実施 2024.04 ・ 更新 2026.08.13
KDDIが過去の営業資料をAIで検索、情報収集の時間が約74%減
プロジェクト期間:半年〜 1年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 提案資料づくりに時間を取られている
- 過去の資料がどこにあるか分からない
- 顧客と話す時間がなかなか取れない
どのようなAIの取り組み?
過去の営業資料をページ単位で検索できる仕組みを社内開発し、資料作成時の情報収集時間を1人あたり平均約74%削減したAI取り組み
業種
総合通信(IT・通信)
取り組み領域
法人営業の資料検索・営業準備
使ったAI
Azure OpenAI Service(GPT-4o/GPT-4o mini)
主な成果
資料作成時の情報収集時間を1人あたり平均約74%削減
KDDIは2023年夏に会社横断のCoE組織「KDDI Generative AI (KGA) CoE」を立ち上げ、社内での生成AI活用を進めてきました。そこに置かれたユースケースチームの一つが、営業フロントとバックオフィスの間にある雑多な業務を対象とする「ミドル業務革新Pod」です。法人営業の準備に時間がかかっている実態を受けて2024年5月に資料検索アプリの開発へ着手し、1か月半後にβ版、同年9月に第1フェーズのシステムを完成させています。仕組みとしては、SharePoint Onlineに置かれた営業資料を事前に取り込み、ページごとのスライド画像と要約を自動生成。検索にはAzure AI Search、要約生成と検索プロンプトの補完にはAzure OpenAI Serviceを使い、開発はグループ会社のKDDIアジャイル開発センターが担当しました。
出典:KDDI が生成 AI 活用を加速、その 1 つである「ミドル業務革新」では Azure OpenAI Service などの活用で営業準備時間を 約 74% 削減 | Microsoft Customer Stories 発行元:Microsoft
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
法人向けソリューションを担うビジネスデザイン本部では、顧客と接している時間が業務全体の23%程度にとどまり、残りの多くが営業準備に費やされていました。2024年4月に活動を始めたミドル業務革新Podが本部内でヒアリングを行うと、資料作成のための情報収集と情報整理だけでほぼ5割、資料作成に3割、レビューに2割という内訳が浮かび上がります。
編集部の見立てでは、ここでの本質は資料が足りないことではなく、取り扱う商材が非常に多いために「どの資料のどのページが今回の提案に効くのか」という判断を、担当者が案件ごとに一からやり直していた点にあります。蓄積が増えるほど選別の手間も膨らむ構造で、個人の慣れや検索の工夫では抜け出しにくい。何に時間が溶けているのかを先に測るという順序が、この構造を目に見える形にしたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
着手前に営業準備の時間内訳を実測し、最初に手を付ける対象を情報収集に絞り込んだ設計が、この取り組みの土台になっています。情報収集と整理に5割、作成に3割、レビューに2割という数字が出たことで、第1フェーズは資料検索の効率化、第2フェーズは資料作成の効率化とレビュー・共有の促進、第3フェーズは資料作成の高度化と、着手の順番が無理なく決まりました。営業準備の全体をまとめて生成AIに委ねるのではなく、最も重い一つを先に切り出したことで、開発の範囲が短期間で形にできる大きさに収まっています。
探す側の負担を検索の瞬間ではなく取り込みの段階へ移した前処理の設計も、使い勝手を大きく左右しています。SharePoint OnlineにあるPPTXファイルを事前に取得してPDFとして保存し、各ページのスライド画像と要約をあらかじめ生成しておく作りです。検索結果には見た目そのままのスライド画像と要約が並び、プレビュー画面では検索キーワードとの関連度が高いページにマークが付くため、資料を開いて読み込む前に当たりを付けられます。ファイル単位ではなくページ単位で意味を持たせた判断は、1枚ごとに論点が完結しやすい営業スライドという素材の性質に合っていたと考えられます。
モデルの割り当てと開発の回し方にも、実運用を意識した工夫が見えます。図表を含むスライドの内容理解や資料単位の要約生成、キーワード抽出といった高い性能が要る場面にはGPT-4oを、検索プロンプトの補完には応答が速くコスト面でも扱いやすいGPT-4o miniを充てるという使い分けです。開発を担ったのはグループ会社のKDDIアジャイル開発センターで、1週間のスプリントで進めながら、企画部門や利用部門へのヒアリング結果をその都度反映しています。生成AIは使ってみないと効果が読めないという前提に立ち、作りながら確かめる体制を最初から組み込んだ進め方でした。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
利用者へのアンケート調査では、80%が情報収集時間の削減を実感し、削減率は1人あたり平均で約74%に達しています。検索結果にページのイメージ画像と要約が並ぶことで、どの資料が自分に必要なのかを直感的に判断できるようになった影響が大きいと考えられます。2024年11月に始まった第2フェーズは、KDDIテイストの資料に仕立てる機能とサマリー作成機能の実装と検証が進んでいる段階で、営業サイクルの高速化やレビュー・会議時間の短縮は、これから確かめる期待として置かれています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、提案資料が個人の手元ではなく共有基盤に集まっていて、誰がどの資料を見てよいかという権限の管理がすでに動いている組織です。スライド1枚に一つの論点が載るような資料の作り方をしているなら、ページ単位で画像と要約を用意しておく発想は、業種を問わず持ち込めるはずです。
一方、資料が個人のPCやメールの添付に散らばっていて置き場所が定まっていない場合、まず集める工程で止まります。契約書や報告書のように、通して読まないと意味が取れない長文が主戦場の領域でも、1ページの画像と要約から必要性を見分ける方式は噛み合いにくい。機密度の高い情報を扱うなら、入力内容が学習に使われない環境かどうかの確認も前提条件になります。
手始めとしては、直近の提案で実際に使い回したスライドを数枚選び、そのとき何という言葉で探そうとしたかを一緒に書き留めてみる。探し方の実態が見えれば、検索の仕組みから作るのか、要約の自動生成から作るのかを見極めやすくなります。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDI株式会社
事業の核である5G通信を磨き「つなぐチカラ」を進化させる通信事業者。2022年5月に「KDDI VISION 2030」を策定し、中期経営戦略「新サテライトグロース戦略」で「データドリブン」の実践と「生成AI」の社会実装を推進。2023年夏に会社横断のCoE組織「KDDI Generative AI (KGA) CoE」を立ち上げ、社内での生成AI活用を加速している。
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
