更新 2026.08.13
対話型接客AIで疑問解消90%、ジンズが10店舗で進める検証
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 接客の質がスタッフの経験差で揺れる
- 外国語のお客様への案内が追いつかない
- 迷ったお客様が買わずに帰ってしまう
どのようなAIの取り組み?
対話型の接客AI「JINS AI」を10店舗で検証し、メガネ選びの「分からない」の解消に取り組んだAI事例
業種
メガネ小売(小売・流通・EC)
取り組み領域
店頭接客/商品選びの相談対応
使ったAI
対話型接客AI(AIエージェント、多言語・画像検索対応)
主な成果
PoCで疑問解消90%以上、購入意向15%以上
メガネの企画・製造・小売を手がけるジンズが、店頭でのメガネ選びを対話形式で支援するAIエージェント「JINS AI」を開発し、10店舗での実証実験(PoC)を進めています。開発はアクセンチュアのデザイン・開発チームとジンズ社員による混成のスクラム体制で行われ、3か月でのリリースに至っています。想定利用者やペルソナの定義からUI/UX、AIの利用を促す店舗設置ツールのデザインまでを一体で設計し、接客マニュアルの読み込みやデータ整形、応答精度の向上、ハルシネーション対策を実施。PoCでは各店舗の利用数や会話ログ、アンケートを集めて改善点を洗い出し、週次で10回以上のバージョンアップを重ねています。利用者のうち疑問への適切な応答を得た割合は90%以上、購入したいメガネの選択まで進んだ割合は15%以上という結果が示されています。
出典:Accenture-JINS-Client-Story.pdf 発行元:アクセンチュア
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
店頭では、お客様一人ひとりに時間をかけたヒアリングが行われている一方で、自分のペースでじっくり選びたい人や、希望を日本語で伝えきるのが難しいインバウンドのお客様も来店します。さらに、社会人1年目のスタッフと「マイスター」の称号を持つスタッフとの間には、経験に基づくノウハウの差が存在していました。整理されていた困りごとは、いつ買えばいいのか、どう選べばいいのか、自分に合うメガネが何か、という3つの「分からない」でした。
編集部の見立てでは、ここでの本質は接客の人手不足ではなく、お客様が抱く曖昧な悩みを言葉にして受け止める入口が、スタッフとの会話しかなかったことにあると考えられます。声をかけられたくない人、うまく言語化できない人は、その入口を使えません。購入意欲があるのに迷いや不安のまま売り場を離れてしまうという現象は、その構造の表れではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
まず効いていると考えられるのは、漠然とした「分からない」を3つの型に分解し、そこから逆算して体験を組み立てた設計です。メガネの購入方法からレンズ・フレームの提案までを対話でたどれるようにしたうえで、ターゲット利用者や理想のユースケース、ペルソナを定義してUI/UXへ落とし込む手順が踏まれています。何でも聞ける汎用の相談窓口ではなく、店頭で実際に起きる迷いの種類に沿って会話の道筋を用意したことが、初期段階から実用に耐える応答につながったと見られます。
次に、AIそのものだけでなく「使ってもらうまで」を設計対象に含めた点が特徴的です。AIの利用を促す店舗設置ツールをデザインし、POPの訴求内容や配置を検証して利用数が最も伸びる組み合わせを探る進め方が取られています。店頭の生成AIは、機能が良くてもお客様が存在に気づかなければ使われません。掲示物という地味な要素を改善対象に組み込んだ判断は、実店舗ならではの勘所を突いていると考えられます。
3つめは、10店舗のPoCを「測って直す」仕組みとして回した運用です。利用数・会話ログ・アンケートを集めて改善点を洗い出し、店舗ツールのリデザイン、応答精度の改善、提案ロジックのチューニング、画像検索の追加といった手を週次で打ち、10回以上のバージョンアップを重ねています。開発面では、AI基盤の構築や接客マニュアルの読み込み、データ整形、応答の高速化、ハルシネーション対策に加え、社員自身によるテストで現場品質を確認する工程が置かれました。ジンズ社員とアクセンチュアのデザイン・開発チームが同じスクラム体制に入る進め方が、この短い改善サイクルを支えた要因と考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
店舗での検証を通じて、お客様の「分からない」を解消する効果が確かめられています。疑問や質問に対して適切な応答を得た利用者の割合は90%以上、購入を希望するメガネの選択まで進んだ利用者の割合は15%以上。AIの利用数を最も高める店舗ツールの訴求内容と配置という「勝ちパターン」も見つかり、英語・簡体字・繁体字での利用は日本語と同等以上に獲得され、「帰国してからも使いたい」という声も出ています。現在も利用数や購入寄与度の向上に向けた検証とアップデートが続いており、今後は国外展開を見据えつつ、商品位置や在庫とのデータ連動などの機能追加が計画されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、お客様の希望が漠然としていて、店員に話しかけなければ前に進めないタイプの販売やサービスです。相談の型がいくつかに分類でき、社内に接客マニュアルなど参照できる文書が揃っているなら、対話型のAIで入口を増やす発想は業種を問わず検討できます。多言語での利用が伸びた点も、来店客に外国語話者が多い業態には示唆があります。
一方で、この事例が成り立っている条件も見ておく必要があります。効果の測り方が「疑問が解消したか」「選択まで進んだか」という利用者行動に置かれており、会話ログやアンケートを店舗で継続的に集められる体制が前提になっています。実物在庫や商品位置と連動する機能は今後の計画とされている段階で、在庫連携まで含めた案内を最初から求めると難易度は上がります。また、AIの存在を知らせる掲示物の工夫が利用数を左右するため、店頭の運用に手を入れられない環境では効果が出にくいでしょう。
小さく始めるなら、店頭でお客様から実際に出た質問を数十件、そのままの言い回しで書き留めてみることから。どの質問がどの「分からない」に属するのか分類できれば、AIに任せる範囲の輪郭が見えてきます。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ジンズ
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