実施 2025.05 ・ 更新 2026.08.13
物流の緊急出荷対応をAIエージェントで数分へ、30分超の確認を短縮する検証
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 現場の判断がベテラン頼みになっている
- 急な依頼の確認電話に追われている
- AIをどこから試すか決められない
どのようなAIの取り組み?
倉庫管理システムに物流特化のAIエージェント機能を載せ、緊急出荷対応の判断支援からMVPモデル構築を進めたAI取り組み
業種
物流ITサービス(IT・通信)
取り組み領域
物流センターの運営管理/緊急出荷対応
使ったAI
物流業界特化型AIエージェント(MVPモデル)
主な成果
30分以上かかっていた緊急出荷の確認作業を数分に短縮する見込み
西濃運輸グループのITを担い、倉庫管理システム「SLIMS」などを外販する株式会社セイノー情報サービスが、ソフトバンクと協業して物流業界特化型のAIエージェントのMVP(必要最低限の機能を備えた試作段階のプロダクト)モデルを構築しました。着手したのは「緊急出荷」の支援で、これまで営業担当から物流センター長、現場リーダー、輸送会社へと電話やメールを重ねて30分以上かかっていた確認作業を、AIが在庫確認から作業可否の判断、輸送手配、SLIMSへの出荷登録、館内放送による指示、輸送会社への報告まで一括で担う形を設計しています。2025年5月に方針が決まり、8月までにMVPモデルのフレームワークが完成、PoCの導入も進行。対応時間は数分への短縮が期待される段階です。
出典:株式会社セイノー情報サービス | 導入事例 | 法人のお客さま | ソフトバンク 発行元:ソフトバンク株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
物流業界の人手不足という文脈で語られがちですが、この取り組みが照準を合わせたのはもっと限定的な部分です。物流業務を「運用」と「運営」に分けたとき、ピッキングロボットや自動搬送機による効率化は運用側で進んできた一方、全体をマネジメントする運営側は属人化が進み、突発的なトラブル対応や緊急出荷は個々の経験と判断に依存していました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は人が足りないことそのものではなく、「判断が人の頭の中にしかないため、機械化の対象にできなかった」点にあります。ロボットは動作を代替できても、在庫を見て作業可否を決め、誰にどう指示を出すかという段取りは置き換えられません。だからこそ、状況把握と判断を担えるAIエージェントという選択肢が浮上したのだと読めます。
どうやって、うまくいったのか
最初のユースケースを「緊急出荷」一点に絞った進め方が、この取り組みの骨格をつくっています。成果が出やすい業務から小さく始め、手応えをつかんでから最適作業計画や輸送ルート最適化へ広げるというロードマップが最初から引かれており、MVPという言葉どおり、機能を絞った試作で方針を確かめる形になっています。緊急出荷は発生頻度こそ突発的でも、確認相手と確認事項の並びがある程度決まっているため、AIに任せる範囲を定義しやすい業務だったと考えられます。
判断だけでなく、その後の行動までを一連で設計した点も見逃せません。在庫確認と作業可否の判断で止めず、輸送手配、SLIMSへの出荷登録、館内放送による指示、輸送会社への報告まで通して担わせる構成にしたことで、人が介在する引き継ぎ回数そのものが減ります。時間を食っていたのは判断そのものより、担当者間を往復する連絡のリレーだったはずで、その連鎖を断ち切る設計になっているわけです。既存の外販プロダクト群にエージェント機能を持たせるという置き方も、新しい別システムを立ち上げるより現場の業務動線に乗りやすい判断でしょう。
体制面では、AI活用の推進を手がけるソフトバンクのAI Ready推進室とともに進め方そのものを選定した点が効いています。自社にノウハウがない領域で、何をどの順で試すかという設計から相談できたことが、PoC導入を滞らせずに運ぶ条件になったと考えられます。加えて、現場の手順や人の頭の中にあるノウハウをどう組み込むかが構築時の課題として明確に認識されており、この標準化を継続テーマに据えていることが、単発の試作で終わらない足場になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2025年5月に協業方針が固まり、8月までにMVPモデルのフレームワークが完成、PoCの導入もスムーズに進んでいます。緊急出荷では、従来30分以上を要していた確認作業が数分に短縮されることが期待される段階で、実績としての削減幅が確定したものではありません。属人化していた現場判断が標準化されることによる管理コストの効率化も、狙いとして掲げられています。今後は最適作業計画や輸送ルートの最適化へユースケースを広げ、将来的にはマネジメント層やサプライチェーン全体の最適化を目指す方向が示されています。
うちでも使える?
参考になるのは、AIエージェントを「全社の意思決定支援」といった大きな器で考えず、確認相手と確認順序が決まっている一業務に落として試作した点です。急な依頼が入るたびに複数部署へ電話とメールで確認が走る、という構図を抱えている会社であれば、業種を問わず考え方を移せる余地があります。判断の後に続く登録や連絡までを含めて範囲を描くと、効果が出やすいのも共通する傾向でしょう。
一方で、この形が成り立っているのは、在庫や作業状況を照会できる自社システムが手元にあり、そこへエージェント機能を接続できる前提があるからです。在庫や進捗の把握が紙や個人の記憶に留まっている環境では、AIに渡す材料が揃わず、まず情報の置き場所を整えるところから始まります。また、現場の手順やベテランの勘をどう言語化するかは構築側でも課題として残っており、ここを外注任せにするのは難しいはずです。
手をつけるなら、直近1か月で起きた「急ぎの依頼」を数件だけ取り出し、誰に何を聞き、どの順で決まったかを一枚に書き起こしてみる。その連絡の往復のうち、機械でも答えられる問い合わせがいくつあるか。そこが試作の入口になります。
この事例は2025年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
ソフトバンク
社内外のAI活用・推進を手がける「AI Ready推進室」を有し、AI関連ソリューション全般にわたる包括的な支援やアドバイスを提供。本事例では物流業界特化型AIエージェントのMVPモデル構築支援を実施した。
株式会社セイノー情報サービス
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