実施 2024.04 ・ 更新 2026.08.16
RAGで社内規程とAIを連携、年間約6,000時間の生産性向上を見込む医薬品卸
プロジェクト期間:半年〜 1年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内からの問い合わせ電話に追われている
- 規程やマニュアルの在りかを毎回聞かれる
- 部署ごとにツールが増えて困っている
どのようなAIの取り組み?
RAGで社内規程やマニュアルとつないだ独自のAIアシスタントを構築し、年間約6,000時間の生産性向上を見込むAI取り組み
業種
医薬品・医療機器卸売(小売・流通)
取り組み領域
社内問い合わせ対応/全社共通業務
使ったAI
RAG連携の社内AIアシスタント(生成AI・Azure OpenAI Service)
主な成果
年間約6,000時間の生産性向上を見込む
医療用医薬品や医療機器、診断薬などを扱う卸売企業のアルフレッサ株式会社は、社内の問い合わせ対応にかかる工数を減らすため、生成AIを社内文書と結びつける仕組みづくりに踏み切りました。採用したのは、ソフトバンクが提供する「生成AIパッケージ」です。Azure OpenAI Service をクローズドな環境で使える構成を土台に、RAG(社内の文書を検索してAIの回答に使う仕組み)で社内規程や操作マニュアルと連携させた独自のAIアシスタント「Owl-One(オールワン)」を、約9カ月かけて構築しました。2024年4月に全社へ展開し、社内問い合わせで年間約1,550時間、アウトプットの質の向上分を含めると年間約6,000時間の生産性向上を見込む段階に至っています。
出典:アルフレッサ株式会社 | 導入事例 | 法人のお客さま | ソフトバンク 発行元:ソフトバンク株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
業務改革の一環として工数を調べたところ、社内の問い合わせ対応だけで会社全体で年間約35,000時間が費やされていることが分かりました。子どもが生まれたときの人事手続きのように、今すぐ答えが欲しい種類の質問ほど電話に集中し、受け手の時間を奪っていきます。従来型のチャットボットも検討されましたが、既存資料をそのまま回答データに使える範囲が狭く、シナリオを用意する手間が導入前の壁になっていました。部署固有の質問に答えようとすれば部署ごとにボットが乱立しかねない、という懸念もありました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は問い合わせの件数そのものではありません。答えは社内規程やマニュアルという形ですでに社内にあり、それでも人に電話したほうが速い。この「引き出し方」の欠落こそが、35,000時間の正体だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
最初の適用先を社内規程や操作マニュアルに定めた設計が、この取り組みの起点になっています。答えがすでに文書として確定していて、担当者の判断が入り込む余地の小さい領域です。RAGで社内文書を横断的に参照させる構成をとったため、PDF、Microsoft Excel、Microsoft Word とばらばらの形式で蓄積されてきた資料を、作り直さずそのまま回答の材料にできています。想定問答のシナリオを一問ずつ用意する前提から降りられたことが、事前準備の重さを解いた要因ではないでしょうか。
部署ごとに別々のボットを作らず、ひとつのアシスタントに集約した点も効いています。文書の要約やアイデア出しといった汎用的な使い方と、社内情報の照会が同じ入り口に同居するため、利用者は用途ごとに道具を選び直す必要がありません。社内文書を扱う以上セキュリティ要件を先に固める必要があり、Azure OpenAI Service をクローズドで堅牢な環境で利用できる構成を選び、すでに使われている Microsoft 365 との親和性も判断材料に置いています。
定着を運用まかせにせず、設計の対象として扱った点は見落とせません。ガイドラインの展開とeラーニングで存在と注意事項を全社に知らせ、社内ポータルの目立つ場所にアイコンを置いて到達までの手数を減らし、初回ログイン時にはチュートリアルが立ち上がって手を動かしながら操作を覚えられるようにしています。利用ガイドライン自体をアシスタントに読み込ませ、操作方法やルールをアシスタント自身に尋ねられるようにした構成は、問い合わせを減らす道具が新たな問い合わせを生むという反転を防ぐ手当てとして理にかなっています。主要なプロンプトをあらかじめ用意し、個人用のプロンプトも登録できるようにした工夫は、白紙の入力欄を前にした利用者のつまずきを取り除くものです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2024年4月の展開から8月末までに、利用ターゲットとされる約4,300人のうち約2,300名が一度は利用し、そのうち約1,200名が日々の業務で使い続けています。回答によって解決に至った問い合わせは約6割、利用者の満足度調査でも約7割が好意的な評価でした。削減効果は社内問い合わせで年間約1,550時間と推定され、アウトプットの質の向上分を含めた生産性向上としては年間約6,000時間が見込まれている段階です。文章校正での利用や、営業部門で商談前の交渉ノウハウを相談する使い方も生まれています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、答えが規程やマニュアルとして文書で確定しているのに、その文書が読まれないまま電話や口頭で消費されている組織です。ファイル形式がPDFやExcelにばらついていても作り直さずに参照させられる点は、資料整備から着手しなくてよいという意味で、人手に余裕のない会社にも現実的な入り口になり得ます。
一方で、同じ形に持ち込みにくい領域もあります。取引先ごとの個別事情や、その場の裁量で結論が変わる相談は、参照すべき正解の文書が存在しないため、答えられる範囲の外に出ます。文書化されていない現場の慣行も同様です。加えてこの事例では、利用ターゲットの半数に届くまでにガイドライン展開、eラーニング、新入社員向けの対面研修といった手当てが重ねられており、作って置いておくだけでは使われない前提で計画を組む必要があります。
手はじめに、電話でよく聞かれる質問を3つ選び、その答えが既存の文書のどこに書いてあるかを実際に探してみてはどうでしょうか。探し当てるまでにかかった時間が、そのまま任せる価値の見積もりになります。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
ソフトバンク
セキュアな Azure OpenAI Service 等の生成AI環境をパッケージとして提供する「生成AIパッケージ」を提供。
アルフレッサ株式会社
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