実施 2025.10 ・ 更新 2026.08.13
図表入り資料をAIが読める形へ、設備工事会社が回答精度80%を実現した構造化の内製化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 図や表の入った資料をAIが読めない
- 社内文書の検索精度が上がらない
- データ加工の手作業に時間を取られる
どのようなAIの取り組み?
図表を含む社内文書を自動で構造化し、社内ナレッジ検索の回答精度80%と加工作業の自動連携につなげたAI取り組み
業種
設備工事(建設・土木)
取り組み領域
社内ナレッジ検索/文書データの構造化
使ったAI
RAG向けデータ構造化ツール「TASUKI Annotation」+生成AI環境
主な成果
図表資料の回答精度が80%まで向上、15分の手作業が自動化
空調・電気・情報通信設備工事を手がけるダイダンは、2024年3月から生成AIの業務活用を本格化し、社内規程や技術文書を読み込ませて検索・回答するナレッジシステムの構築を進めてきました。ただ、文字だけの資料では一定の精度が出ても、図や表を含む資料では欲しい情報にたどり着けない場面が残っていました。そこで採用されたのが、ソフトバンクが提供するRAG向けのデータ作成ツール「TASUKI Annotation」です。ドキュメントを自動的に構造化する仕組みを自社主導で回すことで、データ加工を内製化。あわせて同社が利用する生成AI環境との連携機能を使い、これまで1回15分かかっていたファイルのダウンロード・加工・再アップロードを一括で自動化しました。図表資料に対する回答精度は80%まで向上し、全社公開して業務で使えるレベルに達しています。
出典:ダイダン株式会社 | 導入事例 | 法人のお客さま | ソフトバンク 発行元:ソフトバンク株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
社内規程や技術文書をAIに読み込ませて検索・回答させる仕組みを立ち上げたものの、テキスト中心の資料では成り立った精度が、図や表が入った途端に崩れる。加えて、構造化したデータを生成AI環境へ渡すには、毎回ファイルを手でダウンロードし、加工して、また上げ直すという作業が1回15分程度かかっていました。
この2つは別々の問題に見えますが、編集部の見立てでは、根っこは同じところにあります。設備工事という業種では、図面・仕様表・数値の一覧といった「文字だけでは意味が完結しない資料」が知識の中心を占めます。つまり、精度が出なかったのは生成AIの能力の問題というより、参照させる資料が生成AIの読める形になっていなかったという入口の問題。そして手作業の15分は、その入口の整備が業務フローの外側に置かれていた結果として発生していたものと言えるでしょう。
どうやって、うまくいったのか
もっとも効いたのは、精度改善の打ち手を「AIの調整」ではなく「参照させるデータの形」に置いた点です。図表を含むドキュメントを自動で構造化し、生成AIが読み取りやすい形に整えるという発想は、モデル側をいじるアプローチと比べて、原因に近い場所に手を当てています。RAG(社内データを検索してAIの回答に使う仕組み)は参照元の質がそのまま回答に出るため、構造化の工程を独立した作業として立てた設計が、精度を業務利用に耐える水準まで押し上げる土台になったと考えられます。
次に注目したいのは、外部に委ねず自社でデータ加工を回す形を選んだことです。ソースでは、他社のAIサービスではチューニングが難しく自社ニーズに合わせた最適化がしづらかった一方、このツールは自社主導で構造化を進められる柔軟性があり、進捗や品質を社内で細かく管理できる点が評価されています。ここには、成果物の確認と修正のやり取りを社内で完結させることで、改善のサイクルを短く回せるという実利があります。ナレッジ検索の精度は一度作れば終わりではなく、資料が増えるたびに調整が必要になる性質のものですから、内製化はコストの話にとどまらず、継続的に手直しできる体制づくりとして機能したのではないでしょうか。
三つ目は、構造化ツールと生成AI環境をつなぐ連携を用意し、加工結果の受け渡しを自動化したことです。ダウンロード・加工・アップロードという一連の手順を人が毎回踏む前提のままでは、たとえ構造化の効果が出ても運用が止まりがちになります。この受け渡しを仕組み側に寄せた判断が、精度向上を「試した」段階から「日々使う」段階へ運ぶ橋渡しになったと読み取れます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
図表を含む資料に対するRAGの回答精度は80%まで向上し、全社に公開して業務で活用できる水準に達しています。また、1回あたり15分程度かかっていた連携ファイルの手作業は自動連携によって不要となり、繰り返し作業に充てていた時間を付加価値の高い業務へ振り向けられるようになったと述べられています。今後は社内規程やマニュアル以外の技術文書へ適用範囲を広げ、技術部門の知見との連携、さらに他の業務ツールや社外との連携も視野に入れた全社横断のナレッジ活用基盤への発展を目指す方針が示されています。
うちでも使える?
応用が向くのは、社内の知識が図表・一覧表・仕様書といった形で蓄積されていて、生成AIに検索させても狙った答えが返ってこない、という状況の組織です。この事例が示しているのは、精度が出ないときにまず疑うべきはAI側の設定ではなく、読ませている資料の形かもしれないという視点。逆に、扱う文書がほぼ文章だけで構成されている場合や、参照させたい資料の数がごく少ない場合は、構造化の工程をわざわざ立てる費用対効果は小さくなります。データ加工を自社で回す前提であれば、担当者の工数を継続的に確保できるかも判断材料になるでしょう。
小さく試すなら、社内ナレッジ検索でうまく答えられなかった質問を数件拾い、その参照元が図や表の入った資料だったのかを突き合わせてみるところから。精度の低さが特定の資料形式に偏っているなら、この事例と同じ方向に打ち手があるはずです。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
ソフトバンク
RAGを前提とした構造化データ作成を支援するデータ作成ツール「TASUKI Annotation」や生成AIパッケージを提供する企業。
ダイダン株式会社
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