実施 2025.01 ・ 更新 2026.08.13
三菱地所とNTTデータ、丸の内の来街者向け案内AIに都市データ基盤とRAG活用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 施設や店舗の情報が複数サイトに散らばっている
- 問い合わせ対応に人手が割けない
- 初来訪者に街の魅力が伝わらない
どのようなAIの取り組み?
都市のデータ連携基盤と生成AIをつなぎ、丸の内エリアの最新情報を対話で案内するチャットボットの提供を開始したAI取り組み
業種
不動産・エリアマネジメント(まちづくり)
取り組み領域
来街者向け情報案内/観光・回遊支援
使ったAI
生成AI(Claude 3.5 Sonnet)+Advanced RAG
主な成果
都市OS連携の案内AIをマップアプリ上で提供開始
三菱地所とNTTデータは2025年1月8日、大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアに特化したAIコンシェルジュの提供を始めました。大丸有地区まちづくり協議会が開発を主導するマップアプリ「Oh MY Map!」に搭載されたチャットボットで、エリアで開催中のイベントやおすすめの飲食店といった情報を対話形式で返します。回答のもとになるのは、協議会が運営する都市OS(街のデータを集めて横断的に使うための基盤)と各種Webサイトから集めた情報です。仕組みとしてはLLMにClaude 3.5 Sonnetを使い、検索と生成を組み合わせるRAGについても、より高度なAdvanced RAGを採用しています。本サービスは東京都の「AI等先端技術を活用した受入環境高度化支援事業」に採択され、三菱地所を含むまちづくりグループがNTTデータに開発を委託する形で進められています。
出典:都市OSと連携した地域情報を提供「次世代型AIコンシェルジュ」開始 | NTTデータグループ - NTT DATA GROUP 発行元:NTTデータグループ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
丸の内エリアには、イベント、グルメ、アート、地下通路や防災といった情報が数多く存在しますが、それらは協議会のデータ基盤や個々のWebサイトに分かれて置かれています。初めて訪れる人にとっては、どこを見れば「今」楽しめるものが分かるのかがつかみにくく、就業者や常連の利用者であっても、必要な情報にたどり着くまでに手間がかかる状態だったと考えられます。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは情報の量ではなく、探し方の側にあったのではないでしょうか。エリアとしては十分な情報を発信しているのに、来街者は自分の目的に合わせてそれらを組み合わせる作業を強いられる。回遊性を高めたいという狙いに対して足りなかったのは、新しいコンテンツというより、散在する情報を来街者の問いの形に沿って束ね直す入口だったと読み取れます。
どうやって、うまくいったのか
回答の情報源を、都市OSという既存のデータ連携基盤に置いた設計が、この取り組みの土台になっています。エリアの情報を新たに集め直すのではなく、まちづくり協議会がすでに運用している基盤と各種Webサイトの情報を統合して参照する構成をとったことで、イベントのように鮮度が命の情報でも、その時点のデータを引き出して答えられる。生成AIの回答品質は参照するデータの質と更新性に左右されますが、その部分をエリア側の既存資産で支える形になっています。
検索と生成を組み合わせるRAGについて、単純な構成にとどめずAdvanced RAGを選んだ判断も見逃せません。ソースでは、複雑な質問への対応や検索精度の向上に加えて、回答に使うエリアデータの優先度を調整できる点が挙げられています。街の案内では、同じ「近くでご飯を食べたい」という問いでも、参照すべき情報の重みは時間帯や催しの有無で変わります。どのデータを優先して拾うかを後から調整できる仕組みにしておくことが、運用しながら回答を育てていく余地を残したと考えられます。
利用者との接点を新規アプリではなく、2021年から動いている既存のマップアプリ「Oh MY Map!」の中に置いた点も、実装上の要と言えます。加えて、東京都の補助事業に採択されたまちづくりグループが応募主体となり、開発をNTTデータが担い、データ面は協議会が支えるという役割分担も、エリア全体の情報を扱うサービスを一社の枠を越えて成立させる構図になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
現時点で公表されているのは提供開始の事実であり、利用実績としての定量的な成果は示されていません。都市OSに蓄積されたデータをその場で引き出し、具体的で実用的な回答を返すことで、利用者が「今」楽しむべきコンテンツをすぐ見つけられる状態を目指す、という位置づけです。あわせて、潜在的なニーズに応えるレコメンド機能や、必要な情報をより早く的確に届ける仕組みの開発が進められており、将来的にはエリアのあらゆる情報発信プラットフォームとの連携が視野に入っています。
うちでも使える?
参考になるのは、自社や地域がすでに持っているデータの置き場を「AIが参照する先」として位置づけ直す考え方です。商業施設の運営会社、商店街や観光協会、複数拠点を抱える事業者のように、情報が部署やサイトをまたいで分散している組織であれば、同じ発想は応用しやすいはずです。特に、イベントや営業状況のように更新頻度が高い情報を抱えている場合、更新の入り口を一本化しておけば、AI側の作り込みを増やさなくても回答の鮮度を保ちやすくなります。
一方で、この事例が成り立っている前提として、協議会が運営するデータ連携基盤と、来街者がすでに使っているマップアプリという二つの受け皿が先にあった点は軽視できません。参照できるデータが担当者の頭の中や個別のExcelにしかない場合や、利用者に届ける画面をゼロから作る必要がある場合は、同じ形をそのまま持ち込むのは難しいでしょう。まずは、自分たちのところに寄せられる質問のうち、既存のデータだけで答えられるものがどれくらいあるかを一週間分ほど数えてみる。そこから着手できる範囲が見えてきます。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:外部・Web・SNSデータ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
三菱地所株式会社
出典・参考情報
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