実施 2023.10 ・ 更新 2026.08.16
職種と文理でコースを分けたAI人材育成、アルプスアルパインのeラーニング設計
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 全社員のAI教育をどう組むか決まらない
- 職種によって理解度に差が出る
- 文系社員の学習意欲が続かない
どのようなAIの取り組み?
職種と文理に応じて3つのコースを設計し、eラーニングで全社のAI人材育成に着手した事例
業種
電子部品・車載機器製造(製造業)
取り組み領域
人事/社員教育・AI人材育成
使ったAI
AI・データサイエンス学習のeラーニング(SIGNATE Cloud)
主な成果
新卒社員のスキルを可視化し、より適正な配属につなげた
アルプスアルパインは、2019年の経営統合を機に全社的なAI人財育成へ着手し、株式会社SIGNATEのeラーニング「SIGNATE Cloud」を採用しました。新入社員を、情報系専攻や自信のある層、初めてAIやIoTに触れる層、文系出身の層という3つに分け、コースごとに受講対象者と必修コンテンツを割り当てる形で運用しています。文系向けのコースには、表計算ソフトを使った評価分析など、普段の業務で使えそうな内容も織り込みました。受講開始前にはSIGNATEによる講義の時間を設け、AIを学ぶ意義を共有したうえでプログラムに入る流れをつくっています。新入社員向けの実施と並行し、技術の教育担当部門が主管する形で在籍社員への展開も進みました。
出典:レベル別コース設計で、最適化された社員教育を実現 発行元:株式会社SIGNATE
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
昔ながらのものづくり企業という意識が根付き、どうしてもハードウェアに関心が向きやすい。その一方で、電動車椅子に埋め込む自動障害物検知ユニットのように、AIを使ったソリューション開発は現に動き出していました。2019年の経営統合と、社長からの「会社としてAI人財が必要だ」というメッセージが重なり、全社での教育に踏み出すことになります。
ただ、前年に全職種を対象として実施したソフトウェア教育では、職種によって理解度に差が出ていました。編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「AIを学べる社員が足りない」という数の問題ではなく、機械・電気から化学、材料、情報系、さらに文系まで前提知識が散らばる集団へ、同じ教材を一律に配る設計そのものにあったのではないでしょうか。全員に同じものを渡すほど、理解できる層と置いていかれる層の距離は開いていきます。問われていたのは教育の量ではなく、配り方だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
コースを3つに切り分ける前に、新入社員の専攻割合を把握したという順序に、この設計の要点が表れています。機械・電気専攻が多く、次いで情報系、化学、材料といった構成を踏まえ、情報専攻または自信のある層、初めてAIやIoTに触れる層、文系という3区分が決められました。区分の切り口を職種と文理という人事側が確実に判別できる情報に置いたため、誰をどのコースに入れるかの判断が運用の負担にならずに済んでいます。
学習意欲が続かないという懸念に、心構えの話ではなく中身の構成で応じた点も見逃せません。文系出身者はAIやデータサイエンスの知見が高くないうえ、担当業務との距離もある。そこでAIそのものの内容だけでなく、表計算ソフトによる評価分析のように、明日の仕事で使える題材を混ぜ込みました。学ぶ理由を受講者自身が業務の中に見つけられるようにする組み立てで、受講前にAIを学ぶ重要性と意義を扱う講義を挟んだことも同じ方向を向いています。
形式の選定を、コンテンツより先に議論した進め方も効いています。社内の有識者による内製か外部の力を借りるか、外部なら集合研修かeラーニングかを比較したうえで、既存コンテンツの取捨選択でレベル別コースを容易に組める点を理由にeラーニングが選ばれました。講義形式では内容を都度変えるたびに工数と費用がかさみ、受講場所や日時の調整も避けられません。初回の打ち合わせでレベル別コースの作成を提案し、各コースの内容にも助言を重ねたSIGNATE側との分業が、この設計を成立させた要素でしょう。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
新入社員研修後のアンケートではポジティブなフィードバックが多く、懸念されていた文系出身の社員からも、表計算ソフトでの評価分析といった内容が役立ったという反応が出ています。研修を通じて新卒社員のスキルが可視化され、より適正な配属につながりました。上位層はPythonを使ったモデリングやハンズオン研修で、実務に活かせるスキルを習得しています。2021年7月時点では全職種の社員へ展開が進み、次の段階として、身につけた知識をソリューション開発へ結びつけることが課題に挙げられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、受講者の前提知識に大きな幅があり、かつ教える内容が一般的な技術知識である場合です。AIやデータ分析の基礎は既製の教材が豊富に存在するため、自前でつくり込まず、取捨選択でコースを組み立てる進め方が成り立ちます。逆に、自社の設備や製品に固有の知見を伝えたい場合は、既製コンテンツの組み合わせでは埋まらず、教材づくりそのものを抱えることになります。
もう一点、この事例の中でも触れられているとおり、配属先の先輩社員がAIの知見をあまり持たない環境では、学んだ内容が業務につながらないまま薄れていく恐れがあります。コースの設計と同じくらい、受講後に知識を使う場が用意されているかどうかが効き目を左右する、と考えておいたほうがよさそうです。まずは、次に受け入れる新入社員の専攻構成を人数ベースで並べ、同じ教材で足りる集団なのかどうかを確かめるところから。
この事例は2023年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:バックオフィス・管理部門(人事・経理・法務)
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社SIGNATE
DX推進・人材育成を支援する企業。eラーニング「SIGNATE Cloud」を提供し、累計1,200社・220,000人以上の利用実績を持つ。データ活用スキル計測テストや各講座のトライアル提供も行っている。
アルプスアルパイン株式会社
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