実施 2025.04 ・ 更新 2026.08.13
駅ビル運営アトレ、生成AI利用率95%を支えた習熟度の見える化
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 新しいツールが現場に定着しない
- ITが苦手な社員が多く進まない
- 事務作業で本業に手が回らない
どのようなAIの取り組み?
生成AI「Gemini」の全社展開にあたり、外部の技術支援と社内独自の習熟度可視化を組み合わせ、利用率95%まで浸透させたAI取り組み
業種
駅ビル型ショッピングセンター運営(不動産・商業施設)
取り組み領域
全社の業務効率化・企画/販促・データ分析
使ったAI
生成AI「Gemini」(Google Workspace with Gemini)、NotebookLM
主な成果
展開2カ月半で利用率80%超、7月末時点で95%
都内を中心に駅ビル型ショッピングセンターを開発・運営する株式会社アトレは、人員を増やさずに事業拡大を進めるため、2025年4月に生成AI「Gemini」を全社展開しました。導入にあたっては、ソフトバンクによるGemini SE伴走支援を受け、現場の課題を題材にした対面型ワークショップ「Gemini 活用アイデアソン」などを実施。あわせて社内では「AIメンター戦略」を掲げ、利用日数・扱うデータ量・使いこなし方をスコア化する独自のステータスボードを開発し、習熟度を10段階で可視化しました。毎週の“プチ勉強会”では、本社各部と25の館の社員が実際の活用事例を持ち寄っています。展開から2カ月半で利用率は80%を超え、7月末時点で95%に達しています。
出典:株式会社アトレ | 導入事例 | 法人のお客さま | ソフトバンク 発行元:ソフトバンク株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
少人数体制のまま新規開発や増床を進めるという事業計画のもとで、働き方の効率化が避けられない課題になっていました。もともとGoogle Workspaceを使っていたものの機能を引き出しきれておらず、新しいツールには慎重に構える風土があり、生成AIの知見やITツールへの苦手意識がDXの足を止めていました。現場では煩雑な事務作業に時間を取られ、ショップとのコミュニケーションや企画といった本来注力すべき業務に手が回らない状態も生じていました。
編集部の見立てでは、この事例の困りごとは「AIを導入できないこと」ではなく、「導入しても使われない」ことが読めていた点にあります。既存ツールですら使い切れていないという自己認識があったからこそ、課題の焦点は最初から機能選定ではなく定着側に置かれていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
習熟度をスコア化して見える化した「AIメンター戦略」が、定着の推進力になったと考えられます。利用日数、扱うデータ量、使いこなし方という三つの軸で独自のステータスボードを開発し、10段階のうちレベル6以上を「エキスパート」と認定する設計は、AI活用という曖昧な行動に到達点と現在地を与えます。ゲーム感覚で自分のスコアを上げる仕組みにしたことで、上を目指す動機が個人の側に生まれ、若手社員が自分の業務に合わせた専用のAIアシスタントを自作する段階まで進みました。単に利用ログを管理するのではなく、成長の物差しとして見せた点が効いたと見ています。
外部の技術支援を「研修」で終わらせず、実務への落とし込みまで含めて設計したことも大きいでしょう。ソフトバンクのSE伴走支援では、現場の課題を題材にした実践型ワークショップ「Gemini 活用アイデアソン」を対面で実施し、初めてAIに触れる社員がその場で疑問を解消できる場になっています。毎回同じ担当者が伴走したことで質問しやすい雰囲気が保たれ、Geminiの操作にとどまらずNotebookLMのような情報整理ツールまで紹介されたことで、活用の発想そのものが広がりました。社内だけでは出てこない視点を外から持ち込む役割を、支援側に明確に担わせた分担といえます。
学びの供給源を社外から社内へ移していく流れも見逃せません。5月から毎週開催の“プチ勉強会”には本社各部と25の館の多様な職種が参加し、現場の社員自身が自分の活用事例を語る形をとっています。同じ立場の人が使えている姿は「自分でもできそう」という実感に直結しやすく、苦手意識を崩す最短経路になったのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
Geminiの全社展開から2カ月半で利用率は80%を超え、7月末時点では95%に達しています。習熟度スコアで「エキスパート」と認定されるレベル6以上に、全体の67%が到達。現場では、イベント企画のたたき台づくりにGeminiで壁打ちして企画の精度を上げたり、20店舗分のJRE POINT会員分析レポートの確認と考察に要していた時間を短縮し、館内巡回やショップとの対話、次の販促検討に振り向けられるようになっています。今後は社員全員が当たり前に使える状態を目標に、導入時アンケートの再実施による変化の確認、さらにマネジメント層への展開が予定されています。
うちでも使える?
参考にしやすいのは、汎用の生成AIを配って終わりにせず、定着そのものを設計対象にした点です。すでにクラウドの業務ツールを導入済みで、使いこなせていないという感覚がある組織であれば、習熟度を可視化する仕組みと、現場社員が事例を持ち寄る小さな勉強会の組み合わせは規模を問わず試せます。特に、部署や拠点が多く職種もばらばらな組織では、上から使い方を配るより横から広げるほうが速い可能性があります。
一方で、この形がそのまま効くとは限りません。スコアの見える化は、ランキング的な要素が評価や圧力と受け取られると逆効果になりかねず、あくまで自分の成長を測る物差しとして提示できるかが分かれ目です。また、外部のエンジニアが対面で伴走する体制や、毎週の勉強会を回し続ける社内の推進担当は、それ自体が工数を要します。まずは、生成AIで置き換えたい業務のうち「複数店舗・複数拠点の同じ形式のレポートを読み込んで要点をまとめる」ような、量がまとまっていて成果が見えやすい作業を一つ選び、担当者一人に試してもらうところから始めてみてはいかがでしょうか。
この事例は2025年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
ソフトバンク
法人向けに「Google Workspace with Gemini」およびカスタマイズ型の「SE伴走支援」を提供し、生成AIの活用・定着を支援する企業。アトレに対しては、データ活用支援に続き、Gemini SE伴走支援として実践型ワークショップ「Gemini 活用アイデアソン」などの対面研修を提供した。
株式会社アトレ
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