実施 2025.10 ・ 更新 2026.08.16
ANAが運航部門へ生成AIを横断導入、社内規程の検索時間9割短縮を見込む
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 規程を探すのに時間がかかる
- 資料の在りかがベテラン頼み
- 報告書や手順書の作成に追われている
どのようなAIの取り組み?
生成AIプラットフォームを運航関連部門へ横断的に広げ、社内規程の検索時間を約90%短縮する効果を見込む航空オペレーションのAI取り組み
業種
定期航空運送事業(運輸・物流)
取り組み領域
航空機オペレーション(空港・整備・客室・運航)
使ったAI
生成AIプラットフォーム「neoAI Chat」
主な成果
情報検索時間を従来比で約90%程度短縮する効果を見込む
株式会社neoAIは、自社の生成AIプラットフォーム「neoAI Chat」を、ANA(全日本空輸)グループの空港・整備・客室・運航といった航空機オペレーションに関わる各社・各部門へ提供し、2025年10月から本格導入が始まっています。先行して2024年8月に成田空港で試験導入が行われ、業務の省力化と的確な判断の支援に有効だと確認されたことが、部門全体への展開につながりました。プラットフォームはANAが管理する自社クラウド基盤の上で運用され、社内に存在する膨大な文書をAIが横断的に解析します。社員は対話形式で質問し、必要な情報を根拠となる文書とともに引き出せる形です。情報検索時間は従来比で約90%程度、文書作成時間は約75%程度の短縮・削減が、期待される効果として示されています。
出典:AIの活用で、お客様体験のさらなる向上へ ~ANA、生成AIプラットフォーム「neoAI Chat」を航空機オペレーション部門へ横断的に本格導入~ |株式会社neoAI 発行元:株式会社neoAI
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
航空機オペレーションの現場では、日々複雑になる業務に対応するため、膨大な規程の中から必要な記述を素早く、しかも正確に引き出す必要がありました。ところが従来、この情報検索は個人の経験値に依存し、時間を要することが課題になっていました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は文書の量そのものではなく、「どの規程のどこに書いてあるか」という所在の知識が、経験を積んだ社員の頭の中にしか存在しなかった点にあります。安全と定時運航が最優先される現場では、確信が持てないまま判断を進めるわけにいかず、確認の手間そのものを省くことはできません。そのため、規程を引く速さが経験年数にひもづいてしまい、誰が対応するかによって所要時間も答えにたどり着く確実さも変わる、という構造が生まれていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
一拠点で使い方を確かめてから広げるという、段階を踏んだ展開の設計が効いています。2024年8月に成田空港という限られた現場で試験導入を行い、省力化と的確な判断の支援に有効かどうかを実務の中で確認したうえで、航空機オペレーション部門全体を対象とする本格導入へ進んでいます。最初から全部門に一斉配布するのではなく、条件の揃った現場で実際の使われ方を見る順序を取ったことが、横断展開に踏み切る判断の材料を机上の想定ではなく現場の実感に置き換えたと考えられます。
答えと一緒に根拠となる文書を返す仕組みも、この業務との相性を大きく左右する部分です。規程に沿った正確さが求められる業務では、AIの回答をそのまま採用するわけにはいかず、人が最終的に裏付けを取れることが前提になります。出典を添えて返す設計は、利用者に「速く探す」だけでなく「確かめる」手段まで同時に渡すもので、経験の浅い社員でも自分の判断に確証を持てる状態をつくります。
基盤の置き場所を導入先の管理下に定めた構成も、この規模の横断導入を成立させた要素です。ANAが厳格に管理する自社クラウド基盤の上でプラットフォームを動かすことで、機密性の高い運航関連の情報を外に出さずに最先端の生成AIを使える形にしています。加えて、空港・整備・客室・運航という性格の異なる部門を部門別の仕組みに分けず、同じプラットフォームで扱う選択を取っている点も見逃せません。個別最適に分割すれば、せっかく集約した知識がふたたび部門の壁の内側に閉じてしまうためです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
示されている数値は、いずれも実績ではなく期待される効果として提示されている点に注意が必要です。規程や過去の議事録などからの情報検索にかかる時間は従来比で約90%程度の短縮、報告書・規定・教育資料といった定型的な文書作成の時間は約75%程度の削減が見込まれています。あわせて、熟練者が持つ知識や技術を組織全体で共有・活用する体制の構築、経験値に依存しない業務品質の安定化と次世代への技術継承も、この導入が目指す効果として挙げられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、業務の判断根拠が規程やマニュアル、議事録といった文書の形で蓄積されていて、その参照頻度が高い職場です。とくに、答えの正しさを後から人が確かめる必要がある業務では、根拠文書を添えて返す使い方が現場に受け入れられやすいと考えられます。機密性の高い情報を扱う場合も、基盤を自社の管理下に置く選択肢があるかどうかを確認しておけば、検討の土俵に乗せやすくなります。
一方で、判断の拠りどころが文書ではなく、その場の状況や機器の状態を見て決める領域では、同じ効果は期待しにくいはずです。規程類が改訂されないまま古い版と新しい版が混在している職場も要注意で、AIは古い記述も同じ確度で拾ってしまいます。文書の版管理が整っていない状態での全社展開は、かえって確認作業を増やしかねません。
はじめの一歩としては、この一か月で「あの手順はどの規程に書いてあるか」を誰かに聞いた回数を、部署内で数えてみてはいかがでしょうか。その回数と、聞かれた側の顔ぶれの偏りが、そのまま所在の属人化の度合いを表します。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社neoAI
AI技術の研究・開発およびソリューション提供を手がける企業。生成AIプラットフォーム「neoAI Chat」を提供している。
全日本空輸株式会社(ANA)
出典・参考情報
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