実施 2026.02 ・ 更新 2026.08.16
橋梁保守の現場で数百万件の社内資料をAI検索、音声対応も備えた現場アシスタント
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 必要な資料がどこにあるか分からない
- 現場に出ると調べ物が進まない
- ベテランの知識が引き継がれない
どのようなAIの取り組み?
数百万件規模の社内資料をAIが検索・回答し、音声でも使えるようにした現場向けアシスタントを建設会社と共同開発した事例
業種
橋梁など社会インフラの補修(建設・土木)
取り組み領域
建設現場の情報検索・資料作成支援
使ったAI
AIアシスタント「Archibs」(生成AI・RAG・音声AI・OCR)
主な成果
数百万件規模の社内資料からAIが検索・回答できる状態を構築
社会インフラの補修を専業とするショーボンド建設と、東京大学発のAIスタートアップである燈株式会社が、現場担当者を支えるAIアシスタント「Archibs」を共同で開発しました。橋梁などの小規模な現場を数多く抱え、担当者が一人で回すこともある業務環境のなかで、社内に蓄積された数百万件規模のファイルから必要な情報を引き出せるようにした点が中心です。用途に応じて参照先を切り替えられる複数の検索モード、騒音下でも扱える音声での入出力、建設業界特有の専門用語の認識や多言語対応を組み合わせ、情報を探す作業や資料作成をチャット越しに任せられる形にしています。名称は、人工的な解決者・コンテンツの集中管理・個々の執事という機能を表す英語の頭文字から取られています。
出典:ショーボンド建設と現場の負担軽減と技術継承を実現するAIアシスタント「Archibs」を共同開発 |燈株式会社/Akari Inc. 発行元:燈株式会社(Akari Inc.)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
ショーボンド建設は橋梁を中心とした社会インフラのメンテナンスを専業とし、小規模な現場を数多くこなすという事業特性を持ちます。現場の規模によっては担当者が一人で回すケースもあり、そこへ2024年4月に厳格化された36協定による法定労働時間の問題が重なっていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの核心は「作業量が多い」ことそのものではなく、判断に必要な情報へ到達する経路が細かった点にあります。小規模な現場が数多く分散する体制では、一人の担当者が仕様や過去の対応を確かめたいときに、その場で聞ける相手がいません。結果として、資料を探し当てる速さと、聞ける相手がいるかどうかが、そのまま労働時間の長短に効いてくる構造が生まれます。技術継承がテーマとして並んで挙がっているのも、知識が個人の経験と膨大なファイルの両方に分散し、どちらも一人現場からは引き出しにくかったことの裏返しと読めます。
どうやって、うまくいったのか
情報源ごとにチャットモードを分けた設計が、この仕組みの土台になっています。全社のファイル基盤と連携して数百万件規模から回答を生成するモード、利用者が個人領域にアップロードしたファイルだけを見るモード、規定のExcelやデータベースを対象にするモード、そしてWeb検索やファイル検索と、参照先が用途ごとに切り分けられています。何でも一つの検索窓に投げさせるのではなく、答えの出どころを利用者側で指定できるようにしたことが、膨大なデータ量のなかでも回答の当たり外れを抑える働きをしていると考えられます。任意のフォルダを指定して検索範囲を絞る機能も、この考え方の延長線上にあります。
音声を入口として作り込んだ判断も見逃せません。キーボード操作が難しく騒音もある現場を前提に、音声のテキスト化、表形式での出力、読み上げと音声入力までを一続きで扱えるようにしています。建設業界独自の専門用語を高精度に認識させ、多言語翻訳で外国人労働者とのやり取りまで射程に入れた点を踏まえると、ここでの狙いは入力手段の追加ではなく、現場に立ったままAIを使い切れる状態をつくることにあったのではないでしょうか。
規模と読み取り精度に正面から向き合った技術的な作り込みも、実運用を支える要素です。独自のアーキテクチャで計算リソースを最適化し、数百万件規模でも費用を抑えながら応答速度を保つ設計にしています。加えて、建設業界で多用されるPDFのうち、従来の技術では扱いにくかった表組みや画像内の文字を高性能なOCRでデジタル化し、図面の注釈やスペック表まで検索対象に含めています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
公開されているのは削減率のような数値ではなく、システムが到達した水準に関する内容です。数百万件規模の社内ファイルを対象に回答を生成でき、これまで検索に載せにくかった図面内の注釈やスペック表といった情報まで探せるようになりました。多言語対応は外国人労働者とのやり取りを支える役割も担います。定量的な効果は示されていないため、現場の負担がどれだけ軽くなったかは、これからの運用のなかで確かめられていく段階と見るのが妥当です。
うちでも使える?
参考にしやすいのは、社内に大量の資料が眠っていて、しかも担当者が机の前にいない時間が長い業種です。点検や保守、設備工事のように、少人数で現場に出て判断を求められる仕事であれば、参照先を用途ごとに分ける発想と、音声で使えるようにする発想は、そのまま置き換えて検討できます。
一方で、そのまま真似しにくい条件もあります。この事例が成り立っているのは、社内のファイルがすでに一つの基盤にまとまって数百万件の規模で蓄積されているからで、資料が個人のパソコンや紙のまま散らばっている状態では、検索範囲を指定する設計そのものが機能しません。図面や仕様書のように読み取りの難しい形式が中心となる場合、OCRの精度が使い勝手を左右する点も、事前に確かめておきたいところです。
まず試すなら、現場でよく聞かれる質問を数件選び、その答えがどのファイルの何ページ目にあるのかを実際にたどってみることです。たどり着くまでの手数が、そのまま検討の出発点になります。
この事例は2026年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
燈株式会社(Akari Inc.)
「日本を照らす燈となる」という使命を掲げ、AIをはじめとした最先端テクノロジーで社会課題の解決に取り組む東京大学発のAIスタートアップ。建設業、製造業、物流業、小売業など日本の基幹産業における生産性向上や技術力の継承といった課題に対し、独自のAI技術を用いたソリューションを提供している。代表取締役社長 兼 CEOは野呂侑希。
ショーボンド建設株式会社
出典・参考情報
ショーボンド建設と現場の負担軽減と技術継承を実現するAIアシスタント「Archibs」を共同開発 |燈株式会社/Akari Inc.
発行元:燈株式会社(Akari Inc.)
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