実施 2025.05 ・ 更新 2026.08.16
各部署にAIトレーナー20人を選出、新聞社の生成AI勉強会が毎回100人超に
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを使う人と使わない人の差が大きい
- 部署ごとに仕事が違い一律の研修が響かない
- 研修をやっても現場に定着しない
どのようなAIの取り組み?
各部署から選んだAIトレーナーを起点に、ハンズオン形式の勉強会と月次の事例共有会で生成AIの社内活用を広げたAI取り組み
業種
新聞発行(メディア・広告・コンテンツ)
取り組み領域
全社の生成AI活用推進・社内研修
使ったAI
Gemini(生成AI)、NotebookLM
主な成果
「今後AIを積極的に活用したい」の回答が初回比10ポイント上昇
中国新聞社が生成AIの活用を検討し始めたのは2024年夏頃で、当時は使いたい人が個別にChatGPTや無料のAIを使う状態にとどまっていました。Google WorkspaceでGeminiが標準搭載になったことを機に、2025年5月から全社導入に踏み切っています。ただし情報セキュリティへの懸念や、どう使えばよいか分からないという声が上がったため、各部署から20名をAIトレーナーとして選出し、推進役に据えました。そのトレーナー向けの研修が整っていないという新たな課題に対しては、ニュースサイト「中国新聞デジタル」のリニューアルを担当していたNRIネットコムが勉強会を担当。Geminiの機能ごとに章立てしたハンズオン研修を2回実施し、1回目の参加者アンケートを踏まえて2回目の内容を組み直しています。現在は関連会社・グループ会社も含めた事例共有会が月1回開かれています。
出典:生成AI(Gemini )の活用に向け、トレーナー制度の立ち上げから 100人規模の勉強会開催に至るまで | 事例 | NRIネットコム(野村総合研究所グループ) 発行元:NRIネットコム株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
導入前の社内は、使いたい人がそれぞれChatGPTや無料のAIに触れているだけで、利用状況にばらつきがありました。全社にGeminiが入った後も、情報セキュリティへの不安と「どう使えばよいか分からない」という声が同時に上がっています。さらに、推進役としてAIトレーナー20名を選出した段階で、そのトレーナーに受けさせる研修が社内にないという課題が新しく生まれました。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは、ツールが足りないことでも社員の意欲が低いことでもなく、「自分の業務」と「AIでできること」が結びつかないことにあったのではないでしょうか。新聞社は営業部門、編集部門、バックオフィスで仕事の中身が大きく異なり、全社一律の説明では、どの部署にとっても半分しか自分の話にならない構造を抱えています。導入の号令だけでは動かなかった理由は、この業務の分散にあったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
AIトレーナーの人選基準を「AIに詳しい人」ではなく「部内で存在感がある人」に置いた点が、この取り組みの起点になっています。各部署への依頼は、知識量ではなく「この人の言うことなら」と周囲が受け止める人材を挙げてほしいという内容で、結果として中堅層が多く集まりました。技術の理解度ではなく部署内の信頼の経路に沿って推進役を配置する設計は、部署ごとに業務が異なる組織で情報を届ける方法として理にかなっています。
研修の構成では、Geminiの機能ごとに独立した章を立て、ハンズオンで手を動かす形式が採られました。知識や活用度にばらつきがある集団では、基本的な話だけでは物足りない人と、高度な話についていけない人が同時に生まれます。章を切り分けておけば、一つのテーマで置いていかれても次のテーマで持ち直せるため、脱落が全体の脱落に直結しません。eラーニングでは聞くだけで定着しなかったという実感を踏まえ、操作の再現性を優先した判断だと読み取れます。
短期間・低予算という制約のもとで精度を上げる回し方も見逃せません。2回の開催のうち1回目の後に参加者アンケートを取り、その結果を共有したうえで2回目の難易度と内容を組み直しています。回数を重ねて網羅するのではなく、往復の間にフィードバックを挟んで狙いを合わせる進め方です。外部研修の終了を終点とせず、社内・関連会社・グループ会社を横断する月1回の共有会へ引き継いだことで、学びの受け皿が社内側に残りました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2回目の勉強会後のアンケートでは「今後AIを積極的に活用したい」という回答が初回より10ポイント上がりました。7月と9月はそれぞれ1ヵ月間で活用度が7〜8ポイント程度上昇し、それまで触ったことがなかった人が70人ほど増えています。月1回の事例共有会にはオンライン参加も含めて毎回100人以上が集まり、社員が自ら部署のローテーション組みに生成AIを使う事例も出てきました。一方で、従来通りWordやExcelを使い続ける人も残っており、社内では現状を過渡期と捉えています。
うちでも使える?
相性がよいのは、部署ごとに業務の中身が大きく違い、全社一斉の説明では話が届きにくい組織です。すでに使っているグループウェアに生成AIが乗っている環境であれば、新しい契約や基盤を用意せずに、使い方を伝える側の設計だけで動き出せます。スライド作成や表計算での集計のように、部署をまたいで共通する作業から入る組み立ても真似しやすいところ。
逆に、各部署に「この人が言うなら試す」と思われる中堅層がいない場合や、勉強会と事例共有の場を回し続ける担当を置けない場合は、同じようには広がりません。研修を実務に寄せるには、自社側が課題を言語化してヒアリングに答える手間も要ります。また、ローテーション組みのように、AIの出力を人が手直しする前提で受け入れられる業務でなければ、最初の成功体験が生まれにくいという制約もあります。
今日できる一歩としては、自分の部署で誰の言葉なら周囲が動くかを一人思い浮かべ、その人にまずGeminiやChatGPTを触ってもらう時間を取ること。詳しい人を探すより、聞いてもらえる人を探すほうが先です。
この事例は2025年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
NRIネットコム株式会社
野村総合研究所グループの企業。クラウドテクニカルセンターを擁し、ニュースサイトのリニューアルや生成AI活用の伴走支援を手がける。
株式会社中国新聞社
出典・参考情報
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