2023年度の第2期から株式会社STANDARDが伴走支援に加わります。提供されたのは、前提知識の差にかかわらず全社員のデジタルリテラシーを底上げするオンライン講座と、約5ヵ月・全8回のDX企画立案ワークショップ。課題の構造化から論点設定、現状とあるべき姿の設計、施策検討、効果検証、発表までを段階的に進め、期間中は宿題や伴走ミーティングで各チームが実務課題を整理しました。2025年度の第4期では生成AIをテーマに据え、約1.5ヶ月の短期検証版と約3ヶ月の中長期版という2種類が用意されています。
出典:"ハウス食品グループ本社の挑戦"企画から実行へ──事業価値を生むDX研修の設計 - 株式会社STANDARD 発行元:株式会社STANDARD
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
社内にDXを牽引できる人材がいないという状態から、この取り組みは始まっています。中期経営計画でDX推進を掲げた以上、旗を振る役割を誰かが担わなければならず、2022年の第1期は全社的な育成の第一歩でした。ただし、そこで生まれた企画は実務への展開に十分結びつかず、第2期・第3期で育成の基盤が整った後も、組織横断のテーマを扱ったこともあり事業へのインパクトが限定的にとどまるという宿題が残りました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは受講者の学習量や企画の質そのものではなく、企画が現場の意思決定へ届く経路が用意されていなかったことにあります。誰の業務のどの数字を動かす話なのかが曖昧なまま横断テーマを扱えば、内容が正しくても引き取り手が見つかりません。第4期でクイックに事業貢献できるテーマとして生成AIが選ばれた背景には、この経路をまず短く作り直そうという判断があったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
研修日のあいだに宿題と伴走ミーティングを挟み込んだ進め方が、この取り組みの土台にあります。約5ヵ月・全8回という長さは講義量の多さを指すのではなく、各チームが担当業務から持ち込んだ課題を整理し、講師と揉んでから次の回に持参する往復運動を成立させるための時間配分だと考えられます。架空の題材ではなく手元の実務が教材になるため、企画は最初から現場の事情を背負った形で育ちます。運営面でDX推進部と人事部が合同の事務局を担い、社内の前捌きを引き受けたことも、受講者を企画づくりに集中させる条件になったのでしょう。
企画の入口と出口を問い続ける設計は、この種のプログラムで省かれやすい部分です。デジタル活用の手段の解説に寄せず、組織として今後どうあるべきかという理由の側と、現場をどう巻き込み納得感とクイックウィンをどう醸成するかという実行の側に、議論の重心が置かれています。社内で企画を動かす場面では、業務経験や課題設定力に加えて資料作成やプレゼン、関係者への根回しまでが要り、担当者はこれを「総合格闘技」と表現しました。参加者のスキルが均質でない前提に立ち、講師選びに時間をかけて本音で対話できるメンター役を充てた判断も、この重い問いを受講者が引き受けられるようにするための設計だったと見ています。
第4期でテーマを生成AIに寄せ、期間の異なる二本立てにした設計は、成果の出方を調整する工夫として読めます。約1.5ヶ月で検証を終える短期テーマと、約3ヶ月かけて業務の再設計まで踏み込む中長期テーマを並べれば、早く形になる取り組みと時間のかかる構想が同じプログラムの中に共存します。長期の視点に立つほど成果創出が遠のくというジレンマに、テーマ選定と期間設定の両面から手を打った格好です。
具体的に、どんな成果が出たのか
推進したこと
この事例で出た成果
2023年度から2024年度にかけての2期で、受講チームは合計12件のDX企画書を作成し、経営層や部門長への提案まで進みました。そのうち複数が事業検討・推進の段階へ移り、一部は事業部で推進に着手しています。企画が動き出したことで全社的なDX推進における新たな課題が浮かび、その対応にも取りかかる流れが生まれました。最終日には役員や上長から企画を前へ進めるためのコメントが多数寄せられ、部門横断でDX企画立案を進められる教育プログラムそのものが社内に残っています。
うちでも使える?
この進め方が効きやすいのは、受講者が自分の担当業務の課題を持ち込めて、かつ最終発表の場に決裁できる立場の人が座る場合です。企画が提案で止まるかどうかは資料の出来より受け皿の有無で決まりやすく、どの部門が引き取るのかが事前に置かれているほど、研修の出口は具体的になります。逆に、受講者が現場の裁量を持たない立場だったり、数か月にわたって宿題と伴走ミーティングの時間を確保できなかったりする組織では、同じ形をなぞっても往復運動が回らず、講義だけが消化されて終わりかねません。事務局を担う部署が社内の根回しを引き受けられるかどうかも、実行可能性を分ける条件になります。
まず試すなら、次の社内勉強会で扱うテーマを一つ選び、それを1.5ヶ月で検証できる小さな問いに置き換えられるか、担当部署と話してみてはどうでしょうか。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:経営・企画
プロジェクト実施・導入企業
株式会社STANDARD
人材育成を柱に、DXの実現とその先のDXの内製化まで一気通貫で支援する企業。DXリテラシー講座やDX企画立案ワークショップなどのDX人材育成プログラムを提供している。
ハウス食品グループ本社株式会社
出典・参考情報
"ハウス食品グループ本社の挑戦"企画から実行へ──事業価値を生むDX研修の設計 - 株式会社STANDARD
発行元:株式会社STANDARD
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
